大鏡『花山院の出家』定期テスト対策&テスト予想問題②
はじめに
こんにちは!こくご部です。
定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。
今回は大鏡から『花山院の出家』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。
学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう。
また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。
必要に応じて解説も記しておきます。
古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥
それでは行ってみましょう!
前回の記事はこちらから⇓
関連記事はこちらから⇓
大鏡の他の記事はこちらから⇓
①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味
まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ!直前の確認にも活用してください!
土御門 | つちみかど | 土御門大路のこと。 |
わたる | 行く。通る。 | |
おる | 退位する。位を退く。 | |
奏す | そうす | (天皇や上皇に対して)申し上げる。「言ふ」の謙譲語。 |
装束 | さうぞく | 車の支度 |
とく | 早く。速やかに。漢字を当てると「疾く」。 | |
おぼしめす | お思いになる。「思ふ」の尊敬語。 | |
且 | かつがつ | とりあえず。 |
内裏 | だいり | 宮中。 |
参る | まゐる | (本動詞の場合)参上する。「行く」の謙譲語。 |
いらふ | 答える。返事をする。 | |
御髪おろす | みぐしおろす | (髪を)剃り落とす。出家する。 |
朕 | ちん | 天皇が使う自称の人称代名詞 |
謀る | たばかる | 騙す。 |
すかす | 騙す。 | |
おとなし | 思慮分別のある | |
いみじ | 程度の甚だしい。(文脈に応じて)すばらしい/ひどいなどと訳し分ける。 |
②文法的説明問題
特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!
さて、土御門より東ざまに率ていだしまゐらせたまふに、 | ワ行上一段活用動詞「率る」の連用形 |
さて、土御門より東ざまに率ていだしまゐらせたまふに、 | サ行下二段活用動詞「まゐらす」の連用形。 ここでは謙譲の補助動詞として使われ、語り手から花山天皇への敬意が示される。 |
さて、土御門より東ざまに率ていだしまゐらせたまふに、 | ハ行四段活用動詞「たまふ」の連体形。 この場合は尊敬の補助動詞であり、「お~なる」、「~なさる」という意。語り手から粟田殿への敬意が示される。 |
清明が家の前をわたらせたまへば、みづからの声にて、 | 尊敬の助動詞「す」の連用形。 ここでは語り手から花山天皇への敬意が示される。 助動詞「す」「さす」の下に尊敬語がある場合は尊敬で取るのが基本。 |
「帝王おりさせたまふと見ゆる天変ありつるが、すでになりにけりと見ゆるかな。 | 尊敬の助動詞「さす」の連用形。 清明から花山天皇への敬意が示される。 助動詞「す」「さす」の下に尊敬語がある場合は尊敬で取るのが基本。 |
「帝王おりさせたまふと見ゆる天変ありつるが、すでになりにけりと見ゆるかな。 | 完了の助動詞「つ」の連体形 |
「帝王おりさせたまふと見ゆる天変ありつるが、すでになりにけりと見ゆるかな。 | ラ行四段活用動詞「なる」の連用形。助動詞「なり」ではないことに注意。 |
「帝王おりさせたまふと見ゆる天変ありつるが、すでになりにけりと見ゆるかな。 | 完了の助動詞「ぬ」の連用形。 過去の助動詞を伴う場合の「つ」「ぬ」は完了で解釈するのが基本。 |
「帝王おりさせたまふと見ゆる天変ありつるが、すでになりにけりと見ゆるかな。 | 過去の助動詞「けり」の終止形 |
参りて奏せむ。車に装束とうせよ。」といふ声聞かせたまひけむ、 | サ行変格活用動詞「奏す」の未然形。 ここでは清明から花山天皇への敬意が示される。 |
参りて奏せむ。車に装束とうせよ。」といふ声聞かせたまひけむ、 | 意志の助動詞「む」の終止形 |
参りて奏せむ。車に装束とうせよ。」といふ声聞かせたまひけむ、 | 副詞「疾く」(形容詞「疾し」の連用形)のウ音便。 |
参りて奏せむ。車に装束とうせよ。」といふ声聞かせたまひけむ、 | 過去推量の助動詞「けむ」の終止形 |
さりともあはれにはおぼしめしけむかし。 | 念押しの終助詞 |
目には見えぬものの、戸をおしあけて、御後ろをや見まゐらせけむ | 打消の助動詞「ず」の連体形 |
目には見えぬものの、戸をおしあけて、御後ろをや見まゐらせけむ | 格助詞「の」の主格用法 |
目には見えぬものの、戸をおしあけて、御後ろをや見まゐらせけむ | サ行下二段活用動詞「まゐらす」の連用形。 ここでは謙譲の補助動詞として使われ、語り手から花山天皇への敬意が示される。 |
「ただ今、これより過ぎさせおはしますめり。」といらへけりとかや。 | 推定の助動詞「めり」の終止形 |
その家、土御門町口なれば、御道なりけり。 | 格助詞「の」の同格用法 |
その家、土御門町口なれば、御道なりけり。 | 存在(断定)の助動詞「なり」の已然形 |
その家、土御門町口なれば、御道なりけり。 | 詠嘆(過去)の助動詞「けり」の終止形 |
かくと案内申して、必ず参りはべらむ。」と申したまひければ、 | 意志の助動詞「む」の終止形 |
「朕をば謀るなりけり。」とてこそ泣かせたまひけれ。 | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
「朕をば謀るなりけり。」とてこそ泣かせたまひけれ。 | 詠嘆の助動詞「けり」の終止形 |
ただ今過ぎば、おのづから障りも出でまうで来なむ。」と、 | 推量の助動詞「む」の終止形 |
あはれにかなしきことなりな。 | 断定の助動詞「なり」の終止形 |
あはれにかなしきことなりな。 | 詠嘆の終助詞 |
すかし申したまひけむがおそろしさよ。 | 過去伝聞の助動詞「けむ」の連体形 |
御送りに添へられたりけれ。 | 尊敬の助動詞「らる」の連用形。 語り手から東三条殿への敬意が示される。 |
御送りに添へられたりけれ。 | 完了の助動詞「たり」の連用形 |
寺などにては、「もし、おして人などやなしたてまつる。」とて、 | ラ行四段活用動詞「たてまつる」の連体形。 ここでは謙譲の補助動詞として使われ、東三条殿から粟田殿への敬意が示される。 係助詞「や」を受けて係り結びが成立している。 |
③現代語訳問題
①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!
