更級日記『源氏の五十余巻』品詞分解/現代語訳/解説③

更級日記『源氏の五十余巻』品詞分解/現代語訳/解説③

はじめに

こんにちは!こくご部です。

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今回は更級日記から『源氏の五十余巻』について、できるだけ短い固まりで本文⇒品詞分解⇒現代語訳の順で見ていきます。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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引き出でつつ見る心地、后の位も何にかはせむ。

引き出で    動詞ダ行下二段活用動詞「引き出づ」の連用形。

ここでは話題になっている『源氏物語』を目的語として補う。
つつ接続助詞反復の用法
見る動詞  マ行上一段活用動詞「見る」の連体形。
上一段動詞は基本的には10語のみと数に限りがあるため、頭文字を取って「ひいきにみゐる」で確実に暗記しておくこと。
心地名詞
名詞読みは「きさき」。后ほどの「一般的に価値のあるもの」であったとしても、この少女にとっては敵わないというのである。
格助詞
名詞
係助詞
代名詞
格助詞
係助詞        反語。

疑問・反語の係助詞「か」、強意の係助詞「は」が結びついた場合、多くは反語の意味を持つ。
(疑問を強めると反語になるのは「誰が行くの?」⇒「誰が行くの!?(誰も行かないと思っている)」となる例からも想像に難くない。)

「や」+「は」の例も同じ。
係助詞
動詞サ行変格活用動詞「す」の未然形
助動詞推量の助動詞「む」の連体形。ここでは係助詞「か」を受けて係り結びが成立している。

助動詞「む」は多くの意味をもつが、以下のように判別の手掛かりになる「ルール」があるので整理しておきたい。
※必ず文脈判断を踏まえること。この「ルール」は「この意味になることが多い」程度の認識でいること。
【原則】
助動詞「む」が文末にある場合
・主語が一人称⇒意志
・主語が二人称⇒適当/当然/命令
・主語が三人称⇒推量
助動詞「む」が文中に連体形で出てきた場合
・「む(連体形)」+「は」、「に」、「には」、体言⇒仮定
・「む(連体)」+体言⇒婉曲
※婉曲は助動詞「む」を訳出しなくても文意が通じる場合。
(『源氏物語』を)引き出し引き出しして見る気持ちは、后の位も何になろうか、いや、何にもならない。

昼は日暮らし、夜は目のさめたる限り、灯を近くともして、

昼 名詞     
係助詞
日暮らし  副詞朝から晩まで、一日中、の意。
名詞
係助詞
名詞
格助詞主格
さめ動詞マ行下二段活用動詞「さむ」の連用形
たる助動詞存続の助動詞「たり」の連体形
限り名詞
名詞読みは「ひ」。あかりのこと。
格助詞
近く形容詞ク活用の形容詞「近し」の連用形
ともし動詞サ行四段活用動詞「ともす」連用形
接続助詞
昼は一日中、夜は目が覚めている限り、灯を間近くともして、


これを見るよりほかのことなければ、

これ代名詞  ここでは『源氏物語』を指す。
格助詞
見る動詞マ行上一段活用動詞「見る」の連体形
より格助詞
ほか名詞
格助詞
こと名詞
なけれ   形容詞ク活用の形容詞「なし」の已然形
接続助詞   ★重要文法
接続助詞の「ば」は以下の2パターンを整理しておきたい。
①未然形+「ば」 ( 未だ然らず、つまりまだ出来事が起きていない)
⇒仮定(もし~ならば)
②已然形+「ば」 (已に然り、もうその状態になっている)

(ⅰ)原因・理由(~なので)
(ⅱ)偶然(~したところ)
(ⅲ)必然(~するといつも)
ここでは原因・理由で取ると自然か。
これ(『源氏物語』)を読む以外のことがないので、

おのづからなどは、そらにおぼえ浮かぶを、いみじきことに思ふに、

おのづから   動詞    自然と。
など副助詞
係助詞
そらに形容動詞ナリ活用の形容動詞「そらなり」の連用形
おぼえ浮かぶ     動詞バ行四段活用動詞「おぼえ浮かぶ」の連体形。
「おぼゆ」と「浮かぶ」の複合動詞。
格助詞
いみじき形容詞シク活用の形容詞「いみじ」の連体形。

程度が「はなはだしい」のほか、「すばらしい」「ひどい」の意味を持つ。
現代語の「ヤバい」と同じで、プラス・マイナスの両面のニュアンスがあることを念頭に置いておきたい。

ここではプラスの意味で用いられている。
こと名詞
格助詞
思ふ動詞ハ行四段活用動詞「思ふ」の連体形
接続助詞
自然と(内容やことばを)覚えておて頭に浮かんでくるのを、すばらしいことと思っていると、
 

夢に、いと清げなる僧の、黄なる地の袈裟着たるが来て、

名詞
格助詞
いと副詞「たいそう」、「非常に」という訳を当て、程度が甚だしいことを示す。「めっちゃ」と脳内変換してもOK。
清げなる  形容動詞   ナリ活用の形容動詞「清げなり」の連体形。

さっぱりとして清潔感があり、単純に美しいさまを表す。
似た言葉に「清らなり」という語があるが、この語は光輝いて見えるほどの最上級の美を表すため、限られた人物に対してしか使われないと考えてよい。
一文字でこのように大きな差異が生じるのもおもしろいところである。
名詞
格助詞同格の用法。
この一節は同格の用法を紹介する際に、参考書などでもよく目にする。
黄なる形容動詞ナリ活用の形容動詞「黄なり」の連体形
名詞断定の助動詞「なり」の連用形
格助詞
袈裟名詞読みは「けさ」。
動詞カ行上一段活用動詞「着る」の連用形。

前述の「見る」と同様に、上一段動詞は基本的には10語のみと数に限りがあるため、頭文字を取って「ひいきにみゐる」で確実に暗記しておきたい。
たる助動詞存続の助動詞「たり」の連体形。
直後に「僧」を補って解釈する。
格助詞主格
動詞カ行変格活用動詞「来」の連用形
接続助詞
夢の中に、非常に美しい僧であって、黄色の布地の袈裟を着ている僧が出て来て、

今回はここまで🐸

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