源氏物語『若紫 垣間見』定期テスト対策&テスト予想問題①
はじめに
こんにちは!こくご部です。
定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。
今回は源氏物語から『桐壺 光源氏の誕生』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。
学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう。
また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。
必要に応じて解説も記しておきます。
古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥
それでは行ってみましょう!
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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味
まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ!直前の確認にも活用してください!
つれづれなり | やることがなく手持無沙汰である。 ナリ活用の形容動詞。 | |
小柴垣 | こしばがき | 細い木の枝を編んで作った背の低い垣根のこと。 |
朝臣 | あそん | 五位以上の貴族の名につける敬称のこと。 読みが頻出。 |
西面 | にしおもて | 西向きの部屋のこと。 この場面では極楽浄土があるとされる西方に向かって祈っている。 |
持仏 | ぢぶつ | 守り本尊として常に身近に置いて信仰する仏像のこと |
行ふ | おこなふ | 仏道修行をする・勤行する。 ハ行四段活用動詞。 |
簾 | すだれ | 部屋の外と内を隔てたり、日よけにしたり、部屋の中を隔てたりするのに使うもの。 |
奉る | たてまつる | ラ行四段活用動詞。 「奉る」は尊敬語・謙譲語両方の用法があるため、苦手とする受験生が多い。以下に整理しておくのでしっかり確認しておこう。 〇尊敬語 【本動詞】 ・「食ふ」「飲む」の尊敬語「召し上がる」 ・「乗る」の尊敬語「お乗りになる」 ・「着る」の尊敬語「お召しになる」 〇謙譲語(謙譲語の方が目にする機会は多い!) 【本動詞】 ・「与ふ」の謙譲語「差し上げる」 【補助動詞】 ・「~し申し上げる」 ★「補助動詞は用言や助動詞などの活用する語に付く場合である」ことを押さえておきたい。 |
脇息 | けふそく | 肘をかけて休憩するための道具のこと。 |
あてなり | 上品だ。優雅だ。 ナリ活用の形容動詞。 漢字をあてると「貴なり」であるとおり、身分が高い、がもとの意味。 | |
なかなか | 中途半端に、かえって。 | |
こよなし | 格別に。 ク活用の形容詞。 本文では連用形「こよなく」のウ音便の形になっている。 | |
今めかし | いまめかし | 華やかである。現代風である。 シク活用の形容詞。 |
清げなり | きよげなり | さっぱりとして清潔感があり、単純に美しいさま。 ナリ活用の形容動詞。 光輝いて見えるほどの最上級の美を表す「清らなり」とは別の語。 |
童部 | わらはべ | 子どもたち。 |
あまた | たくさん。 | |
うつくしげなり | かわいい。美しい。 | |
容貌 | かたち | 顔立ち。 |
おぼゆ | 似ている。 ヤ行下二段活用動詞。ハ行四段活用動詞「思ふ」に奈良時代の「受身」「可能」「自発」の助動詞「ゆ」が付いて一語になった語。 |
②文法的説明問題
特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!
持仏すゑたてまつりて行ふ尼なりけり | ラ行四段活用動詞「奉る」の連用形 ここでは「据う」という動詞の直後にあり、謙譲の補助動詞(~し申し上げる)の用法。 |
持仏すゑたてまつりて行ふ尼なりけり | 詠嘆の助動詞「けり」の終止形 過去と解釈するのも一つだが、垣間見をしている光源氏が「尼だったのか!」と「はっと気づく」シーンである。 |
簾少し上げて、花奉るめり | 推定の助動詞「めり」の終止形 助動詞「めり」は視覚に基づいた推定をする際に使われる。聴覚に基づいた推定を表す場合は推定の助動詞「なり」を使う。 |
十ばかりにやあらむと見えて | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
十ばかりにやあらむと見えて | 疑問の係助詞 |
十ばかりにやあらむと見えて | 推量の助動詞「む」の連体形 係助詞「や」を受けて係り結びが成立している。 |
あまた見えつる子どもに似るべうもあらず | 完了の助動詞「つ」の連体形 |
あまた見えつる子どもに似るべうもあらず | 当然の助動詞「べし」の連用形のウ音便 |
何事ぞや | 強意の係助詞 |
何事ぞや | 疑問の係助詞 ここでは係り結びとは関係なく文末に用いられているが、係助詞「ぞ」「や」「か」は文末に終助詞的に用いられて「強調」「反語」「疑問」などの意味を持つこともある。 |
「子なめり。」と見たまふ。 | 断定の助動詞「なり」の連体形「なる」の撥音便無表記形 「なる」が撥音便になる⇒「なん」になる。⇒「ん」が表記されなくなり「な」だけになる、という遷移。 |
「子なめり。」と見たまふ。 | 推定の助動詞「めり」の終止形 |
③現代語訳問題
①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!
持仏すゑたてまつりて行ふ尼なりけり。 | 仏像を置き申し上げて、仏道修行をする尼だったのだ。 (ポイント) ・ここでの「たてまつる」は謙譲の補助動詞 ・「行ふ」の訳出 ・助動詞「けり」は詠嘆 |
簾少し上げて、花奉るめり。 | 簾を少し上げて、花を(仏像に)差し上げるようだ。 (ポイント) ・ここでの「たてまつる」は謙譲の本動詞 ・「持仏」に「たてまつ」っている ・助動詞「めり」は推定 |
いとなやましげに読みゐたる尼君 | たいそう気分が悪く苦しそうにお経を読み座っている尼君 (ポイント) ・「なやましげ」=苦しそう。動詞の「なやむ」からの連想 ・「ゐる」=座る |
なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな | かえって長い髪よりも格段に現代風であることだなあ。 ・「なかなか」=かえって。 ・「こよなう」=ク活用の形容詞「こよなし」の連用形のウ音便。格別に。 ・「今めかし」=現代風だ。華やかだ。 ・「かな」=詠嘆の終助詞 |
十ばかりにやあらむと見えて | 十歳ほどであろうかと見えて (ポイント) ・話題は「女子」=若紫(後の紫の上)。 ・「にやあらむ」の訳出 |
あまた見えつる子どもに似るべうもあらず | たくさん見えた子どもに似るはずもなく ・「あまた」=たくさん。 ・「べう」=当然の助動詞「べし」の連用形のウ音便。 |
④読解問題
様々な種類の問題が想定されるが、大事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。
「尼なりけり」について、光源氏はどのような心情であると想像できるか。 | 解答例 美しい女性を求めて垣間見していたところ、姿が見えたのは尼であり、驚いた。 |
「なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな」について、①誰が、②何を、③どのように評価しているのか。説明せよ。 | 解答例 ①光源氏が ②尼君(の髪)を ③一般的に、当時の女性は腰の辺りまで髪を伸ばしていたが、尼君は出家しており「尼そぎ」をしており、かえって長い髪よりも格別に現代風に見えた。 |
「子なめり」について、光源氏は誰と誰が親子であると判断したのか。 | 解答例 尼君と女子(若紫)。 |
「子なめり」について、光源氏がそのように判断した理由がわかる一文を本文から抜き出せ。 | 尼君の見上げたるに、少しおぼえたるところあれば |
今回はここまで🐸
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