更級日記『源氏の五十余巻』定期テスト対策&テスト予想問題①

更級日記『源氏の五十余巻』定期テスト対策&テスト予想問題①

はじめに

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。


今回は更級日記から『源氏の五十余巻』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。

学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう

また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味

まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ直前の確認にも活用してください!
思ひくんずおもいくんず思い悩む。「くんず」はふさぎこむ。
自づからおのづから自然と。
紫のゆかりむらさきのゆかりここでは『源氏物語』の若紫の巻のこと。
いみじ程度が「はなはだしい」のほか、「すばらしい」「ひどい」の意味を持つ。
ゆかし見たい。聞きたい。知りたい。
太秦うずまさ現在の京都市右京区。
異事ことごと他のこと。
果つはつ終わる。
口惜しくちおし残念だ。
のぼる上京する。
うつくしかわいい。
まめまめし実用的だ。まじめだ。
まさなしよくない。
奉るたてまつる(本動詞)差し上げる。「与ふ」の謙譲語
ひつ蓋つきの箱。
はしるはしる心が走り出すような、わくわくする様子。
几帳きちやう布製のついたて。


②文法的説明問題

特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!

かくのみ思ひくんじたるを、心も慰めむと、心苦しがりて、存続の助動詞「たり」の連体形
かくのみ思ひくんじたるを、心も慰めと、心苦しがりて、意志の助動詞「む」の終止形
続きの見まほしくおぼゆれど、人語らひなどもえせず。希望の助動詞「まほし」の連用形
続きの見まほしくおぼゆれど、人語らひなどもせず。後ろに「打消」を伴って「不可能」の意味を表す。
たれもいまだ都なれほどにて、え見つけず。打消の助動詞「ず」の連体形
「この源氏の物語、一の巻よりしてみな見せたまへ。」とハ行四段活用動詞「たまふ」の命令形。

この場合は尊敬の補助動詞であり、「お~なる」、「~なさる」という意。

ここでは作者から神仏への敬意。
心のうちに祈る。親の太秦に籠りたまへにも、存続の助動詞「り」の連体形
異事なくこのことを申して、「出でままにこの物語見果てむ。」仮定の助動詞「む」の連体形。

助動詞「む」が文中に連体形で出てきた場合
・「む(連体形)」+「は」、「に」、「には」、体言⇒仮定
・「む(連体)」+体言⇒婉曲
※婉曲は助動詞「む」を訳出しなくても文意が通じる場合。
異事なくこのことを申して、「出でむままにこの物語見果て。」意志の助動詞「む」の終止形。

助動詞「む」が文末にある場合
・主語が一人称⇒意志
・主語が二人称⇒適当/当然/命令
・主語が三人称⇒推量
いと口惜しく思ひ嘆かるるに、自発の助動詞「る」の連体形
をばなる人の田舎よりのぼりたる所に渡いたれば、断定の助動詞「なり」の連体形
をばなる人の田舎よりのぼりたる所に渡いたれば、存続の助動詞「たり」の連体形
をばなる人の田舎よりのぼりたる所に渡いたれば、サ行四段活用動詞「渡す」の連用形「渡し」のイ音便
「いとうつくしう、生ひなりけり。」など、完了の助動詞「ぬ」の連用形
「いとうつくしう、生ひなりにけり。」など、詠嘆の助動詞「けり」の終止形。

助動詞「けり」が会話文や和歌で使用されている場合は、「過去」だと早合点しないようにしたい。
あはれがり、めづらしがりて、帰るに、「何をか奉らむ。ラ行四段活用動詞「奉る」の未然形。

「奉る」は尊敬語・謙譲語両方の用法があるため、苦手とする受験生が多い。以下に整理しておくのでしっかり確認しておこう。
〇尊敬語
【本動詞】
・「食ふ」「飲む」の尊敬語「召し上がる」
・「乗る」の尊敬語「お乗りになる」
・「着る」の尊敬語「お召しになる」
〇謙譲語(謙譲語の方が目にする機会は多い!)
【本動詞】
・「与ふ」の謙譲語「差し上げる」
【補助動詞】
・「~し申し上げる」
★「補助動詞は用言や助動詞などの活用する語に付く場合である」ことを押さえておきたい。