清明が家の前をわたらせたまへば、みづからの声にて、 | 清明の家の前をお通りになると、清明自身の声で、 (ポイント) ・主語は花山天皇。 ・「せたまふ」で花山天皇への二重尊敬。 ・已然形+「ば」は偶然条件で解釈している。 |
さりともあはれにはおぼしめしけむかし。 | それはそうとしても感慨深くお思いになったのだろうよ。 (ポイント) ・「さりとも」は「花山天皇の出家が覚悟の上であったとしても」ということを指している。 |
目には見えぬものの、戸をおしあけて、御後ろをや見まゐらせけむ、 | 目には見えないものが、戸を押し開けて(花山天皇の)御後ろ姿を見申し上げたのだろうか、 (ポイント) ・「ものの」の「の」は主格。「目には見えぬもの」は式神のこと。 ・「御後ろ」は花山天皇の後ろ姿を指している。 |
かくと案内申して、必ず参りはべらむ。」と申したまひければ、 | このようにと事情を申し上げて、きっと(花山天皇のおそばへ)参上いたしましょう。」と申し上げなさったので、 (ポイント) ・粟田殿のセリフ。「父である東三条殿(藤原兼家)に事情を申し上げて」と言っているが、逃げる気満々である。 |
「朕をば謀るなりけり。」とてこそ泣かせたまひけれ。 | 「私をだましたのだな。」とお泣きになった。 (ポイント) ・花山天皇のセリフ。 ・セリフ中の助動詞「けり」は詠嘆。 ・「せたまふ」で二重尊敬。 |
東三条殿は、「もしさることやしたまふ。」とあやふさに、 | 東三条殿は、「もしそのようなことをしなさるのではないか。」と気がかりで、 (ポイント) ・「さること」は粟田殿が出家すること。 ・「たまふ」は尊敬の補助動詞として使われ、東三条殿から粟田殿への敬意が示される。会話文中の敬語は敬意の方向に注意。 |
寺などにては、「もし、おして人などやなしたてまつる。」とて、 | 花山寺などでは「もし強引に人などが(粟田殿を出家を)実行し申し上げるのではないか。」と、 (ポイント) ・「人」は不特定の人物を指している。(=誰か。) ・係助詞「や」は疑問。 ・「たてまつる」は謙譲の補助動詞として使われ、東三条殿から粟田殿への敬意が示される。 |
④読解問題
様々な種類の問題が想定されるが、大事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。
「『ただ今、これより過ぎさせおはしますめり。』といらへけりとかや。」中の「めり」について、「めり」は視覚に基づいた推定をする際に使われる助動詞である。 安倍晴明は花山天皇の後ろ姿を直接的に見ることはできないはずであるが、何故「めり」という助動詞が用いられていると考えられるか。簡潔に答えよ。 | 解答例 安倍晴明は式神を宮中に向かわせており、式神を通じて間接的に花山天皇の後ろ姿を見ているから。 |
「日ごろ、よく、『御弟子にて候はむ。』と契りて」とあるが、①誰が、②誰に、③どのようなことを約束していたのか。簡潔に説明せよ。 | 解答例 ①粟田殿 ②花山天皇に ③花山天皇が出家する場合は、自分も共に出家してお仕えするということ。 |
「東三条殿は、『もしさることやしたまふ。』とあやふさに」とあるが、「東三条殿」はどのようなことを心配しているのか。 | 解答例 息子である粟田殿が、何かの手違いで花山天皇と共に出家してしまうようなこと。 |
「御送りに添へられたりけれ」とあるが、①誰が②何のために護衛をつけているのか。 | 解答例 ①東三条殿が ②息子である粟田殿の出家を防ぐため |
今回はここまで🐸
関連記事はこちらから⇓
大鏡の他の記事はこちらから⇓
〇本記事の内容については十分に検討・検証を行っておりますが、その完全性及び正確性等について保証するものではありません。
〇本記事は予告なしに編集・削除を行うことがございます。
〇また、本記事の記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
-
前の記事
大鏡『花山院の出家』定期テスト対策&テスト予想問題① 2025.01.29
-
次の記事
記事がありません