『落窪物語』(「男君、『いとかうしも~まめやかに思ふべし」)現代語訳例

『落窪物語』(「男君、『いとかうしも~まめやかに思ふべし」)現代語訳例

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はじめに

今回は『落窪物語』中、「男君、『いとかうしも~まめやかに思ふべし」の本文・現代語訳を掲載します。

『落窪物語』は平安時代に成立した、和製シンデレラと称される物語です。

掲載している箇所は2024年の京都府立大学の第2問(古文)で出題されています。そちらの解説はまた別途掲載する予定です。今しばらくお待ちください。


それでは行ってみましょう🔥


本文(「男君、『いとかうしも~まめやかに思ふべし」)

本文

 男君、「いとかうしもおぼいたるは、いかなる。人数にはあらねど、またいとかうまでは嘆い給ふほどにはあらずとおぼゆる。度々の御文、『見つ』とだにのたまはざりしに、便なきことと見てき。聞こえでもあらばやと思ひしかども、聞こえ初め奉りて後、いとあはれにおぼえ給ひしかば、かく憎まれ奉るべき宿世のあるなりけりと思う給へらるれば、憂きも憂からずのみなむ」と語らせ奉りて、臥し給へれば、女、死ぬべき心地し給ふ。単衣はなし。袴一つ着て、所々あらはに、身につきたるを思ふに、いといみじとはおろかなり。涙よりも汗にしとどなり。

 男君もそのけしきを臥し見給ひて、いとほしうあはれに思ほす。よろづ多くのたまへど、御いらへ、あるべくもおぼえず、恥づかしきに、あこぎをいとつらしと思ふ。からうじて明けにけり。鳥の鳴く声すれば、男君、

 「君がかく泣き明かすだにかなしきにいとうらめしき鳥の声かな

いらへ、時々はし給へ。御声聞かずは、いとど世付かぬ心地すべし」とのたまへば、からうじて、あるにもあらずいらふ。

  人心憂きには鳥にたぐへつつなくよりほかの声は聞かせじ

と言ふ。君いとらうたければ、少将の君、なほざりに思ひしを、まめやかに思ふべし。


現代語訳例

現代語訳例

 男君(少将の君)は、「こんなにまでひどく(私を)お避けになるのは、どういうわけですか。私自身はたいした身分ではありませんが 、それでもまた(あなたが)これほどまで嘆きなさるような(低い)身分でもないはずだと思われます。度々差し上げたお手紙に、『見ました』とさえおっしゃってくださらなかったので、具合の悪いことだと思いました。もう(お手紙を)差し上げるまいかとも思いましたが、手紙を差し上げ始めてからは、あなたのことがたいそうしみじみと愛おしく思われたので、このように(あなたから)嫌われ申し上げるべき前世からの因縁があるのだなあと思いましたので、つらいものもつらく感じませんでした」と語りかけなさって、横になっておられると、女君(落窪の君)は(自らの境遇を恥じ、)死んでしまいそうな気持ちになられた。(女君は)単衣も着ていない。袴を一つ履いているだけで、あちこち肌が露出しており、それが体になじんでいる様子(のみすぼらしさ)を思うと、「ひどい」という言葉では言い尽くせない。涙よりも汗でびっしょりになっている。

 男君もその様子を横になりながらご覧になって、気の毒で愛おしいとお思いになる。(男君は)あれこれたくさんお話しになるが、(女君は)返事などできそうにも思われず、恥ずかしい上に、侍女のあこぎをたいそう恨めしく思う。やっとのことで夜が明けた。鳥の鳴く声がするので、男君が、

  「あなたがこのように一晩中泣き明かしたことさえ悲しいのに、(別れを急かす)鳥の声がたいそう恨めしく聞こえることよ。 返事を、時々はなさってください。あなたの声を聞けないのでは、ますます男女の仲らしくない心地がしてしまいます」とおっしゃると、女君はやっとのことで、生きた心地もしない様子で返歌をする。

  あなたの心がつらく思われるときには、鶏の声のように泣いてばかりいるので、それ以外の(返事をするような)声は聞かせないつもりです」 と言う。その様子がたいそう可愛らしいので、少将の君は、(最初は)かりそめの遊び心で思っていたのを、これからは本気で愛し抜こうとお思いになる。


今回はここまで🐸

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