大鏡『花山院の出家』定期テスト対策&テスト予想問題①

大鏡『花山院の出家』定期テスト対策&テスト予想問題①

はじめに

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。


今回は大鏡から『花山院の出家』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。

学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう

また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味

まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ直前の確認にも活用してください!
あはれなりお気の毒なことに。かわいそうなことに。
おる退位する。
おはしますいらっしゃる。「あり」の尊敬語。
有明の月ありあけのつき夜が明けてもまだ空に残っている月のこと。
いみじ程度が甚だしい。(副詞的に用いて)非常に。
顕証なりけんしようなりきわだっている、目立っている。
神璽しんし皇位の証として受け継がれる三種の神器のこと。神璽は勾玉。
宝剣ほうけん皇位の証として受け継がれる三種の神器のこと。宝剣は文字通り剣。
粟田殿あはたどの藤原道兼のこと。藤原道隆の弟で、藤原道長の兄。
手づからてづから自分の手で。自ら。
春宮とうぐう皇太子。
さやけし明るい。明るくてすがすがしい。
おぼしめすお思いになる。「思ふ」の尊敬語。
出家すけ/しゆつけ俗世間から離れて、仏道修行に専念すること。
弘徽殿の女御こきでんのにようごここでは藤原怟子(しし)のこと。花山天皇と婚姻関係にあった。
日ごろひごろふだん。
自らおのづから自然と。
そら泣きすそらなきすうそ泣きをする。泣いたふりをする。


②文法的説明問題

特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!

あはれなることは、おりおはしましける夜は、サ行四段活用動詞「おはします」の連用形。ここでは語り手から花山天皇への敬意が示される。
藤壺の上の御局の小戸より出でさせたまひけるに、有明の月のいみじく明かかりければ、尊敬の助動詞「さす」の連用形。

ここでは語り手から花山天皇への敬意が示される。
助動詞「す」「さす」の下に尊敬語がある場合は尊敬で取るのが基本。
「顕証こそありけれ。いかがすべからむ。」と仰せられけるを、ナリ活用の形容動詞「顕証なり」の連用形の活用語尾。
「顕証にこそありけれ。いかがべからむ。」と仰せられけるを、サ行変格活用動詞「す」の終止形
「顕証にこそありけれ。いかがすべからむ。」と仰せられけるを、適当の助動詞「べし」の未然形
「顕証にこそありけれ。いかがすべから。」と仰せられけるを、意志の助動詞「む」の連体形
「顕証にこそありけれ。いかがすべからむ。」と仰せられけるを、尊敬の助動詞「らる」の連用形
「さりとて、とまらたまふべきやうはべらず。神璽・宝剣わたりたまひぬるには。」尊敬の助動詞「す」の連用形。

粟田殿から花山天皇への敬意が示される。
「さりとて、とまらせたまふべきやうはべらず。神璽・宝剣わたりたまひぬるには。」当然の助動詞「べし」の連体形
「さりとて、とまらせたまふべきやうはべらず。神璽・宝剣わたりたまひぬるには。」完了の助動詞「ぬ」の連体形
まだ帝出でさせおはしまさざりけるさきに、尊敬の助動詞「さす」の連用形。

ここでは語り手から花山天皇への敬意が示される。
まだ帝出でさせおはしまさざりけるさきに、打消の助動詞「ず」の連用形
手づから取りて、春宮の御方にわたしたてまつりたまひければ、完了の助動詞「つ」の連用形。

過去の助動詞を伴う場合の「つ」「ぬ」は完了で解釈するのが基本。
手づから取りて、春宮の御方にわたしたてまつりたまひてければ、過去の助動詞「けり」の已然形
帰り入らせたまはむことはあるまじくおぼして、打消当然の助動詞「まじ」の連用形
「わが出家は成就するなりけり。」と仰せられて、断定の助動詞「なり」の連用形
「わが出家は成就するなりけり。」と仰せられて、詠嘆の助動詞「けり」の終止形。

