平家物語『木曽の最期』品詞分解/現代語訳/解説⑧

平家物語『木曽の最期』品詞分解/現代語訳/解説⑧

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今回は平家物語の『木曽の最期』について、できるだけ短い固まりで本文⇒品詞分解⇒現代語訳の順で見ていきます。

必要に応じて解説なども記しています。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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御身は疲れさせたまひて候ふ。続く勢は候はず。

御身    名詞    読みは「おんみ」。
係助詞
疲れ動詞ラ行下二段活用動詞「疲る」の未然形
させ助動詞尊敬の助動詞「さす」の連用形。
今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
たまひ動詞ハ行四段活用動詞「たまふ」の連用形。
「たまふ」は四段活用と下二段活用があり、前者が尊敬語、後者が謙譲語であるので注意が必要。
この場合は尊敬の補助動詞であり、「お~なる」、「~なさる」という意。
今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
接続助詞
候ふ動詞ハ行四段活用動詞「候ふ」の終止形。
「あり」「をり」の謙譲語、「あり」「をり」の丁寧語、丁寧語の補助動詞(~ございます、~です)の意味がある。
ここでは丁寧語の補助動詞として使われ、今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
続く動詞カ行四段活用動詞「続く」の連体形
名詞漢字のとおり、「勢い、勢力」、「軍勢、兵力」、「形、大きさ」といった意味を持つ語。
ここでは「軍勢」の意味で使われる。
係助詞
候は動詞ハ行四段活用動詞「候ふ」の未然形。
「あり」「をり」の丁寧語として使われ、今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
助動詞打消の助動詞「ず」の終止形
お身体はお疲れでいらっしゃいます。続く軍勢はございません。

かたきに押し隔てられ、言ふかひなき人の郎等に組み落とされさせたまひて、

かたき     名詞   漢字を当てると「敵」。
格助詞
押し隔て動詞タ行下二段活用動詞「押し隔つ」の未然形。
「押し」は接頭語で、「しいて~する」「強く~する」の意味を持つ。
られ助動詞受身の助動詞「らる」の連用形。
助動詞「る」・「らる」は受身、尊敬、自発、可能の四つの意味をもつ。主な意味の見分け方は次のとおり。原則⇒文脈判断の順番で自然な訳を組み立てたい。

①受身 ⇒「~に」(受身の対象)+「る」(「らる」)
②尊敬 ⇒尊敬語+「る」(「らる」)
③自発 ⇒知覚動詞(「思ふ」「しのぶ」「ながむ」等)+「る」(「らる」)
④可能 ⇒「る」(「らる」)+打消・反語

また、助動詞「る」「らる」は接続する動詞の活用の種類によって使い分けられるため、併せて覚えておきたい。
四段活用動詞、ナ行変格活用動詞、ラ行変格活用動詞の未然形は「る」が使われる。その他の動詞の未然形には「らる」が使われる。
「四段な(ナ変)ら(ラ変)る」と覚えるのも手。
言ふかひなき形容詞ク活用の形容詞「言ふかひなし」の連体形。
ここでは「つまらない」の意味で使われる。
名詞
格助詞
郎等名詞家来、の意。
読みは「らうどう」。
格助詞
組み落とさ動詞サ行四段活用動詞「組み落とす」の未然形
助動詞受身の助動詞「る」の未然形
させ助動詞尊敬の助動詞「さす」の連用形。
今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
たまひ動詞ハ行四段活用動詞「たまふ」の連用形。
ここでは尊敬の補助動詞として使われ、今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
接続助詞
敵にしいて隔てられ、つまらない人の家来に組み落とされなさって、
 

討たれさせたまひなば、

討た    動詞   タ行四段活用動詞「討つ」の未然形
助動詞受身の助動詞「る」の未然形
させ助動詞尊敬の助動詞「さす」の連用形。
今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
たまひ動詞ハ行四段活用動詞「たまふ」の連用形。
尊敬の補助動詞として使われ、今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
助動詞強意の助動詞「ぬ」の未然形
接続助詞★重要文法
接続助詞の「ば」は以下の2パターンを整理しておきたい。
①未然形+「ば」 ( 未だ然らず、つまりまだ出来事が起きていない)
⇒仮定(もし~ならば)
②已然形+「ば」 (已に然り、もうその状態になっている)

(ⅰ)原因・理由(~なので)
(ⅱ)偶然(~したところ)
(ⅲ)必然(~するといつも)

