【解答解説】共通テスト2022(古典②漢文)

【解答解説】共通テスト2022(古典②漢文)

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はじめに

今回は共通テスト2022(古典②漢文)と題打って、漢文の解答例及び解説を掲載します。

共通テストを受験された方、お疲れ様でした。

大手予備校の分析によると例年通り~やや難化となっていますが、形式に驚くことなく対応できたでしょうか。

一朝一夕の付け焼刃では歯が立たないことがお分かりいただけるかと思います。

来年以降の共通テストを受験される予定の方も、早期の対策をおすすめします。

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それでは行ってみましょう🔥


問1 漢字の意味問題

解答の方針

知っているに越したことはないが、分からなかった場合に以下の方法を試す。

その漢字を含む熟語を思い浮かべる
訓読みから意味を類推する
③(上記の2点で範囲を絞ったあとで)文脈判断

問1

(ア):4
「復タ(また)」という読みは基本中の基本。必ず押さえておきたい。「復活」「復帰」の「復」であることからも判断できるように、「再度」の意味。間違っても⑤の「ま」を選ばないこと。自分が頭に思い浮かべた読みや意味と異なっても、本質的に同じものが選択肢として設けられている可能性は少なくない。今回は「また」という読みができた受験生の中でも、⑤「ま」に飛びついてしまった者も少なくないのかもしれない。

(イ):2
「審」は「審(つまび)らか」と読む。「つまびらか」は「詳しいこと」(「詳らか」とも漢字を当てる。)や「明らかなこと」を意味するため、その意味を知っていれば速答できるが、知らなければ「審査」「審議」などの「審」を含む熟語を想像してほしい。

(ウ):4

「得」には「手に入れる」「受ける」など、さまざまな意味・用法があるが、ここでは「其の形色を得る」と用いられていることから④の「把握する」が適当であると考えられる。


問2 書き下し問題

問2:4

書き下し問題はまず句法のポイントを探して検討⇒文脈判断の流れを徹底!

本問では句法のポイントになりそうなものがないため、選択肢の解釈と文脈が矛盾しないか、自然なものであるかどうかを中心に検討する

今回はまず指示語の「之」に注目。「之」は「蝶」を指すため、これを中心に選択肢を検討。

1 「奉じ入るる」が不適。動詞から動詞にかえることはまずない。

2 「客に~余の園の者あり」が不適。客なのか自分の園の者なのか。矛盾しているため不適。

3 「呼び奉じて」が不適。1と同様。

4 「客(の中)に之(蝶)を呼んで匣に入れささげて、私の園に返そうとした者がいた」と文意が通る。また、「客」は同格と考えて「客であって~する者がいた」と考えてもよい。

5 全体的に文意が不明。


問3 解釈問題

問3:5

★問い自体は解釈ではあるが、書き下し問題と同様にまず句法のポイントを探して検討⇒文脈判断の流れを徹底!

今回は「苟」「当」という句法のポイントがあるので、この2点を中心に検討していく。

「苟」
⇒「苟(いや)しくも~ば」と読み、仮定の句法。この時点で「もし」が入っていない①~③は切れるが、④も「もし~としても」となっているので不適。

「当」
⇒再読文字。「当(まさ)に~すべし」と読み、適当・当然の意味を持つことが多いが、読みが同じ「応(まさに~すべし)の」ここで意志(推量)の用法を用いている。


問4 空所補充問題

解答の方針(押韻について)

漢詩の空所補充で句末が空欄になっていればまず押韻を考える。その後、(あれば)対句関係になっているものがないかチェックする

押韻:(初句)+偶数句末が同一または類似の韻をもつ字を用いる。
⇒押印は詩がつくられた当時の中国語の読みで判断する必要があるので、大学受験レベルでは深く追求しすぎないこと。押韻警察にお叱りを受けるが、受験生諸君に四声+平仄をマスターする必要性はない。まずは「この響き似てるな~」程度で判断すること。

