【解答解説】共通テスト2022(現代文②小説)

【解答解説】共通テスト2022(現代文②小説)

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はじめに

今回は共通テスト2022(現代文②小説)と題打って、現代文(小説)の解答例及び解説を掲載します。

共通テストを受験された方、お疲れ様でした。

大手予備校の分析によると例年通り~やや難化となっていますが、形式に驚くことなく対応できたでしょうか。

一朝一夕の付け焼刃では歯が立たないことがお分かりいただけるかと思います。

来年以降の共通テストを受験される予定の方も、早期の対策をおすすめします。

★昨年度まで設けられていた語彙問題が消えましたが、来年度以降復活する可能性もあります。
また、設問として出題されずとも語彙力により得点力が一定決まってくることに変わりはないので、普段からなじみのない語と出会った際は辞書を引く癖をつけておきたいところです。

それでは行ってみましょう🔥

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問1 内容説明問題

解答の方針

大手予備校間でも解答が割れるなど、SNSでも話題になった問題。

①⇒14行目、②⇒12行目、③⇒4行目、④⇒9行目、⑤⇒18行目、⑥⇒1~2行目、傍線部までといったように、全選択肢とも本文にそれらしい記載自体はあるが、問われているのは「『私』をそのような行動に駆り立てた要因はどのようなことか」。つまり、ある行動・心情が引き金となって「私」に行動を起こさせたということであり、その引き金となったものを押さえる必要がある。

★傍線部中の「ほとんど無意識のように」を軸に選択肢を検討していく。

「ほとんど無意識のように」:「無意識」は理性のなす業ではない
⇒本能的に「今が絶好の機会だ」と判断したと考えられる。
⇒絶好の機会たり得る理由は?
⇒・親ではなく少年本人に話すべき(そもそも親を納得させられない)⇒②
 ・看板を何とかしてほしい(したい):「空威張り」「焦り」⇒⑥

★選択肢④について
「選択肢④の経験があったから少年と出くわした時に声をかけた」と考えるよりも、「⑥の状況に耐えかねて少年に声をかけてしまった」と考える方が自然。

問1:2,6

1 「少年に」が不適。本文の記載とズレ。

3 「余裕が生まれていたこと」は「私」に行動させた要因にはならない。よって不適。

5 ③と同様に「いぶかしく感じていたこと」が行動の要因とはならない。よって不適。

残った②、④、⑥で比較検討を行う。比較検討の際に注目すべき点、④の削り方は上記の「解答の方針」を参照されたい。


問2 内容説明問題

問2:1

2 「非難」が不適、「言えない」がグレー。前者は本文とズレ(会話になっていない)ており、後者は本文は「知られたくなかった」となっており、「言えない」とは言っていない

3 「常識だと信じていた~ことによる」「いら立ち」がそれぞれ不適。前者は本文に根拠がなく、内容もズレている。後者は本文とズレ。単純な「いら立ち」ではない。

4 「へりくだった態度で~させてしまった」「看板についての交渉が~感じたことによる」がそれぞれ不適。前者は本文に根拠がなく、後者は本文の内容とズレている。

5 「妻の言葉を真に受け」「自分の態度に~ことによる」「後悔」がそれぞれ不適。どれも本文の内容とズレている。


問3 心情説明問題

解答の方針

★心情説明問題は心の動きに着目する。「〇〇というきっかけがあり、〇〇と感じていたが〇〇と感じるようになった」が基本線。ある行動や出来事によって何かしらの感情を抱く流れを押さえるようにしたい。

ここでの「私」の心の動きと状況は以下のとおりである。
・夜中にプレハブ小屋前の「男」に直接触れて確認する
・さまざまな加工が施され、厳重に固定されていることが分かる(動かすことは諦めざるを得ない)
・理由は分からないが(中略)かなりの覚悟でことに臨んでいるのだ、と認めてやりたいような気分がよぎった(下線:傍線部)

★傍線部のような気分がよぎった「私」は、結局はどのように感じている?看板のことはもう良いのか?

