伊勢物語『芥川』品詞分解/現代語訳/解説②

目次
はじめに
こんにちは!こくご部です。
定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。
今回は伊勢物語から『芥川』について、できるだけ短い固まりで本文⇒品詞分解⇒現代語訳の順で見ていきます。
必要に応じて解説も記しておきます。
古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥
それでは行ってみましょう!
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はや夜も明けなむと思ひつつゐたりけるに、
はや | 副詞 | 命令や勧誘、願望の表現が伴っている場合、「すみやかに、一刻も早く」という意味で使われる。 また、「早くも、もう、すでに」という意味や、詠嘆の助動詞「けり」を伴って「もともと、元来」という意味も持つ。 |
夜 | 名詞 | |
も | 係助詞 | |
明け | 動詞 | カ行下二段活用動詞「明く」の未然形 |
なむ | 終助詞 | 他への願望の終助詞。 「なむ」には以下の4パターンあるので、それぞれ識別できるように押さえておきたい。(「⇒」以下は見分ける際のポイント) ①他への願望の終助詞「なむ」 ⇒「なむ」の上は未然形 ②助動詞「ぬ」の未然形「な」+助動詞「む」 ⇒「なむ」の上は連用形 ③係助詞「なむ」 ⇒結びの流れや省略が発生していない場合、文末は連体形 ④ナ変動詞の一部(未然形)+「な」+助動詞「む」 ⇒「な」の上に「死」や「去(往)」がある この場合は「明け」が未然形であるため、①と判断する。 |
と | 格助詞 | |
思ひ | 動詞 | ハ行四段活用動詞「思ふ」の連用形 |
つつ | 接続助詞 | 二つの動作の並行を表す。 なかなか機会はないであろうが、「つつ」の接続を答える必要がある際は「歩きつつ」「~をしつつ」などの用例を考えてみると連用形接続が導き出せる。 文法事項を丸覚えすることも一定必要だが、例文などから一般法則を導く練習(パターンプラクティスの考え方。第二言語習得に際し有効とされている)もしておくとよい。 |
ゐ | 動詞 | ワ行上一段活用動詞「ゐる」の連用形。 上一段動詞は基本的には10語のみと数に限りがあるため、頭文字を取って「ひいきにみゐる」で確実に暗記しておくこと。 |
たり | 助動詞 | 存続の助動詞「たり」の連用形。 助動詞の「たり」は完了・存続の「たり」と断定の「たり」の二つが存在するが、前者は連用形接続、後者は体言に接続する。 意味から考えても両者は明確に区別できるはず。(完了・存続の「たり」はもともと「てあり」から生じているため、接続助詞の「て」と同様に連用形接続である。同様に、断定の「たり」は「とあり」から生じている。) |
ける | 助動詞 | 過去の助動詞「けり」の連体形。 同じ過去でも「き」は直接過去(自身の体験)、「けり」は間接過去(他者の経験)と分けられる場合がある(混同されている場合もある)。その場合は 「き」「けり」で主語が判別できることがあるので、 それぞれニュアンスを押さえよう。 |
に | 接続助詞 |
一刻もはやく夜が明けてほしいと思いながら座っていたところ、
鬼はや一口に食ひてけり。「あなや。」と言ひけれど、
鬼 | 名詞 | |
はや | 副詞 | あっと言う間に。 |
一口 | 名詞 | |
に | 格助詞 | |
食ひ | 動詞 | ハ行四段活用動詞「食ふ」の連用形 |
て | 助動詞 | 完了の助動詞「つ」の連用形。 ★重要文法 直後に「過去」の助動詞がある場合、基本的に「強意」ではなく「完了」の意味で訳出を行う。 |
けり | 助動詞 | 過去の助動詞「けり」の終止形 |
あなや | 感動詞 | 強い驚きを表す感動詞。 「女」の悲鳴である。「ああ~」や「きゃ~」、「あれぇ~」などと、お好みの訳を当てよう。 |
と | 格助詞 | |
言ひ | 動詞 | ハ行四段活用動詞「言ふ」の連用形 |
けれ | 助動詞 | 過去の助動詞「けり」の已然形 |
ど | 接続助詞 | 逆接の接続助詞。已然形接続ということも押さえておきたい。 |
鬼がもう一口で(女を)食べてしまった。(女は)「ああっ。」と言ったが、
神鳴る騒ぎに、え聞かざりけり。
神 | 名詞 | 雷のこと。 |
鳴る | 動詞 | ラ行四段活用動詞「鳴る」の連体形 |
騒ぎ | 名詞 | |
に | 格助詞 | |
え | 副詞 | 副詞「え」+打消(ず、で、じ、まじ)で不可能を表す。 「え」と打消の語のように、セットで使われるものを「呼応の副詞」と呼ぶ。 ここでは、打消の助動詞「ず」の連用形である「ざり」とセット。 |
聞か | 動詞 | カ行四段活用動詞「聞く」の未然形 |
ざり | 助動詞 | 打消の助動詞「ず」の連用形。 直後に助動詞「けり」があるため、補助活用となっている。 |
けり | 助動詞 | 過去の助動詞「けり」の終止形 |
雷が鳴る騒々しさに、(男は女の声を)聞くことができなかった。
