【解答解説】関西外国語大学2019-A方式 古文『更級日記』初瀬詣で

【解答解説】関西外国語大学2019-A方式 古文『更級日記』初瀬詣で

こんにちは!こくご部です。

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はじめに

今回は関西外国語大学2019-A方式 古文の解答例及び解説を掲載します。

な なお、著作権の関係から、 当ブログ作成の現代語訳と解答解説のみを掲載し
設問は掲載していませんのでご了承ください。

また、品詞分解は別の機会に譲ろうと思いますのでしばしお待ちください!

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それでは行ってみましょう🔥


出典について

まずは出典の更級日記について触れておきましょう。

出典

ジャンル
 日記文学。文字通り日記の形態をとった文学の総称であり、多くは平安時代~鎌倉時代にかけて書かれたものを指す。

更級日記について
 作者は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)。物語に憧れた少女時代から結婚・出産、そして周囲の人物の死など、作者の約40年の生涯を回想した日記。


本文・現代語訳『更科日記』

本文 現代語訳『更級日記』初瀬詣で

そのかへる年の十月二十五日、大嘗会の御禊とののしるに、

その翌年の十月二十五日、大嘗会の御禊と世間では大騒ぎしているとき、

初瀬の精進はじめて、その日京を出づるに、

(私は)ちょうど初瀬の精進をはじめて、その日(御禊の当日)、都を出ると、

しかるべき人々、「一代に一度の見物にて、田舎せかいの人だに見るものを、

親しい人々は、「(天皇)一代に一度しかない見物で、田舎の人たちでさえ見ようとしているのに、

月日多かり、その日しも京をふり出でていかむも、

(出発するための)日はたくさんある(が)、よりによってちょうどその当日に京都を出て行こうというのは、

いとものぐるほしく、ながれての物語ともなりぬべきことなり」など、

非常にばかげており、後の語り草になるにちがいないことだ」と言い、

はらからなる人はいひ腹立てど、児どもの親なる人は、

兄弟である人は腹立たしげに言うが、子どもたちの父親である人(夫)は、

「いかにもいかにも心にこそあらめ」とて、

「どうにもどうにも、思うようにしたらいい」と言って、

いふにしたがひて、出だしたつる心ばへもあはれなり。

私の言うままに出立させてくれた、その気持ちがとてもありがたい。

ともに行く人々も、いといみじく物ゆかしげなるは、いとほしけれど、

一緒に行く人たちは、非常に御禊を見たがっていて、気の毒ではありましたが、

「物見て何にかはせむ。かかるをりに詣でむ志を、さりともおぼしなむ。

「そうした見物をして何になろうか。こうした折にお参りする志を、仏様は殊勝なことだとお思いになるにちがいない。

かならず仏の御しるしを見む」と思ひ立ちて、その暁に京を出づるに、

必ず仏様のご利益があるにちがいない」と思ってその日の暁(のころ)に京都を出たが、

二条の大路をしも渡りて行くに、さきに御明かし持たせ、

二条大路を通っていくと、先を行く者に御明かしを持たせて、

供の人々浄衣姿なるを、そこら、桟敷どもにうつるとて、

お供の人々は浄衣姿であるのを、たくさん、桟敷に移ろうとして、

往きちがふ馬も車もかち人も、

行き違う大勢の馬も、車も、徒歩の人も、

「あれはなぞそ、 あれはなぞ」と、やすからずいひおどろき、あさみ笑ひ、あざける者どももあり。

「あれは何だ、あれは何だ」と、驚いて騒ぎ、あきれて笑い、あざける者たちもあった。

良頼の兵衛督と申しし人の家の前を過ぐれば、それ桟敷へ渡りたまふなるべし。

良頼の兵衛督と申す人の家の前を過ぎたところ、その方が桟敷へお出かになるところであろう。

門広うおしあけて、人々立てるが、

門を広く押し開けて、人々が立っていたが、

「あれは物詣人なめりな。月日しもこそ世に多かれ」と笑ふ中に、

「あれは物詣での人であるようだな。月日は他にいくらもあるのに」と笑う中に、

いかなる心ある人にか、「一時が目をこやして何にかはせむ°

どのような思慮深い人であろうか、「一時目を楽しませてなんになろうか。

いみじくおぼし立ちて、仏の御徳かならず見たまふべき人にこそあめれ。

殊勝に思い立って、仏のご利益を、必ずや王家になるに違いない人だろう。

よしなしかし。物見で、かううこそ思ひ立つべかりけれ」

つまらぬことだなあ。見物などしないで、このように物詣でを思い立つべきであったことよ」

とまめやかにいふ一人ぞある。

と、まじめに言う人が一人ありました。

道顕証ならぬさきにと、 夜深う出でしかば、

道があまり明るくならないうちにと、夜深いうちに出かけたので、

立ち遅れたる人々も待ち、いとおそろしう深き霧をも少しはるけむとて

出発が遅れた人たちをも待ち、非常に恐ろしく深い霧が少し晴れるのを待とうとして、

法性寺の大門に立ちとまりたるに、田舎より物見に上る者ども、

法性寺の正門前に立ちどまっていると、田舎から見物に上ってきた者たちが、

水の流るるやうにぞ見ゆるや。すべて道もさりあへず、

水が流れるように見えることだ。まったく道も(人を)避けることができず、