ここでは仮定。
お討たれになるならば、

『さばかり日本国に聞こえさせたまひつる木曽殿をば、

さばかり     副詞   「そ(あ)の程度、そ(あ)れほど」、「非常に」といった意味を持つ語。
日本国名詞
格助詞
聞こえ動詞ヤ行下二段活用動詞「聞こゆ」の未然形。
★重要単語
「聞こえる」「評判になる」「分かる」などの一般動詞としての用法と、「言ふ」の謙譲語である「申し上げる」、謙譲の補助動詞である「お~申し上げる」の用法がある。謙譲語としての「聞こゆ」は、直前に動詞があるかどうかで意味を判別する必要がある。
させ助動詞尊敬の助動詞「さす」の連用形。
郎等から木曽殿への敬意が示される。
たまひ動詞ハ行四段活用動詞「たまふ」の連用形。
尊敬の補助動詞として使われ、郎等から木曽殿への敬意が示される。
つる助動詞完了の助動詞「つ」の連体形。
同じ完了の意味で同じ連用形接続の「ぬ」との違いが聞かれることもあるのでまとめておく。
「ぬ」:自然的な作用を示す場合に用いられる
⇒ ex.「風立ちぬ」
「つ」:人為的、意図的な作用を示す場合に用いられる
⇒ex.「石炭をばはや積み果てつ」

【余談】
先の用例で紹介した「石炭をばはや積み果てつ」は森鴎外『舞姫』からの引用。高校の授業で『舞姫』を扱う学校は多いが、こだわりのある先生であればこの一文字で1時間の授業ができるほどの名文と言える。興味のある人は『舞姫』の中で「つ」と「ぬ」がどのように使い分けられているかチェックしてみてほしい。
木曽殿名詞
格助詞「をば」の形で、「を」の前の対象を「は」によって強調する。
格助詞「を」+係助詞「は」が濁音化したもの。
係助詞
『あれほど日本国で評判でいらっしゃった木曽殿を、

それがしが郎等の討ちたてまつたる。』

それがし          代名詞         名のはっきりしない人や、知っていても明示する必要のない人をぼかして言う際に使われる語                       
格助詞
郎等名詞
格助詞主格用法
討ち動詞タ行四段活用動詞「討つ」の連用形
たてまつ動詞ラ行四段活用動詞「たてまつり」を転用した語。
★重要単語
「奉る」は尊敬語・謙譲語両方の用法があるため、苦手とする受験生が多い。以下に整理しておくのでしっかり確認しておこう。

〇尊敬語
【本動詞】
・「食ふ」「飲む」の尊敬語「召し上がる」
・「乗る」の尊敬語「お乗りになる」
・「着る」の尊敬語「お召しになる」
〇謙譲語(謙譲語の方が目にする機会は多い!)
【本動詞】
・「与ふ」の謙譲語「差し上げる」
【補助動詞】
・「~し申し上げる」
★「補助動詞は用言や助動詞などの活用する語に付く場合である」ことを押さえておきたい。

ここでは郎等から木曽殿への敬意が示される。
たる助動詞完了の助動詞「たり」の連体形。
助動詞の「たり」は完了・存続の「たり」と断定の「たり」の二つが存在するが、前者は連用形接続、後者は体言に接続する。
意味から考えても両者は明確に区別できるはず。(完了・存続の「たり」はもともと「てあり」から生じているため、接続助詞の「て」と同様に連用形接続である。同様に、断定の「たり」は「とあり」から生じている。)

だれそれの家来が討ち申し上げた。』


なんど申さんことこそ、くちをしう候へ。

なんど    副助詞    例示の副助詞
申さ動詞サ行四段活用動詞「申す」の未然形。
「言ふ」の謙譲語として使われ、今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
助動詞婉曲の助動詞「む」の連体形。
助動詞「む」は多くの意味をもつが、以下のように判別の手掛かりになる「ルール」があるので整理しておきたい。
※必ず文脈判断を踏まえること。この「ルール」は「この意味になることが多い」程度の認識でいること。

【原則】
助動詞「む」が文末にある場合
・主語が一人称⇒意志
・主語が二人称⇒適当/当然/命令
・主語が三人称⇒推量

助動詞「む」が文中に連体形で出てきた場合
・「む(連体形)」+「は」、「に」、「には」、体言⇒仮定
・「む(連体)」+体言⇒婉曲
※婉曲は助動詞「む」を訳出しなくても文意が通じる場合。
こと名詞
こそ係助詞強意の係助詞
くちをしう形容詞シク活用の形容詞「くちをし」の連用形のウ音便。
夢や希望が崩れてしまったときの残念な気持ちを表す。
「残念だ」「物足りない」「情けない」といった意味となる。
この場合は「残念だ」に類する言葉をあてると自然か。
候へ動詞ハ行四段活用動詞「候ふ」の已然形。
「あり」「をり」の謙譲語、「あり」「をり」の丁寧語、丁寧語の補助動詞(~ございます、~です)の意味がある。
ここでは丁寧語の補助動詞として使われ、今井四郎から木曽殿への敬意が示される。

