十訓抄『大江山/大江山いくのの道』定期テスト対策&テスト予想問題
はじめに
こんにちは!こくご部です。
定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。
今回は十訓抄から『大江山/大江山いくのの道』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。
学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう。
また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。
必要に応じて解説も記しておきます。
古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥
それでは行ってみましょう!
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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味
まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ!直前の確認にも活用してください!
和泉式部 | いづみしきぶ | 平安時代中期の歌人。大江雅致(まさむね)の娘。敦道親王との恋を赤裸々に描いた『和泉式部日記』を著す。中宮彰子に出仕し、保昌とは寛弘七年頃に結婚した。 |
保昌 | やすまさ | 藤原保昌。丹後守、大和守などを歴任した。 |
妻 | め | 妻(つま)。 |
丹後 | たんご | 現在の京都府北部。 |
下る | くだる | (都から地方に)行く。 |
歌合 | うたあはせ | 歌人が左右二組に分かれ、決められたお題で詠んだ歌を出し合って、その優劣を競う催し。 |
宵居 | よひゐ | 夜間。 |
小式部内侍 | こしきぶのないし | 歌人。和泉式部と橘道貞の娘。 |
歌よみ | うたよみ | 歌を作る人。歌人。 |
定頼中納言 | さだよりちゅうなごん | 藤原公任の子の藤原定頼(さだより)。芸事において多方面で活躍した。 |
たはぶる | ふざける。からかう。 | |
遣はす | つかはす | (使者として)行かせる |
参る | まいる | 参上する |
心もとなし | こころもとなし | 待ち遠しい。気がかりだ。 |
おぼす | お思いになる。「思ふ」の尊敬語。 | |
局 | つぼね | 宮中での高貴な女房や女官の私室のこと。ここでは宮中での小式部内侍の控えの間。 |
御簾 | みす | 母屋と廂、廂と簀子の間に掛ける簾。 |
半ら | なから | 半分 |
直衣 | なほし | 貴族の男性の普段着。参内の際にも着る。 |
思はずなり | おもはすなり | 意外なことに。思いがけないことに。 |
あさまし | 驚きあきれる。 | |
返歌 | へんか | 贈られた歌に対して、贈った相手に関連した歌を詠んで返すこと。 |
覚え | おぼえ | 世間や貴人から特別に愛されること。評判。 |
うちまかす | ありふれる。 | |
理運 | りうん | 物事が道理にかなっていること。当然そうなること。 |
卿 | きやう | 大臣、大納言、中納言、参議及び三位(さんみ)以上の者の総称。 |
ただいま | すぐさま。 |
②文法的説明問題
特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!
和泉式部、保昌が妻にて、 | 格助詞「が」(連体修飾格用法)。~の。 |
和泉式部、保昌が妻にて、 | 受身の助動詞「る」の連用形 |
小式部内侍、歌よみにとられて、よみけるを、 | 過去推量の助動詞「けむ」の連体形 |
丹後へ遣はしける人は参りたりや。いかに心もとなくおぼすらむ。 | 完了の助動詞「たり」の終止形 |
丹後へ遣はしける人は参りたりや。いかに心もとなくおぼすらむ。 | 疑問の係助詞(係助詞の「や」は係り結びとは関係ない文末に用いられ、断定的強調、反語、疑問の意味を持つことがある。) |
と言ひて、局の前を過ぎられけるを、 | 現在推量の助動詞「らむ」の終止形 |
大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 | 「行く」と「生野」の掛詞。(掛詞とは一つの語に同じ音を用いて二重の意味を持たせ、表現内容を豊かにする表現技法のこと) |
大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 | ク活用の形容詞「遠し」の已然形。 「遠し」+助動詞「けり」である場合は「遠かり」+「けれ」と補助活用になっているはずであるため、「遠し」+「けり」ではないことが分かる。 |
大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 | 「文」と「踏み」の掛詞 |
大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 | 打消の助動詞「ず」の終止形 |
「こはいかに。かかるやうやはある。」とばかり言ひて、 | 反語の係助詞 |
返歌にも及ばず、袖を引き放ちて、逃げられけり。 | 打消の助動詞「ず」の連用形 |
返歌にも及ばず、袖を引き放ちて、逃げられけり。 | 尊敬の助動詞「らる」の連用形 |
小式部、これより歌よみの世におぼえ出で来にけり。 | カ行変格活用動詞「出で来」の連用形 |
小式部、これより歌よみの世におぼえ出で来にけり。 | 完了の助動詞「ぬ」の連用形。 直後に過去の助動詞を伴う場合の「つ」「ぬ」は完了で解釈するのが基本。 |
小式部、これより歌よみの世におぼえ出で来にけり。 | 過去の助動詞「けり」の終止形 |
これはうちまかせての理運のことなれども、 | 断定の助動詞「なり」の已然形 |
これはうちまかせての理運のことなれども、 | 逆接の接続助詞 |
これほどの歌、ただいまよみい出すべしとは知られざりけるにや。 | 可能の助動詞「べし」の連用形 |
これほどの歌、ただいまよみい出すべしとは知られざりけるにや。 | 尊敬の助動詞「る」の未然形 |
これほどの歌、ただいまよみい出すべしとは知られざりけるにや。 | 打消の助動詞「ず」の連用形 |
これほどの歌、ただいまよみい出すべしとは知られざりけるにや。 | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
これほどの歌、ただいまよみい出すべしとは知られざりけるにや。 | 疑問の係助詞。 断定の助動詞「なり」の連用形+疑問の係助詞「や」の形で出てきた場合、後に続く「あらむ」や「ありけむ」などが省略されている。 「~であろうか」、「~であっただろうか」などと訳す。 |
③現代語訳問題
①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!