物の心知りげもなきあやしの童べまで、 ひきよきて行き過ぐるを、

分別もなさそうな身分の低い子どもまでが、(私たち一行が)避けて通り過ぎるのを、

車をおどろきあさみたることかぎりなし。

車を(見て)驚きあきれていることはこの上もなかった。

これらを見るに、 げにいかに出で立ちし道なりともおぼゆれど、

これらを見るにつけても、なるほどどうして出かけてきてしまった旅であるのかとも思われたが、

ひたぶるに仏を念じしたてまつりて、宇治の渡りに行き着きぬ。

ただひたすら仏様をお祈り申し上げて、宇治川の渡し場に行き着いた。

そこにもなほしもこなたざまに渡りする者ども立ちこみたれば、

そこにもやはり川岸のこちら側に渡ってくる者たちで混雑していたので、

舟の楫とりたるをのこども、舟を待つ人の数も知らぬに心おごりしたるけしきにて、

舟の舵を取っている男たちは、舟を待つ人が数限りなくいるのに、高飛車な様子で

袖をかいまくりて、顔にあてて、棒におしかかりて、とみに舟も寄せず、

袖をまくって、顔に当てて、さおに寄りかかって、すぐには舟も寄せず、

うそぶいて見まはし、いといみじうすみたるさまなり。

とぼけて周囲を見回し、非常にとりすましている様子である。

むごにえ渡らで、つくづくと見るに、紫の物語に宇治の宮のむすめどものことあるを、

いつまでたっても渡ることができないで、つくづくと見ていると、『源氏物語』に、宇治の宮の姫君たちのことが書かれているが、

いかなる所なれば、そこにしも住ませたるならむとゆかしく思ひし所ぞかし。

どんな所であるので、そこに住まわせたのであろうかと見てみたいと思っていた場所であったことよ。 

関西外国語大学 国語(古文)の解答方針

解答方針

本文を読む前に必ず出典、リード文(あれば)を確認

〇(人によっては)内容把握問題の選択肢を見て、大まかな内容をつかんでから本文を読む

語彙、文学史等の問題は、傍線部に当たった段階で解答する

傍線部に関する問題は、傍線部に当たった段階で設問と選択肢を確認。解答できそうであればこのタイミングで解答し、選択肢が絞り切れなければ読み進めてから解答する

傍線部が引かれていない問題本文を通読してから解答する

〇設問に「異なるもの」「適当でない」などの指示があっても太字や傍線などが引かれていないため、他の大学に比べ設問を注意深く読む


問1 語彙問題

問1

a ②

b ④

c ⑤

d ① ⇒dの問題は難易度高め。正解できなくても仕方がないと割り切ろう。ちなみに学校で触れた人も多い「児のそら寝」に出てくる語でもある。

まずは辞書的な意味で判断し、選択肢を削る。必要に応じ、残った選択肢に対して文脈判断の上選択肢を絞り込む。


問2 主語判別問題

問2:5

古文は主語が省略されることが多い文章であるが、尊敬語接続助詞(て、で、つつ/ば、ど、が、に、を)から、前後の文脈などから主語を判別できるようになっておきたい(この場合は尊敬語の「おぼす」、文脈から「仏」が主語であることが分かる)。


問3 理由説明問題

問3:4

1 「とてもみすぼらしかったから」が不適。

2 「大変恐ろしげな~中から」「突然現れたから」が不適。

3 「筆者の牛車が遅かったから」が不適。これだと筆者一行と人々が同方向に進んでいることになる。

5 「見物の人々~立ち止まった」が不適。


問4 文学史問題

問4:1
「紫の物語」は源氏物語を指す。「紫のゆかりの物語」の名称も押さえておきたい。

問5 助動詞識別問題

問5:2

1つ目:意志

2つ目:推量

3つ目:推量

4つ目:推量

5つ目:意志


問6 現代語訳問題

解答の方針

★まずは必ず品詞分解をする。また、本文のジャンルを意識した上で主語などの省略されている語を補い訳を組み立てる。

問6(Ⅰ)

① 「周囲の人の言うままに出立した」が不適。

② 「夫などの」「気の毒だ」が不適。

③ 「勧めてくれたのでそれに従った」「申し訳ない」が不適。

④ 状況は間違っていないが、傍線部に対する訳になっていない。よって不適。

問6(Ⅱ)

① 「仏が」「を」「見届けて下さる」が不適。

② 「お姿を」が不適。文脈からも不適。

④ 「仏が」「お姿をお見せになる」が不適。

⑤ 「必ずこの人の~なるだろう」が不適。

 
 
問6(Ⅲ)

① 「船を待つ人が」が不適。

② 「心躍るような」が不適。

④ 「知らぬ風を装って」が不適。

⑤ 「気がつかぬほど」「心奪われる」が不適。

問7 内容一致問題

問7:5

1 「人と同じことをするのが嫌い」が不適。本文に記述無し。

2 「恥ずかしく思った」が不適。確かに心は折れかけたが・・・

3 「仏に詣でる~望んで」が不適。大嘗会の御禊が見たかった。

4 「周りの人々は心から応援した」が不適。暖かく見守っていたのは作者の夫のみ。


問8

問8:5

「男性が仮名文字で著した日記文学」といえば「男もすなる日記といふものを女、女もしてみむとて、するなり」という一節で始まる土佐日記。男性である作者が自身の身を女性に仮託し、「女性が使う」とされていた平仮名を用いて記している。


今回はここまで🐸

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