係助詞「こそ」を受けて係り結びが成立している。
などと申すようなことが残念でございます。

ただあの松原へ入らせたまへ。」と申しければ、

ただ     副詞   
代名詞
格助詞
松原名詞
格助詞
入ら動詞ラ行四段活用動詞「入る」の未然形
助動詞尊敬の助動詞「す」の連用形。
今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
たまへ動詞ハ行四段活用動詞「たまふ」の命令形。
「たまふ」は四段活用と下二段活用があり、前者が尊敬語、後者が謙譲語であるので注意が必要。
この場合は尊敬の補助動詞であり、「お~なる」、「~なさる」という意。
尊敬語かつ命令形という形に違和感を覚える生徒もいるかもしれないが、古文の世界ではややありふれた光景。
今井四郎から木曽殿への敬意が示される。
格助詞
申し動詞サ行四段活用動詞「申す」の連用形。
「言ふ」の謙譲語として使われ、作者から木曽殿への敬意が示される。
けれ助動詞過去の助動詞「けり」の已然形。
同じ過去でも「き」は直接過去(自身の体験)、「けり」は間接過去(他者の経験)と分けられる場合がある(混同されている場合もある)。その場合は 「き」「けり」で主語が判別できることがあるので、 それぞれニュアンスを押さえよう。
接続助詞★重要文法
接続助詞の「ば」は以下の2パターンを整理しておきたい。
①未然形+「ば」 ( 未だ然らず、つまりまだ出来事が起きていない)
⇒仮定(もし~ならば)
②已然形+「ば」 (已に然り、もうその状態になっている)

(ⅰ)原因・理由(~なので)
(ⅱ)偶然(~したところ)
(ⅲ)必然(~するといつも)

ここでは原因・理由で取ると自然か。
ただあの松原へお入りください。」と(今井四郎が)申し上げたので、
 

木曽、「さらば。」とて、粟津の松原へぞ駆けたまふ。

木曽    名詞   木曽義仲のこと
さらば接続詞「それならば」という意味を持つ語。「さようなら」という意味ではないことに注意。
下に打消の語を伴うと「それなら~すべきなのに」という意味で使われるので、併せて覚えておくとよい。
とて格助詞
粟津の松原名詞
格助詞
係助詞強意の係助詞
駆け動詞カ行下二段活用動詞「駆く」の連用形
たまふ動詞ハ行四段活用動詞「たまふ」の連体形。
尊敬の補助動詞として使われ、作者から木曽殿への敬意が示される。

係助詞「ぞ」を受けて係り結びが成立している。
木曽殿は「それならば。」と言って、粟津の松原へと駆けなさる。

今井四郎ただ一騎、五十騎ばかりが中へ駆け入り、

今井四郎     名詞                                  
ただ副詞
一騎名詞
五十騎名詞
ばかり副助詞程度の副助詞。
限定の用法もあるので合わせて覚えておこう。
格助詞
名詞
格助詞
駆け入り動詞ラ行四段活用動詞「駆け入る」の連用形
今井四郎はただ一騎で、五十騎ほどの中へ駆け入り、

鎧ふんばり立ち上がり、大音声あげて名のりけるは、

鎧                名詞                               
ふんばり動詞ラ行四段活用動詞「ふんばる」の連用形
立ち上がり   動詞ラ行四段活用動詞「立ち上がる」の連用形
大音声名詞読みは「だいおんじやう」。
あげ動詞ガ行下二段活用動詞「あぐ」の連用形
接続助詞
名のり動詞ラ行四段活用動詞「名のる」の連用形
ける助動詞過去の助動詞「けり」の連体形。
同じ過去でも「き」は直接過去(自身の体験)、「けり」は間接過去(他者の経験)と分けられる場合がある(混同されている場合もある)。その場合は 「き」「けり」で主語が判別できることがあるので、 それぞれニュアンスを押さえよう。
係助詞
鎧をふんばり立ち上がり、大声をあげて名乗ったことには、

今回はここまで🐸

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