ここでは「をば」から作者への敬意。
あはれがり、めづらしがりて、帰るに、「何をか奉ら意志の助動詞「む」の連体形。
係助詞「か」を受けて係り結びが成立している。
まめまめしきものは、まさなかりむ。ゆかしくしたまふなるものを奉らむ。」強意の助動詞「ぬ」の未然形。

直後に「推量」や「推定」の助動詞がある場合、「完了」ではなく「強意」の意味で訳出を行うのが基本。
まめまめしきものは、まさなかりな。ゆかしくしたまふなるものを奉らむ。」推量の助動詞「む」の終止形
まめまめしきものは、まさなかりなむ。ゆかしくしたまふなるものを奉らむ。」伝聞の助動詞「なり」の連体形。


③現代語訳問題

①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!
続きの見まほしくおぼゆれど、人語らひなどもえせず、続きが見たく思われるが、人に相談することなどもできず、

(ポイント)
・「まほしく」:希望の助動詞「まほし」の連用形。
・「人語らひ」:人に相談すること。ここでは『源氏物語』を何とかして入手する方法がないかについて相談することを指している。
・「え」~打消:不可能。
いみじく心もとなく、ゆかしくおぼゆるままに、非常にもどかしく、(源氏物語の続きが)見たいと思われるので、

(ポイント)
・「いみじ」「心もとなし」「ゆかし」はそれぞれ重要単語。しっかり意味を押さえておきたい。
をばなる人の田舎よりのぼりたる所に渡いたれば、おばである人(=おば)が田舎から上京して来ている所に(親が私を)連れて行ったところ、

(ポイント)
・「なる」:断定の助動詞「なり」の連体形。
・「渡い」:サ行四段活用動詞「渡す」の連用形「渡し」のイ音便。
自動詞「渡る」ではなく他動詞「渡す」であることに注意。
「いとうつくしう、生ひなりにけり。」など、「非常にかわいく、大きくなったこと。」などと、

(ポイント)
・助動詞「けり」は詠嘆。
まめまめしきものは、まさなかりなむ。ゆかしくしたまふなるものを奉らむ。」実用的なものはよくないでしょう。(あなたが)見たいと思いなさっていらしいものを差し上げましょう。」

(ポイント)
・「まめまめし」「まさなし」「ゆかし」「奉る」はそれぞれ重要単語。「奉る」は謙譲の本動詞として用いられている。
・「まさなかりなむ」は品詞分解をすると「まさなかり/な/む」。形容詞は後に助動詞が来る場合、補助活用を行う。
・「な」は直前の「まさなし」が連用形であることから、強意の助動詞「ぬ」の未然形であることが分かる。
もし人手にかからば自害をせんずれば、もし人(敵)に殺されそうになるならば自害をするつもりのため、

(ポイント)
・未然形+「ば」=仮定。
・「ん(む)ずれ」は意志の助動詞「んず(むず)」の已然形。
・已然形+「ば」=(ここでは)原因・理由。
木曽殿の最後のいくさに、女を具せられたりけりなんど言はれんことも、しかるべからず。『木曽殿が最後の戦に女をお連れになったらしい』などと言われるようなことも、ふさわしくない。

(ポイント)
・「具す」は連れる。
・「られ」は尊敬の助動詞「らる」の連用形。
・「言はれんことも」の「ん」は婉曲の助動詞「む」の連体形。文中であるため、まずは仮定か婉曲かで判断する。
・何故「しかるべからず」なのかは解釈の余地があるが、いくら巴が勇猛であるとはいえ、木曽殿の最後のいくさに女性を連れていたと周囲の人に言われることは「(自分にとって)ふさわしくない」ということである。


④読解問題

様々な種類の問題が想定されるが、事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。

「かくのみ思ひくんじたるを、心も慰めむと、心苦しがりて」とあるが、この文の主語を答えよ。
「紫のゆかりを見て」とあるが、「紫のゆかり」とは何を指すか。『源氏物語』の若紫の巻。
「異事なくこのことを申して、『出でむままにこの物語見果てむ。』」とあるが、「このこと」とは何を指すか。本文中から抜き出して答えよ。源氏の物語、一の巻よりしてみな見せたまへ。
「源氏の五十余巻、櫃に入りながら、在中将、とほぎみ、せり河、しらら、あさうづなどいふ物語ども」とあるが、「在中将」は何の物語を指していると考えられるか。『伊勢物語』


今回はここまで🐸

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