平家物語『木曽の最期』定期テスト対策&テスト予想問題③

平家物語『木曽の最期』定期テスト対策&テスト予想問題③

はじめに

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。


今回は平家物語から『木曽の最期』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。

学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう

また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味

まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ直前の確認にも活用してください!
おと噂。評判。
乳母子めのとご後見役の人の子どものこと。
生年しやうねん年齢のこと。
知ろしめす「知る」、「治る」の尊敬語。前者の場合は「お知りになる」、後者の場合は「お治めになる」と訳を当てる。
やにはにその場で、たちどころに、の意。
この「やにはに」は現代にも残っており、共通テスト2024・国語 第2問(小説)の語彙問題で出題された
ぶんどり戦場で敵の首などを奪い取ること。
あき間あきま隙間のこと。
正月むつき一月。

各月の異名と、季節区分については理解しておきたい。現代に生きる我々と感覚が違うので、「1月から数えて3カ月ごとに四季を区分していけばよい」と覚えておこう。

【春】1月:睦月、2月:如月、3月:弥生
【夏】4月:卯月、5月:皐月、6月:水無月
【秋】7月:文月、8月:葉月、9月:長月
【冬】10月:神無月、11月:霜月、12月:師走 
入相いりあひ夕暮れ時、日没時。
あふる(あぶみで)馬の腹を蹴る。
内甲うちかぶとかぶとの内側で、顔面の辺り。
殿ばらとのばら身分の高い男性たちをいう尊敬語。接尾語の「ばら」は複数を表す。
「方々」「殿たち」と訳を当てる。


②文法的説明問題

特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!

「日ごろは音にも聞きらん、今は目にも見たまへ。強意の助動詞「つ」の終止形。

直後に「推量」や「推定」の助動詞がある場合、基本的に「完了」ではなく「強意」の意味で訳出を行う。
「日ごろは音にも聞きつらん、今は目にも見たまへ。現在推量の助動詞「らむ」の終止形
さる者ありとは、鎌倉殿までも知ろしめさたるらんぞ。尊敬の助動詞「る」の連用形
さる者ありとは、鎌倉殿までも知ろしめされたるらんぞ。存続の助動詞「たり」の連体形
さる者ありとは、鎌倉殿までも知ろしめされたるらんぞ。現在推量の助動詞「らむ」の連体形
さる者ありとは、鎌倉殿までも知ろしめされたるらん念押しの終助詞。「~よ」などの訳を当てることが多い。
あき間を射ば手も負はず。打消の助動詞「ず」の已然形
馬をざつと打ち入れたれば、馬の頭も見えざりけり。打消の助動詞「ず」の連用形
馬をざつと打ち入れたれば、馬の頭も見えざりけり過去の助動詞「けり」の終止形
今井が行方のおぼつかなさに、ふりあふぎたまへる内甲を、ハ行四段活用動詞「たまふ」の已然形。

「たまふ」は四段活用と下二段活用があり、前者が尊敬語、後者が謙譲語であるので注意が必要。
この場合は尊敬の補助動詞であり、「お~なる」、「~なさる」という意。
作者から木曽殿への敬意が示される。
今井が行方のおぼつかなさに、ふりあふぎたまへ内甲を、完了の助動詞「り」の連体形
痛手なれば、真向を馬の頭にあててうつぶしたまへるところに、断定の助動詞「なり」の已然形。

助動詞の「なり」は断定の「なり」と伝聞・推定の「なり」の二つが存在するが、前者は体言または連体形に接続、後者は終止形(ラ変型の活用語には連体形)に接続する。
石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげりラ行四段活用動詞「取る」の連用形の促音便
石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげり完了の助動詞「つ」の連用形に撥音の「ん」が付いた語。
石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげり過去の助動詞「けり」の終止形が転じた語。
「この日ごろ日本国に聞こえさせたまひつる木曽殿をば、尊敬の助動詞「さす」の連用形
「この日ごろ日本国に聞こえさせたまひつる木曽殿をば、ハ行四段活用動詞「たまふ」の連用形。

この場合は尊敬の補助動詞であり、「お~なる」、「~なさる」という意。
「この日ごろ日本国に聞こえさせたまひつる木曽殿をば、完了の助動詞「つ」の連体形
三浦の石田次郎為久が討ちたてまつりたるぞや。」ラ行四段活用動詞「たてまつる」の連用形。

