枕草子『中納言参りたまひて』定期テスト対策&テスト予想問題
はじめに
こんにちは!こくご部です。
定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。
今回は枕草子から『中納言参りたまひて』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。
学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう。
また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。
必要に応じて解説も記しておきます。
古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥
それでは行ってみましょう!
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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味
まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ!直前の確認にも活用してください!
御扇 | みあふぎ | 扇。 |
骨 | ほね | (扇の)骨。 |
おぼろけなり | 並一通りである。ありふれている。 | |
すべて | 総じて。 | |
さらに | (打消を伴って)全く~ない。 | |
のたまふ | おっしゃる。「言ふ」の尊敬語。 | |
言 | こと | 言った言葉。 |
かやうなり | このような | |
かたはらいたし | きまり悪い。恥ずかしい。 |
②文法的説明問題
特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!
中納言参りたまひて | ラ行四段活用動詞「参る」の連用形 ここでは作者から中宮に対する敬意。 |
御扇奉らせたまふに | サ行下二段活用動詞「奉らす」の連用形。 ここでは「差し上げる」の意味。 ここでは作者から中宮に対する敬意。 |
隆家こそいみじき骨は得てはべれ。 | ラ行変格活用動詞「はべり」の已然形。 この場合は会話文で使用されていることから、話し手である中納言から聞き手である中宮への敬意を表している。 なお、ここでは「こそ」を受けて係り結びが成立している。 |
おぼろけの紙はえ張るまじければ、求めはべるなり。」 | 副詞「え」+打消推量の助動詞「まじ」の已然形⇒不可能 |
おぼろけの紙はえ張るまじければ、求めはべるなり。」 | ラ行変格活用動詞「はべり」の連体形。 この場合は会話文で使用されていることから、話し手である中納言から聞き手である中宮への敬意を表している。 |
おぼろけの紙はえ張るまじければ、求めはべるなり。」 | 断定の助動詞「なり」の終止形 直前の動詞「はべり」は連体形になっているのもポイント。 |
「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば、 | 疑問の係助詞 |
「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば、 | ラ行変格活用「あり」の連体形。 係助詞「か」を受けて係り結びが成立している。 |
「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば、 | ヤ行下二段活用動詞「きこゆ」の已然形。 ここでは補助動詞として用いられ、作者から「問ふ」という行為の受け手である中納言に対する敬意。 |
「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば、 | 尊敬の助動詞「さす」の連用形。 ここでは作者から、「問ふ」という行為の主体である中宮に対する敬意。 なお、直後に尊敬語を伴う場合の「す」「さす」は尊敬で解釈するのが基本。 |
「いかやうにかある。」と問ひきこえさせたまへば、 | ハ行四段動詞「たまふ」の已然形。 ここでは作者から、「問ふ」という行為の主体である中宮に対する敬意。 |
『さらにまだ見ぬ骨のさまなり。』 | 副詞「さらに」+打消の助動詞「ず」の連体形⇒全否定。 |
『さらにまだ見ぬ骨のさまなり。』 | 断定の助動詞「なり」の終止形 |
まことにかばかりのは見えざりつ。」と、 | ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」の未然形 |
まことにかばかりのは見えざりつ。」と、 | 打消の助動詞「ず」の連用形 |
まことにかばかりのは見えざりつ。」と、 | 完了の助動詞「つ」の終止形 |
言高くのたまへば、「さては、扇のにはあらで、 | ハ行四段活用動詞「のたまふ」の已然形。 「言ふ」の尊敬語であり、ここでは作者から、「のたまふ」という行為の受け手である中納言に対する敬意。 |
言高くのたまへば、「さては、扇のにはあらで、 | 格助詞(体言の代用) |
言高くのたまへば、「さては、扇のにはあらで、 | 打消接続の接続助詞 |
くらげのななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」 | 断定の助動詞「なり」の連体形の撥音便「なむ」の無表記 ★この箇所は大抵の定期テストで問われると思われます。 |
くらげのななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」 | 推定の助動詞「なり」の終止形 ★この箇所は大抵の定期テストで問われると思われます。 |
くらげのななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」 | ヤ行下二段活用動詞「きこゆ」の已然形。 「言ふ」の謙譲語であり、ここでは作者から、「聞こゆ」という行為の受け手である中納言に対する敬意。 |
くらげのななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」 | 格助詞(連体修飾格用法) |
くらげのななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」 | サ行変格活用動詞「す」の連用形 |
くらげのななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」 | 強意の助動詞「つ」の未然形 |
くらげのななり。」と聞こゆれば、「これは隆家が言にしてむ。」 | 意志の助動詞「む」の終止形 |
かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、 | 強意の助動詞「つ」の終止形 |
かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、 | 当然の助動詞「べし」の已然形 |
「一つな落としそ。」と言へば、いかがはせむ。 | 副詞「な」+終助詞「そ」⇒禁止 |
「一つな落としそ。」と言へば、いかがはせむ。 | サ行変格活用動詞「す」の未然形 |
「一つな落としそ。」と言へば、いかがはせむ。 | 意志の助動詞「む」の連体形 |
③現代語訳問題
①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!
