土佐日記『帰京』品詞分解/現代語訳/解説②

土佐日記『帰京』品詞分解/現代語訳/解説②

はじめに

こんにちは!こくご部です。

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今回は土佐日記『帰京』について、できるだけ短い固まりで本文⇒品詞分解⇒現代語訳の順で見ていきます。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!


「中垣こそあれ、一つ家のやうなれば、

中垣      名詞 隣の家との間にある垣根              
こそ係助詞強意の係助詞。
ここでは「こそ+已然形+」という逆接的用法となっており、「~ではあるが」と訳す。
あれ動詞ラ行変格動詞「あり」の已然形。
ラ変動詞は「あり」「をり」「はべり」「いまそが(か)り/いますが(か)り」を押さえておこう。
一つ家        名詞        読みは「ひとついへ」。一つの家。
格助詞
やうなれ助動詞比況の助動詞「やうなり」の已然形。
名詞「やう」に断定の助動詞「なり」がついてできた語。
比況・例示の助動詞「ごとく」の「やうに」使う助動詞である。
接続助詞★重要文法
接続助詞の「ば」は以下の2パターンを整理しておきたい。
①未然形+「ば」 ( 未だ然らず、つまりまだ出来事が起きていない)
⇒仮定(もし~ならば)
②已然形+「ば」 (已に然り、もうその状態になっている)

(ⅰ)原因・理由(~なので)
(ⅱ)偶然(~したところ)
(ⅲ)必然(~するといつも)

ここでは原因・理由で取ると自然か。
「隣の家との間にある垣根はあるが、一つの家のようであるので、

望みて預かれるなり。」

望み    動詞    マ行四段活用動詞「望む」の連用形               
接続助詞
預かれ動詞ラ行四段活用動詞「預かる」の已然形
助動詞完了の助動詞「り」の連体形。
接続を覚えるための語呂合わせは「サ未四已(さみしい)りっちゃん」派か「サ未四已りかちゃん」派かで分かれる。
教室に「り」で始まる子がいるとその日はイジられる可能性が高い。
なり助動詞断定の助動詞「なり」の終止形

(先方が)望んで(この家を)預かったのだ。」

「さるは、たよりごとに、ものも絶えず得させたり。」

さるは  代名詞    ラ行変格活用動詞「さり」の連体形に助詞「は」が付いてできた語。
前に述べたことを受けてそれをさらに説明する時に用いられる。訳すると「そうであるのは、それというのも実は」となる。
「そうではあるが」と逆説的に使う用法もあるので注意。
たよりごと名詞名詞「たより」に接尾語「こと」が付いた語。
「たより」は「頼れるもの」、「縁故」、「便宜、手段」、「機会、ついで」といった意味を持つ。
に    格助詞
もの  名詞
係助詞同趣の係助詞
絶えず副詞
動詞ア行下二段活用動詞「得(う)」の未然形。
活用語尾と語幹の区別がなく、その語全体の形が変わってしまう特殊な語。(え、え、う、うる、うれ、えよ)
同じ活用をするものとして、覚えておきたいのは主に以下の2つ。
「寝(ぬ)」⇒ね、ね、ぬ、ぬる、ぬれ、ねよ
「経(ふ)」⇒へ、へ、ふ、ふる、ふれ、へよ
させ助動詞使役の助動詞「さす」の連用形
たり助動詞完了の助動詞「たり」の終止形。
助動詞の「たり」は完了・存続の「たり」と断定の「たり」の二つが存在するが、前者は連用形接続、後者は体言に接続する。
意味から考えても両者は明確に区別できるはず。(完了・存続の「たり」はもともと「てあり」から生じているため、接続助詞の「て」と同様に連用形接続である。同様に、断定の「たり」は「とあり」から生じている。)
「そうではあるが、ついでがあるたびに、贈り物も絶やすことなく贈っていた。」

「今宵、かかること。」と、声高にものも言はせず。

今宵     名詞     読みは「こよひ」。
かかる動詞ラ行変格活用動詞「かかる」の連体形。「かくある」が変化したもの。
指示語であるため、基本的に直前の内容を受ける。
傍線が引かれ、問になっていた場合は「指示された内容を押さえてから問に答える」ということを徹底したい。
ここでは旅に出る前とは打って変わってしまった家の様子を指す。
こと名詞
格助詞
声高に形容動詞ナリ活用の形容動詞「声高なり」の連用形。読みは「こわだかに」。
もの名詞
係助詞強意の係助詞
言は動詞ハ行四段活用動詞「言ふ」の未然形
助動詞使役の助動詞「す」の未然形。
使役の助動詞を用いていることからも分かるように、書き手である貫之が、周囲の人々(家来)に対して大声で悪口を言わせないようにしているのである。
助動詞打消の助動詞「ず」の終止形
「今夜(帰って来たら)、(家が)このような様子だ。」と大声で不満は言わせない。

いとはつらく見ゆれど、

いと     副詞     「たいそう」、「非常に」という訳を当て、程度が甚だしいことを示す。「めっちゃ」と脳内変換してもOK。                            
係助詞強調の係助詞
つらく形容詞ク活用の形容詞「つらし」の連用形。
「つらし」は「薄情だ」、「苦痛だ」という意味を持つ。
類義語であるク活用の形容詞「うし(憂し)」も併せて覚えるとよい。
「うし」は「自分のことについて」憂鬱な気分であることを表す語であり、「つらし」は「相手のことについて」嫌な気分を表す語である。
見ゆれ動詞ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」の已然形。
「見える」「思われる」「見られる」「結婚する」など様々な意味があるが、「見ゆ」の「ゆ」は上代(ほぼ奈良時代まで)の助動詞であり、受身・自発・可能の意味がある。
「受身・自発・可能」という字面を見ると「る」と同じでは?と思った人がいるかもしれないが、その直感は正しい。「る」の発達に伴って「ゆ」が少しずつ姿を消していった。
なお、「ゆ」には尊敬の意味はない。
接続助詞逆接の確定条件を示す。
現代でも「待てど暮らせど」などの形で残っている。接続は已然形。
たいそう薄情に思われるが、

こころざしはせむとす。

こころざし   名詞    漢字をあてると「志」であり、「愛情」、「贈り物」といった意味を持つ。
ここでは後者の意味で使われる。             
係助詞区別の係助詞
動詞サ行変格活用動詞「す」の未然形
助動詞意志の助動詞「む」の終止形。
助動詞「む」は多くの意味をもつが、以下のように判別の手掛かりになる「ルール」があるので整理しておきたい。
※必ず文脈判断を踏まえること。この「ルール」は「この意味になることが多い」程度の認識でいること。

【原則】
助動詞「む」が文末にある場合
・主語が一人称⇒意志
・主語が二人称⇒適当/当然/命令
・主語が三人称⇒推量

助動詞「む」が文中に連体形で出てきた場合
・「む(連体形)」+「は」、「に」、「には」、体言⇒仮定
・「む(連体)」+体言⇒婉曲
※婉曲は助動詞「む」を訳出しなくても文意が通じる場合。
格助詞
動詞サ行変格活用動詞「す」の終止形。
この部分を直訳すると「贈り物はしようとする」であるが、文意を踏まえて以下のような訳を当てている。

贈り物はしようと思う。

今回はここまで🐸

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