和泉式部、保昌が妻にて、丹後に下りけるほどに、 | 和泉式部が、保昌の妻として丹後に下った時に、 (ポイント) ・「人名」+「、」であるため、主語は「和泉式部」。 ・格助詞「が」は連体修飾格用法 ・格助詞「にて」は資格用法 |
世の中に物語といふもののあなるを、 | 世の中に物語というものがあるというが、 (ポイント) ・「あ」:ラ行変格活用動詞「あり」の連体形「ある」の撥音便無表記形。 ・「なる」:伝聞の助動詞「なり」の連体形 ⇒(噂によると)あるらしい、あると聞く、というニュアンス。 |
「丹後へ遣はしける人は参りたりや。いかに心もとなくおぼすらむ。」 | 「丹後(和泉式部のもと)に(小式部内侍が)遣わした人は参上したか。どれほど待ち遠しく思っておられるだろう。」 (ポイント) ・「遣はしける人」:「(母のいる)丹後に(使者として)遣わせた人」。 ・係助詞「や」は疑問。 ・「心もとなし」の訳出は「気がかり」「待ち遠しい」などとする。 |
と言ひて、局の前を過ぎられけるを、御簾よりなからばかり出でて、 | と言って、(定頼中納言が)局の前を通りすぎなさったところ、(小式部内侍が)御簾から半分ほど身を出して、 (ポイント) ・接続助詞「て、で、つつ」は主語が変わりにくく、「ば、ど、が、に、を」は主語が変わりやすい。 ・「言ひて」とあるため、「局の前を通り過ぎた」のは定頼中納言。 ・「けるを」とあるため、それ以降は主語が定頼中納言から変わり、小式部内侍になる。 |
大江山いくのの道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 | 大江山を行き、生野を通って行く道が遠いので、まだ天橋立には行ったこともなければ、(母からの)手紙も見たことがありません。(歌について助けてもらったようなことはありません。) (ポイント) ・「いくの」:「行く」と「生野」の掛詞。 ・「ふみ」:「文」と「踏み」の掛詞 |
「こはいかに。かかるやうやはある。」とばかり言ひて、 | 「これは一体どういうことだ。このようなことがあってもよいものか、よいはずがない。」とだけ言って、 (ポイント) ・定頼中納言のセリフ。 ・「やは」は反語。 |
日の入りぎはの、いとすごく霧り渡りたるに、 | 日が没しようとするころで非常にもの寂しく霧が一面に広がっているところに、 (ポイント) ・形容詞「すごし」は「もの寂しい」などと解釈する。 ・「わたる」は空間的な広がり・時間的な継続を示す意味があり、「霧り」に付いて霧が一面に広がっているさまを示す。 |
かの卿の心には、これほどの歌、ただいまよみい出すべしとは知られざりけるにや。 | あの卿の考えには、(小式部内侍が)これほどの歌をすぐさま詠み出すことができるとはご存じでなかったのだろうか。 (ポイント) ・助動詞「べし」は可能で解釈すると自然か。 ・「にや」の後には「ありけむ」などが省略されているため、それを反映した現代語訳を行う。 |
④読解問題
様々な種類の問題が想定されるが、大事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。
「定頼中納言たはぶれて」とあるが、これは何故か。 | 解答例 小式部内侍が実力で歌合に選ばれたのではなく、母である和泉式部の後ろ盾があるからだと思っているから。 |
「と言ひて、局の前を過ぎられけるを、御簾よりなからばかり出でて」とあるが、主語を補って現代語訳せよ。 | 解答例 と言って、定頼中納言が局の前を通りすぎなさったところ、小式部内侍が御簾から半分ほど身を出して、 (ポイント) ・接続助詞「を」は主語が変わりやすい |
「『こはいかに。かかるやうやはある。』とばかり言ひて、」とあるが、「こ」の指示内容を説明せよ。 | 解答例 定頼中納言への返歌として、小式部内侍が即座に素晴らしい歌を詠んだこと。 |
「返歌にも及ばず、袖を引き放ちて、逃げられけり」から、定頼中納言のどのような心情が読み取れるか。簡潔に説明せよ。 | 解答例 歌を詠みかけられたらその場で詠み返すのが望ましいはずであるが、それもできないほどに動揺している。 |
「かの卿の心には」とあるが、「かの卿」は誰を指しているか。 | 定頼中納言 |
小式部内侍の機転の利いた様を漢字四字で表現せよ。 | 当意即妙 |
今回はここまで🐸
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