【解答例・解説】山口大学2020 国語 大問2(古文・東関紀行)

【解答例・解説】山口大学2020 国語 大問2(古文・東関紀行)

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。


はじめに

今回は山口大学2020 国語 大問2(古文)の解答例及び解説を掲載します。

「おもしろプロジェクト」で有名な山口大学。憧れをもつ受験生も少なくありません🔥

志望している人は早期の対策をおすすめします🐸

なお、著作権の関係から、 当ブログ作成の解答例・解説のみを掲載し、設問は掲載していませんのでご了承ください。


それでは行ってみましょう🔥

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問1 現代語訳問題

問1

単語単位ではない場合はまずは品詞分解してから取り組むことが重要であるが、今回はほぼ単語単位である。落とさずに得点したい。

a:そのまますぐに

b:もの寂しく

c:月光

d:だんだん


問2 文法問題(敬語)

問2

敬語の原則を改めて確認しておく。これが頭に入っていない受験生は過去問演習をやめ、今すぐ文法を確認すること。

★敬意の方向
地の文:作者(書き手)からの敬意
会話文・手紙文;話し手・書き手からの敬意

尊敬語:動作の主体への敬意
謙譲語:動作の客体への敬意
丁寧語:読み手、聞き手への敬意

Ⅰ:カ

「給ふ」は尊敬の補助動詞であり、「去る」という動作の主体である「日本武尊」が敬意の対象になる。よってカを選択する。

Ⅱ:イ

「奉る」は「与ふ」の謙譲語。「与ふ」という動作の客体である「熱田の宮」への敬意である。よってイを選ぶ。


問3 読解問題

問3

本文中に見える「遠く白き」について、その内容を示す問題。

直前に「雪」があるため、「白い」→「雪」だと早合点しないように注意。ここでは「ねぐら争ふ鷺群~」が「雪が積もっているように見える」という文脈であるため、解答とになるのは「鷺群」である。


問4 和歌問題

問4

和歌を見たらまず、五・七・五・七・七に区切り、句切れを探すこと。
まずは文法・単語の意味を押さえた上で直訳し、「何が言いたいのか」を解釈していく。
その際、以下のことについて留意しておきたい。

【和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)】
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

今回は「人の帰らまし」で句切れとなっており、文の倒置が発生していることを押さえて先を読む。

今回は設問に「人」=「大江匡衡」、「法の形見」=「大般若経」であると明示されているため、これを活かして解釈していく。

また、注意すべき文法事項としては、以下の二点である。

まし:反実仮想の助動詞(~しなかっただろう)

ずは:打消+仮定(~しなかったら)

これを元に現代語訳を組み立てる。

思い出もなく大江匡衡は故郷に帰ったであろう。大般若経を熱田神宮にお供えしなかったなら。


問5 心情説明問題

問5

傍線部を直訳すると「あれこれ、趣深く思っている」となる。直訳では補えない部分について、「何をどのように思っているのか」を具体化していく。

小説読解でも使えるフレームであるが、心情問題は「もともとの心情」→「出来事・きっかけ」→「変化した後の心情」という枠組みを捉えることが重要。

今回は連用形でつながっている「有明の月かげ~心にもよほして」が「出来事・きっかけ」に当たる。該当箇所を解釈し、制限字数に収まるようにまとめていく。

夜明けの月光や仲間からはぐれてしまった千鳥を見て、自らの孤独を旅の空に感じている心情。


問6 指示語問題

問6

高校の教科書で習った人も少なくないであろう、『伊勢物語』「東下り」の名場面を想起しているシーン。傍線部付近を直訳すると「あの草と思われるものはなくて」となるため、素直に「杜若」と解答したい。植物から早合点して「稲」と解答してしまった受験生は反省してほしい。

該当の箇所はこちら⇓


問七 理由説明問題

問7

問四と同様に、和歌を見たらまず、五・七・五・七・七に区切り、句切れを探すこと。
まずは文法・単語の意味を押さえた上で直訳し、「何が言いたいのか」を解釈していく。その際、以下のことについて留意しておきたい。

【和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)】
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

この和歌を解釈すると、「(杜若の)花のために落ちた涙(=泣いた)の形見(名残)といって、露(稲の葉の上に溜まった水滴)を残しておくのであろうか」となる。

この設問で問われているのは「なぜこの和歌を詠んだのか」である。本文中に「在原業平、杜若~思ひ出でられて」とあることから、『伊勢物語』において業平が杜若の歌を詠んだシーンを思い出したことがきっかけになっていることが読み取れる。

また、その直後に「かの草とおぼしきものはなくて稲のみぞ見ゆる」とあり、筆者が歌を詠んだ時には「杜若」は無くなっており、「稲葉の露」しか残っていなかったことが分かる。

これらを解答の要素とし、制限字数内にまとめる。

業平が杜若の歌を詠んだことを思い出したが、筆者の時代には「杜若」は無くなっており、稲葉の露が業平たちの涙の名残であるように思われたから。


今回はここまで🐸

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著作権の関係から、当ブログ作成の解答解説等のみを掲載し、設問等は掲載していません。ご了承ください。

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