本問では偶数句末が「〇a」になっており、選択肢から「〇a」の読みのものを選ぶ。
⇒①「座(za)」、③「歌(ka)」が候補。⑤「香」は「か(ka)」とは読まず「こう(kou)」と読む。
※「か(ka)」は訓読み。音を考える際は訓読みではなく音読みで考えること。

ここから「詩に関する説明」についての説明を検討していくが、前提となる知識をまとめておく。

解答の方針(代表的な詩形について)

律詩
八句から成る。二句ずつにまとまり、首聯(しゅれん)・顎聯(がんれん)・頸聯(けいれん)・尾聯(びれん)となる。
(詩を人体の構造に例えており、それぞれ頭・あご・首・しっぽの意味である。「え?胴体は?」と思ったそこの君、私と同じです。)
顎聯と頸聯はそれぞれ対句にするのが原則。(「顎聯と頸聯が対句」ではない!顎聯の3句と4句を対句に、頸聯の5句と6句を対句にする。)

絶句
四句から成る。一句ずつ分けて起句・承句・転句・結句という。

「律詩を半分に絶ち切った詩形が絶句」と覚える。
⇒「どっちが四句でどっちが八句だったっけ・・・?」と迷ったときは短い方が絶句である。

これらの律詩・絶句(「古詩」や「楽府(がふ)」などの詩形もあるが、ここでは触れない。)は一句の字数が五字か七字かによって五言律詩・五言絶句、七言律詩・七言絶句に大別できる。

問4:3

前置きが長くなったが、ここからは選択肢を比較検討していく。

1 「七言絶句」が不適。本問の詩は七言律詩。

2 「七言古詩」が不適。受験生が持っていてほしい知識は以下の通り。
①詩は「唐以降に詠まれた近体詩(律詩・絶句・排律)それ以前に詠まれた古体詩(古詩・楽府)に分類される。
②古詩は句数が一定ではない(長い詩もあれば短い詩もある)

3 正答。対句について記しておく。

★対句:対応する語句の字数・文法的構造(品詞・語格、返り点の付け方など)が等しく、内容も対応する二句のこと

本問では
顎聯⇒「花は我が為に~」「人は春に随ひて~」
頸聯⇒「思翁夢は好くして~」「仙蝶図成りて~」
と形式・内容ともに対応している。

4 1の選択肢と同様に「七言絶句」が不適。

5 詩の説明は正しいが、押韻部分が不適。解答の方針(押韻について)を参照。


問5 読み方問題(句法)

問5:5

奈何」(=「如何」)は「いかんセン」と読み、疑問・反語を表す。(疑問:どうしたらよいか。反語:どうしたらよいか、いや、どうしようもない)

これを反映している選択肢は5のみ。よって5が正答。


問6 内容一致問題

問6:5

問題形式に戸惑った受験生もいるかもしれないが、内容を順に押さえていけば正答できる問題。

問にあるように蝶が現れたり止まったりしたのは以下の場所。

・2行目 阮元の「園中」
・2行目 「扇」
・3行目 「瓜爾佳氏の園中」
・4行目 阮元の「園の台上」
・5行目 画者の「袖」

これらの場所を順番通りに記載しているのは5のみ。1、2の「春の城」「画家の家」「董思翁の家」は文中に登場しない。また、4は「瓜爾佳氏の庭園」と「扇」の順序が逆。


問7 心情説明問題

問7:5

心情説明問題ではあるが、本文と選択肢の相違点を見れば正答に辿りつくことができる。

1 「董思翁の家」「美しい蝶が~むなしく思っている」がそれぞれ不適。前者は本文に根拠がなく、後者は本文の内容とズレている。

2 「扉から~現れた」「いずれは箱の~残念に思っている」がそれぞれ不適。1と同様に前者は本文に根拠がなく、後者は本文の内容とズレている。

3 「詩にできたことに満足する」「董思翁の夢~できあがった」がそれぞれ不適。両者とも本文の内容とズレている。

4 「都を離れている~嘆いている」が不適。本文の内容とズレている。


今回はここまで🐸

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