やうやう夜も明けゆくに、見れば、率て来し女もなし。
やうやう | 副詞 | 次第に。「漸く」が語源とされている。 清少納言『枕草子』の冒頭、「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは~」にも見える。 「はや夜も明けなむ」と焦りを隠さずにいられない男の気持ちと正反対に、時の流れはゆっくり進んでいる。 |
夜 | 名詞 | |
も | 係助詞 | |
明けゆく | 動詞 | カ行下二段活用動詞「明く」の連用形+補助動詞「ゆく」の連体形。 補助動詞「ゆく」は動作が継続して進んで行く様子を表す。 カ行四段活用動詞「明けゆく」の連体形と見てもよい。 |
に | 接続助詞 | |
見れ | 動詞 | マ行上一段活用動詞「見る」の已然形。 上一段動詞は基本的には10語のみと数に限りがあるため、頭文字を取って「ひいきにみゐる」で確実に暗記しておくこと。 |
ば | 接続助詞 | ★重要文法 接続助詞の「ば」は以下の2パターンを整理しておきたい。 ①未然形+「ば」 ( 未だ然らず、つまりまだ出来事が起きていない) ⇒仮定(もし~ならば) ②已然形+「ば」 (已に然り、もうその状態になっている) ⇒ (ⅰ)原因・理由(~なので) (ⅱ)偶然(~したところ) (ⅲ)必然(~するといつも) |
率 | 動詞 | ワ行上一段活用動詞「率る」の連用形 |
て | 接続助詞 | |
来 | 動詞 | カ行変格活用動詞「来(く)」の未然形。 読みは「こ」。 |
し | 助動詞 | 過去の助動詞「き」の連体形。 ここより前は間接過去を表す「けり」が使われていたが、ここで初めて直接過去の「き」が使われる。 愛しい女性がいなくなってしまった男の思いが男の視点から語られている。 |
女 | 名詞 | |
も | 係助詞 | |
なし | 形容詞 | ク活用の形容詞「なし」の終止形 |
次第に夜が明けていくので、(男が蔵の中を)見たところ、(男が)連れてきた女がいない。
足ずりをして泣けども、かひなし。
足ずり | 名詞 | 激しい悲しみや怒りを表す語。 地に足をすりつけるようにする仕草のことを言う。現代で言うところの「じだんだ」が近いとされるが、厳密に言うと異なるものであるとされる。 スーパーでお菓子を買ってほしいときなどにやってみてほしい。もしかしたら買ってもらえるかもしれない。 |
を | 格助詞 | |
し | 動詞 | サ行変格活用動詞「す」の連用形 |
て | 接続助詞 | |
泣け | 動詞 | カ行四段活用動詞「泣く」の已然形 |
ども | 接続助詞 | 逆接の接続助詞。已然形接続ということも押さえておきたい。 |
かひなし | 形容詞 | ク活用の形容詞「かひなし」の終止形。 漢字を当てると「甲斐無し」。 「どうにもならない」、「取るに足りない」の意味を持つ。 ここでは前者の意味。 |
(男は)じだんだを踏んで泣くが、どうにもならない。
白玉かなにぞと人の問ひし時露と答へて消えなましものを
白玉 | 名詞 | 白色の美しい玉のこと。真珠。 「露」の縁語。 縁語とは、和歌の修辞法の一つ。ある語と関係の深い語を使って、表現をより豊かにする効果がある。連想ゲームを思い浮かべるとよい。 丸くて光があたるとキラッときれいな「露」の様子が「白玉」である真珠を連想させるのである。 |
か | 係助詞 | 疑問の係助詞 |
何 | 代名詞 | |
ぞ | 終助詞 | |
と | 格助詞 | 引用を示す「と」は、直前のものを「 」でくくると場面が整理しやすい。 |
人 | 名詞 | ここでは男が連れてきた「女」を指す。 和歌に見える「人」は、基本的に「恋人」か「それに類する人物」であると考えておいてよい。 |
の | 格助詞 | 主格用法 |
問ひ | 動詞 | ハ行四段活用動詞「問ふ」の連用形 |
し | 助動詞 | 過去の助動詞「き」の連体形 |
時 | 名詞 | |
露 | 名詞 | |
と | 格助詞 | 本和歌中の「と」と同様。引用を示す。 |
答へ | 動詞 | ハ行下二段活用動詞「答ふ」の連用形 |
て | 接続助詞 | |
消え | 動詞 | ヤ行下二段活用動詞「消ゆ」の連用形。 「露」の縁語。 「露」とははかなく気温の上昇によりすぐに消えてしまうものであるため、「消ゆ」という語が連想されるのである。 |
な | 助動詞 | 強意の助動詞「ぬ」の未然形。 ★重要文法 直後に「推量」や「推定」の助動詞がある場合、基本的に「完了」ではなく「強意」の意味で訳出を行う。 |
まし | 助動詞 | 実現不可能な希望の助動詞「まし」の連体形。 助動詞「まし」は未然形接続。 |
ものを | 終助詞 | 詠嘆。直前の「まし」と合わせて「男」の後悔や嘆き、罪悪感などを鮮明にする詠嘆表現となっている。 |
「あれは真珠でしょうか、何でしょうか。」とあの人が尋ねたとき、「露ですよ。」と答えて消えてしまえばよかったのになぁ。
今回はここまで🐸
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