ここでは謙譲の補助動詞として使われ、石田次郎為久から木曽殿への敬意が示される。
三浦の石田次郎為久が討ちたてまつりたるぞや。」完了の助動詞「たり」の連体形
「今は、たれをかばはとてかいくさをもすべき。意志の助動詞「む(ん)」の終止形
「今は、たれをかばはんとていくさをもすべき。反語の係助詞
「今は、たれをかばはんとてかいくさをもべき。サ行変格活用動詞「す」の終止形
「今は、たれをかばはんとてかいくさをもすべき義務(当然)の助動詞「べし」の連体形
これを見たまへ、東国の殿ばら、ハ行四段活用動詞「たまふ」の命令形
馬よりさかさまに飛び落ち、貫かつてぞ失せける。完了の助動詞「ぬ」の連用形
馬よりさかさまに飛び落ち、貫かつてぞ失せにける過去の助動詞「けり」の連体形。
ここでは係助詞「ぞ」を受けて係り結びが成立している。


③現代語訳問題

①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!
「日ごろは音にも聞きつらん、今は目にも見たまへ。「普段は評判で聞いているだろう、今は目で見よ。

(ポイント)
・「つ」:強意の助動詞「つ」の終止形
・「らん」:現在推量の助動詞「らむ」の終止形
・「日ごろ」と「今」、「音」と「目」の対比。
さる者ありとは、鎌倉殿までも知ろしめされたるらんぞ。そのような者がいるとは、鎌倉殿までもご存じでいらっしゃるだろうよ。

(ポイント)
・「さる者」は「そのような者」「立派な者」と訳を当てる。
・「鎌倉殿」は源頼朝を指す。
・「知ろしめす」:「知る」の尊敬語
・「れ」:尊敬の助動詞「る」の連用形
・「たる」:存続の助動詞「たり」の連体形
・「らん」:現在推量の助動詞「らむ(ん)」の連体形
薄氷は張つたりけり、深田ありとも知らずして、薄氷が張っていた、深い田があるとはわからずに、

(ポイント)
・「たり」:存続の助動詞「たり」の連用形
・「けり」:過去の助動詞「けり」の連用形
痛手なれば、真向を馬の頭にあててうつぶしたまへるところに痛手であるので、(木曽殿は)甲の鉢の前正面を(乗っている)馬の頭に当ててうつぶせなさったところに、

(ポイント)
・「なれ」:断定の助動詞「なり」の已然形
・已然形+「ば」:ここでは原因・理由で解釈する。
・「たまへ」:ハ行四段活用動詞「たまふ」の已然形。
尊敬の補助動詞として使われ、作者から木曽殿への敬意が示される。
・「る」:完了の助動詞「り」の連体形
石田が郎等二人落ち合うて、つひに木曽殿の首をば取つてんげり。石田の家来が二人落ち合って、とうとう木曽殿の首を取ってしまった。

(ポイント)
・「郎等」:家来。
・「取つ」:ラ行四段活用動詞「取る」の連用形の促音便
・「てん」:完了の助動詞「つ」の連用形に撥音の「ん」が付いた語。
・「げり」:過去の助動詞「けり」の終止形が転じた語。
「この日ごろ日本国に聞こえさせたまひつる木曽殿をば、「この普段日本国で評判でいらっしゃった木曽殿を、

(ポイント)
・「聞こゆ」:ここでは本動詞として用いられている。「評判になる」。
・「させ」:尊敬の助動詞「さす」の連用形
・「たまひ」:ハ行四段活用動詞「たまふ」の連用形
・「つる」:完了の助動詞「つ」の連体形
三浦の石田次郎為久が討ちたてまつりたるぞや。」三浦の石田次郎為久が討ち申し上げたぞ。」

(ポイント)
・「たてまつり」:ラ行四段活用動詞「たてまつる」の連用形。ここでは謙譲の補助動詞として使われ、石田次郎為久から木曽殿への敬意が示される。
「今は、たれをかばはんとてかいくさをもすべき。「(木曽殿が討ち取られた)今は、誰をかばおうと戦をする必要があろうか、いやない。

(ポイント)
・「か」:反語の係助詞。この場面は単純な疑問で解釈する箇所ではない。
・「べき」:義務の助動詞「べし」の連体形。


④読解問題

様々な種類の問題が想定されるが、事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。

「切つてまはるに、面を合はする者ぞなき」とあるが、これはどういうことか。分かりやすく説明せよ。解答例
今井四郎兼平のあまりの勇猛さに、正面から立ち向かう者がいないということ。
「痛手なれば、真向を馬の頭にあててうつぶしたまへるところに」とあるが、どのような状況であるか図示せよ。解答省略
「この日ごろ日本国に聞こえさせたまひつる木曽殿をば」について、傍線部のように敵方の武将に対して二重尊敬が使われているが、これは何故か。解答例
・自分の倒した敵の価値を高めれば、その分だけ自らの功績も高まるから。
・敵方であったとしても、木曽殿は高名な武将であるから。
「馬よりさかさまに飛び落ち、貫かつてぞ失せにける」とあるが、①誰が、②何故このような行動をとったのか。解答例
①今井四郎兼平が
②主君である木曽殿が討ち取られてしまい、戦を続ける理由がなくなったから。


今回はここまで🐸

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