徒然草『序段』品詞分解/現代語訳/解説
はじめに
こんにちは!こくご部です。
定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。
今回は徒然草から『序段』について、できるだけ短い固まりで本文⇒品詞分解⇒現代語訳の順で見ていきます。
必要に応じて解説も記しておきます。
古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥
それでは行ってみましょう!
出典について
まずは出典の徒然草について触れておきましょう。
出典:徒然草
★ジャンル・内容について
随筆。平安時代の『枕草子』、鎌倉初期の『方丈記』と並んで三代随筆と称される。仏教の無常観などをもとに、教訓的な話や趣味についての話、処世術など多種多様な話題を採りあげている。現代に生きる我々にとっても学びの多い章段と、誰かの悪口が延々と書かれている章段に大別される(かもしれない)。
★作者について
作者は兼好法師。仏門に入る前に名乗っていた俗名は卜部兼好(うらべかねよし)。
★成立について
鎌倉時代末期ごろに書かれたとされる。
★その他
和文調と漢文調を使い分けた、新擬古文といわれる。
つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて、
つれづれなる | 形容動詞 | ナリ活用の形容動詞「つれづれなり」の連体形。 やることがなく手持無沙汰であることを示す語。 有名な一節。学校で暗記するように言われた人も少なくないかもしれないが、暗記して損はない。 |
まま | 名詞 | 名詞「まま」に格助詞「に」が付いて連語と捉えることができる。 ここでは「~にまかせて、~ままに」の意味で使われる。 |
に | 格助詞 | |
日暮らし | 名詞 | 朝から晩まで、一日中、の意 |
硯 | 名詞 | 「硯に向かふ」、つまり物を書くことを示す。 |
に | 格助詞 | |
向かひ | 動詞 | ハ行四段活用動詞「向かふ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
することもなく手持ちぶさたなのにまかせて、一日中硯に向かって、
心にうつりゆくよしなしごとを、
心 | 名詞 | |
に | 格助詞 | |
うつりゆく | 動詞 | ラ行四段活用動詞「移る」+カ行四段活用動詞「ゆく」の連体形。 複合動詞として一語と見てもよい。 |
よしなしごと | 名詞 | 漢字をあてると「由無し事」であるとおり、「つまらないこと、たわいもないこと」の意 |
を | 格助詞 |
心に浮かんでは消えていくたわいもないことを、
そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。
そこはかとなく | 形容詞 | ク活用の形容詞「そこはかとなく」の連用形。 副詞「そこはかと」に形容詞「なし」が付いてできた語。 「どことはっきりしない」、「とりとめもない」といった意味を持つ。 ここでは後者の意味で解釈する。 |
書きつくれ | 動詞 | カ行下二段活用動詞「書きつく」の已然形 |
ば | 接続助詞 | ★重要文法 接続助詞の「ば」は以下の2パターンを整理しておきたい。 ①未然形+「ば」 ( 未だ然らず、つまりまだ出来事が起きていない) ⇒仮定(もし~ならば) ②已然形+「ば」 (已に然り、もうその状態になっている) ⇒ (ⅰ)原因・理由(~なので) (ⅱ)偶然(~したところ) (ⅲ)必然(~するといつも) ここでは偶然で取ると自然か。 |
あやしう | 形容詞 | ク活用の形容詞「あやし」の連用形のウ音便。 ★重要単語 シク活用の形容詞「あやし」の連用形。「怪し」「奇し」と漢字を当てると「不思議だ」「変だ」などの意味を、「賎し」と漢字を当てると「身分が低い・卑しい」、「みすぼらしい」などの意味を持つ。 ここでは前者の「怪し」で使われており、「不思議だ」の意味で使われる。 |
こそ | 係助詞 | 強意の係助詞 |
ものぐるほしけれ | 形容詞 | シク活用の形容詞「ものぐるほし」の已然形。 「狂おしい気持ちだ」「気持ちが高ぶる」といった意味を持つ語。 |
とりとめもなく書きつけると、不思議で狂おしい気持ちになるものだ。
今回はここまで🐸
⇓徒然草の他の記事はこちらから
〇本記事の内容については十分に検討・検証を行っておりますが、その完全性及び正確性等について保証するものではありません。
〇本記事は予告なしに編集・削除を行うことがございます。
〇また、本記事の記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
-
前の記事
徒然草『丹波に出雲といふ所あり』品詞分解/現代語訳/解説② 2023.12.17
-
次の記事
伊勢物語『筒井筒』品詞分解/現代語訳/解説① 2023.12.24