【解答例・解説】山口大学2023 国語 大問2(古文・落窪物語)

【解答例・解説】山口大学2023 国語 大問2(古文・落窪物語)

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はじめに

今回は山口大学2023 国語 大問2(古文)の解答例及び解説を掲載します。

「おもしろプロジェクト」で有名な山口大学。憧れをもつ受験生も少なくありません🔥

志望している人は早期の対策をおすすめします🐸

なお、著作権の関係から、 当ブログ作成の解答例・解説のみを掲載し、設問は掲載していませんのでご了承ください。


それでは行ってみましょう🔥

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問1 文法問題(敬語)

問1

★敬語の原則を改めて確認しておく。これが頭に入っていない受験生は過去問演習をやめ、今すぐ文法を確認すること。

○敬意の方向
地の文:作者(書き手)からの敬意
会話文・手紙文:話し手・書き手からの敬意

尊敬語:動作の主体への敬意
謙譲語:動作の客体への敬意
丁寧語:読み手、聞き手への敬意

a:尊敬語、カ→アこの会話文は直前に「少将、帯刀に語らひたまふ」とあることから、「少将」が「帯刀」に語ったセリフである。「のたまふ」は「言ふ」の尊敬語で、語り手から「少将」への敬意。

b:謙譲語、イ→ウ
この文は直前に「帯刀も」とあることから、「帯刀」の手紙であることが分かる。「参る」は「行く」の謙譲語で、「帯刀」から「姫君」への敬意。

c:尊敬語、エ→ア
この文は直前に「帯刀が返事に」とあることから、「あこぎ」の手紙であることが分かる。「おはします」は「行く」の尊敬語で、「あこぎ」から「少将」への敬意。

d:丁寧語、イ→ア
この会話文は直後に「申せば」とあることから、「帯刀」が「少将」に語ったセリフである。「はべり」は丁寧の補助動詞で、「帯刀」から「少将」への敬意。

e:尊敬語、カ→ウ
この場面では「姫君」と「あこぎ」の二人について描写されており、尊敬の補助動詞「たまふ」が使われていることから、姫君の行動であることが分かる。語り手から「姫君」への敬意。


問2 現代語訳問題

問2

単語単位ではない場合はまずは品詞分解してから取り組むこと。また、それぞれに指示があるため、指示を満たして解答することに注意。

① 姫君の家には行くことができないようである

品詞分解をすると「かしこ/に/は/え/行く/まじか/めり」となる。

え:打消を伴って不可能を示す。
まじか:打消推量の助動詞「まじ」の連体形「まじかる」の撥音便無表記形。読む際は「まじか」。
めり:推定の助動詞「めり」の終止形。

この会話文は直前に「少将、帯刀に語らひたまふ」、直後に「とのたまへば」とあることから、「少将」のセリフである。
リード文の情報と合わせ、「かしこ(=あそこ。あちら)」は「姫君」の家であることが分かる。

② せめて姫君のもとに行くのが面倒だと思っているのではなく、頭を出していられないほどの雨のせいで姫君のもとへ通えないというようなお手紙だけでもお書きになってください。

品詞分解をすると「さ/る/御文/を/だに/ものせ/させ/たまへ」となる。
さ/る:直訳すると「そうである」。「(状況に応じた)ふさわしい」と解釈するか、指示語として捉えるかが問題であるが、設問には「さる」の指示内容を示せとあるため、指示語として解釈する。
ここでは直前の内容をまとめ、「姫君のもとに行くのが面倒だと思っているのではなく、頭を出していられないほどの雨のせいで姫君のもとへ通えない」としておく。

だに:最小限の希望を示す副助詞。「せめて~だけでも」。

ものせ:代動詞「ものす」の連用形。英語でいう「do」である。ここでは「文」についての文章であるため、「書く」などという訳を当てるのが適当。

させ/たまへ:直後に尊敬語があること、帯刀のセリフであることから助動詞「さす」は尊敬の意味。二重尊敬になっているが、会話文中では珍しいことではない。

③ 姫君に全く申し上げることもできない。

品詞分解をすると「さらに/聞こえさす/べき/に/も/あら/ず」となる。
さらに:打消を伴って、全否定の意。
聞こえさす:「言ふ」の謙譲語。
べき:打消を伴う場合、可能の意味で解釈するのが基本。

なお、「誰に聞こえさすのかを明示しろ」という指示があるが、傍線部を含んだ箇所は「あこぎ」のセリフであるため、主人である「姫君」に申し上げるという状況であることを押さえておきたい。

⑦ やはり、大雨ではなく普通くらいに降ってよ。

品詞分解をすると「なほ/よろしう/降れ/かし」となる。

よろし:形容詞「よろし」は相対評価であり、「悪くはない」「普通だ」という意。ここでは雨についてのセリフであるため、「(大雨ではなく少将が通える)普通くらいに降れ」というニュアンスである。

かし:念押しの終助詞。


問3 指示語問題

問3

傍線部を直訳すると、このような誤りをしでかして、このようなことがあるだろうか、いや、ない」となり、二つの「かかる」の指示内容を補い、説明することが必要である。

「あこぎ」が古歌を引き合いに出し、「誤り」という語を使って文句を言っていることが分かれば、文句を言っている原因を推測できるであろう。

ここでは、「少将は雨が降っているため行くことができないが、帯刀自身はあこぎの元に向かうと言っていること」が「あこぎ」の逆鱗に触れている原因である。

こういったことを制限字数にまとめると、以下のようになる。

雨が降っていたとしても、少将を姫君の元に連れてくることができないばかりか、帯刀自身は来ようとしていること。


問4 和歌問題

問4

和歌の読解問題ではあるが、当時の世界において「袖が濡れる」といえば「涙を流すこと」を意味する。
これは単語力・古文常識があれば難なくたどり着けるところであり、ここに思い至らなかった場合は演習と並行して単語・古文常識に取り組みたい。

★【和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)】
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

ここでは文脈上、袖が濡れた原因は「宵の雨」(自然)と「少将が自分の元へ訪れてこないことに対する涙」(人事)である。


問5 読解問題

問5

傍線部には尊敬後である「たまふ」が用いられていることから、傍線部は少将の行動であることが分かる。
「頬杖つきて」とあるが、現代でも頬杖をつく場面は基本的に悩んでいる場面であるが、確かに少将も「思ひわび(思い悩んで)」ている。

その原因は結婚が成立する「三日の夜」であるのに、雨のために自分は姫君の元に行けていないこと、それに対して「いといとほし」と感じていることであり、これを元に制限文字数でまとめる。

少将が、ひどい雨のために結婚が成立する「三日の夜」に姫君の元に通えておらず、雨を眺めながら自分を待っているであろう姫君をかわいそうに思い、悩んでいる心情。


今回はここまで🐸

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