★最重要ポイント
『枕草子』のうち、特に清少納言の過ごした宮廷社会を描いた場面では敬語に着目して「誰が主語になっているか」を見極めることが重要。
清少納言の仕えた中宮定子、一条天皇に対しては二重尊敬が用いられることがほとんど。
⇒この「中納言参りたまひて」では、中宮定子に対して二重尊敬が用いられている。
また、通常の尊敬語が用いられている場合は上記の二人以外の貴人が主語であることが多く、敬語が用いられていない場合は作者自身や周囲の女房たちが主語である可能性が高い。
⇒⇒この「中納言参りたまひて」では、中納言隆家に対して通常の尊敬語が用いられ、作者自身や周囲の女房には敬語が用いられていない。
『枕草子』のうち、特に清少納言の過ごした宮廷社会を描いた場面では敬語に着目して「誰が主語になっているか」を見極めることが重要。
清少納言の仕えた中宮定子、一条天皇に対しては二重尊敬が用いられることがほとんど。
⇒この「中納言参りたまひて」では、中宮定子に対して二重尊敬が用いられている。
また、通常の尊敬語が用いられている場合は上記の二人以外の貴人が主語であることが多く、敬語が用いられていない場合は作者自身や周囲の女房たちが主語である可能性が高い。
⇒⇒この「中納言参りたまひて」では、中納言隆家に対して通常の尊敬語が用いられ、作者自身や周囲の女房には敬語が用いられていない。
中納言参りたまひて、御扇奉らせたまふに、 | 中納言が参上なさって、御扇を(定子に)差し上げなさるときに、 (ポイント) ・「参る」は「行く」の謙譲語で、「(中宮定子の元に)参上する」ということが前提になっている。 ・「奉らせたまふ」は品詞分解した場合「奉らせ/たまふ」となり、「奉ら/せ/たまふ」とはならない。 ★上記茶色囲みの「最重要ポイント」を読み飛ばした人は必ず読んでおくこと。 |
おぼろけの紙はえ張るまじければ、求めはべるなり。」 | 並一通りの紙は張れそうにないので、(それ相応の紙を)求めているところでございます。 (ポイント) ・呼応(陳述)の副詞「え」は直後に打消を伴って「不可能」の意味を表す。 ・「まじけれ」は打消推量の助動詞。「まじ/けれ」と分解することはできない。(そのように分解できるのであれば、「まじかり/けれ」となっているはず。) |
「すべていみじうはべり。『さらにまだ見ぬ骨のさまなり。』 | 「すべてにおいてすばらしいのです。『全くこれまで見たことのない骨のようだ。』 (ポイント) ・副詞「さらに」は後に打消を伴った場合、全否定の意味を示す ・助動詞「なり」:断定 |
くらげのななり。」と聞こゆれば、 | くらげの骨なのであろう。」と申し上げると、 (ポイント) ・尊敬語が使われていないため清少納言のセリフ。 ・「ななり」は「な」+「なり」。 (な:断定の助動詞「なり」の連体形の撥音便「なむ」の無表記、なり:推定の助動詞「なり」の終止形) |
「京にとく上げたまひて、物語の多くさぶらふなる、あるかぎり見せ給へ」と、 | 「京(都)にはやく(私を)上らせなさり、物語が多くございますというのを、ある限りお見せになってください」と (ポイント) ・「とく」:早く。 ・「たまふ」は尊敬の補助動詞。 ・助動詞「なり」は伝聞の意味。 |
「一つな落としそ。」と言へば、いかがはせむ。 | 「一つも落とすな(書き洩らすな)」と(周囲の人々)が言うので、どうしようか、いや、どうしようもない(だから書き記しておく)。 (ポイント) ・「」内に尊敬語が使われていないため清少納言の周りにで中宮定子に仕える女房のセリフ。 ・「いかがはせむ」は同様に尊敬語が使われておらず、清少納言の心情である。 ・「いかがはせむ」は反語の訳出を行う。「どうしようもない」のみでも可。 |
④読解問題
様々な種類の問題が想定されるが、大事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。
「隆家こそいみじき骨は得てはべれ。それを張らせて参らせむとするに」とあるが、「それ」は何を指しているか。 | 扇の骨 |
「おぼろけの紙はえ張るまじければ」とあるが、何故「おぼろけの紙」は張ることができそうにないのか。 | 解答例 扇の骨が素晴らしいため、それに釣り合うほどの紙が望ましいから。 |
「言高くのたまへば、」とあるが、ここから中納言隆家のどのような心情が読み取れるか。 | 解答例 ・自分の用意した骨に相当の自信がある ・中宮定子はもちろん、周囲の女房たちにも聞いてほしい(承認欲求) |
★頻出 「くらげのななり。」とあるが、①「ななり」を文法的に説明し、②実際に音読する場合、どのように読むか全て現代仮名遣いのひらがなで答えよ。 | ①な:断定の助動詞「なり」の連体形の撥音便「なむ」の無表記、なり:推定の助動詞「なり」の終止形 ②なんなり |
★頻出 「『一つな落としそ。』と言へば、いかがはせむ。」とあるが、清少納言が末尾にこのような文言を付け加えたのは何故か。 | 解答例 ・自分が周囲に認められたエピソードであることから、この文章を読んだ人に鼻につく自慢話だと思われるのを避けたいと考えたため。 |
今回はここまで🐸
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