会話や和歌の「けり」は過去と決めつけない。
今まで気付かなかったことに、はじめて気付いてハッとする驚きや感動を表す。
「わが出家は成就するなりけり。」と仰せられて、尊敬の助動詞「らる」の連用形
弘徽殿の女御の御文、日ごろ破り残して御身も放たず御覧じけるをおぼしめし出でて、格助詞「の」の同格用法
「しばし。」とて、取りに入りおはしましけるほどかし、強意の係助詞
「しばし。」とて、取りに入りおはしましけるほどぞかし念押しの終助詞
なんど言はれんことも、しかるべからず。」当然の助動詞「べし」の未然形。
ただ今過ぎば、おのづから障りも出でまうで来なむ。」と、ガ行上二段活用動詞「過ぐ」の未然形。
未然形+「ば」のパターンであり、仮定の用法。
ただ今過ぎば、おのづから障りも出でまうで来む。」と、強意の助動詞「ぬ」の未然形。

推量の助動詞を伴う場合の「つ」「ぬ」は強意で解釈するのが基本。
ただ今過ぎば、おのづから障りも出でまうで来な。」と、推量の助動詞「む」の終止形


③現代語訳問題

①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!
あはれなることは、おりおはしましける夜は、お気の毒なことは、(花山天皇が)ご退位なさった夜は、

(ポイント)
・「あはれなり」の解釈。ここでは語り手から花山天皇(院)に対して同情する思いが込められていると解釈するのが自然であると思われるため、「お気の毒なことに」と訳を当てる。
・「おり」は漢字を当てると「降り」。退位する。
「顕証にこそありけれ。いかがすべからむ。」と仰せられけるを、「(隠しようがなく)目立っているなぁ。どうするのがよいのか。」と(花山天皇が)おっしゃったのを、

(ポイント)
・「顕証なり」は(姿)がはっきり見える、目立っているさまを示す。
・「いかがすべからむ」は疑問で解釈している。
「さりとて、とまらせたまふべきやうはべらず。神璽・宝剣わたりたまひぬるには。」「そうはいっても、(ご退位を)お思いとどまりになってよいものではございません。神璽も宝剣も(東宮に)お渡りになってしまったからには。」

(ポイント)
・「とまる」はここでは「思いとどまる」こと。
・発言しているのは粟田殿(藤原道兼)。花山天皇に向けてのセリフであり、「せたまふ」と二重尊敬が使われている。
帰り入らせたまはむことはあるまじくおぼして、(花山天皇が宮中に)お帰りなさるようなことがあってはならないとお思いになって、

(ポイント)
・「む」は婉曲。
・「まじ」は打消当然。花山天皇が宮中に変えるようなことは「当然にあってはならない」という、強いニュアンス。
「わが出家は成就するなりけり。」と仰せられて、「私の出家は成就するのだなぁ。」とおっしゃって、

(ポイント)
・「なり」は断定。
・「けり」は詠嘆。和歌や会話における「けり」は、まずは詠嘆と解釈しておくのが吉。
弘徽殿の女御の御文の、日ごろ破り残して御身も放たず御覧じけるをおぼしめし出でて、弘徽殿の女御のお手紙で、ふだん破り残して御身から離さずに御覧になったお手紙をお思いだしになって、

(ポイント)
・「御文の」の「の」は同格。前の文と後ろの文を=関係で結ぶか、後置修飾のように解釈すると良い。
ただ今過ぎば、おのづから障りも出でまうで来なむ。ただ今を過ぎるならば、自然と支障もやってまいりましょう。

(ポイント)
・「過ぎ」はガ行上二段活用動詞「過ぐ」の未然形。
・未然形+「ば」のパターンであるので、仮定で解釈する。
・「障り」は支障や差支えのこと。
・「来なむ」は「来/な/む」と品詞分解できる。推量の助動詞を伴う場合の「つ」「ぬ」は強意で解釈するのが基本。


④読解問題

様々な種類の問題が想定されるが、事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。

「『顕証にこそありけれ。いかがすべからむ。』と仰せられけるを」とあるが、何故「顕証」であるのか。解答例
有明の月が煌々と照らしており、姿が見えてしまうため。
「『しばし。』とて、取りに入りおはしましけるほどぞかし」とあるが、①誰が、②何を取りに行ったのか。解答例
①加算天皇
②弘徽殿の女御からの「御文」
「粟田殿の、「いかにかくはおぼしめしならせおはしましぬるぞ」について、「かく」の指示内容を説明せよ。解答例
花山天皇が弘徽殿の女御からの手紙を取りに宮中に戻ろうとしていること。
「粟田殿の、『いかにかくは(中略)そら泣きしたまひけるは。」に使われている表現技法を簡潔に答えよ。倒置法


今回はここまで🐸

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