⇒かなりの覚悟でことに臨んでいることについては認めてやりたいような気分がよぎるが、結局は「男」を何とかしたいという思いは変わらない。

問3:3

1 「夜中に隣家の~必要としたため」「彼を見直したいような~心をかすめた」が不適。前者は本文に根拠がなく、後者は本文の内容とズレている。見直したいのは「彼」自身ではなく「彼の覚悟」。

2 「陰ながら応援したいような」が不適。本文に根拠がなく、内容もズレている。

4 「撤去の難しさを確認したことで~楽になるのではないか」が不適。本文に根拠がなく、内容もズレている。

5 「彼の気持ちを無視~歩み寄ってもよい」が不適。本文に根拠がない。


問4 心情説明問題

問4(ⅰ):2

1 「親しみ」が不適。本文の内容とズレている。親しみは抱いていない。

3 「つねに」「内心では~と侮っている」がそれぞれ不適。どちらも本文の内容とズレている。前者は「君」と呼んでいるのは一度(24行目)のみであるため、また後者は選択肢のような呼称を用いているのは少年と別れてから(39行目、61行目)であるため不適。

4 「彼の若さをうらやんでいる」が不適。本文の内容とズレており、根拠もない。

5 「外見から判断しようとしている」が不適。本文の内容とズレており、根拠もない。

問4(ⅱ):2

2 「少年が憧れているらしい~全面的に示すように」が不適。本文に根拠がない。

3 「単なる物として軽視している」「親しみを込めて呼んでいる」「態度を都合よく変えている」がそれぞれ不適。どれも本文の内容とズレている。「親しみを込めている」というよりは少年に話を聞いてもらうための呼称と言った方が適切。

4 「少年の前でとっさに~親しみをこめながら」が不適。本文の内容とズレている。


問5  ノート・メモ問題

問5(ⅰ)解答の方針

★国語辞典にある「案山子」の意味、歳時記の句の意味とそれに対応する解釈のメモの内容を押さえ、空欄Xと空欄Yに当てはまる内容を選択する。

空欄X:看板を家の窓から見ていた時の「私」
⇒看板に脅かされていた

空欄Y:看板に近づいた時の「私」
⇒「ただの板」(60行目)という認識

問5(ⅰ):1

(ア)Xについての記述であり、「『おどし防ぐ』存在となっている」とあり、正しい。

(イ)Xについての記述であるため、「虚勢を張っているように見え」「『見かけばかりもっともらし』い存在」が不適。先述の解答の方針のとおり、「私」は看板に脅かされている。

(ウ)Yについての記述であり、「実際には雀を追い払うことができず」「『見かけばかりもっともらし」い存在」とあり、正しい。

(エ)Yについての記述であるため、「『おどし防ぐ』存在となっている」が不適。先述の解答の方針のとおり、この時点では看板を「ただの板」と認識している。

問5(ⅱ)解答の方針

★問3と同様に、心情説明問題は心の動きに着目する。
「〇〇というきっかけがあり、〇〇と感じていたが〇〇と感じるようになった」が基本線。ある行動や出来事によって何かしらの感情を抱く流れを押さえるようにしたい。

また、「ノートを踏まえて」の指示があるが、物語が進むにつれて「私」が看板をどのように認識していったかについて、「ノート」でまとめられている意味・解釈と合致するものを選択する。

問5(ⅱ):5

1 「虚勢を張る」「こだわり続けていたことに~感じている」がそれぞれ不適。両者とも本文の内容とズレている。特に前者はⓐのように脅かされていたため不適。

2 「はじめ~と理解していた」「看板の㋐~効果を実感し」がそれぞれ不適。両者とも本文の内容とズレている。特に前者は選択肢1と同様に、ⓐのように脅かされていた。

3 「自分に自信を持つことができたと感じている」が不適。本文に根拠がない。

4 「暗闇に紛れて近づいたことにより」「哀れみ」がそれぞれ不適。前者は選択肢5との対比で「暗闇に紛れて」の部分が直接の原因ではないと判断できる。また、後者は選択肢に根拠がなく、本文の内容ともズレている。



今回はここまで🐸

次回は【解答解説】共通テスト2022(古典①古文)ということで、古文編です。

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