【解答解説】龍谷大学2021公募推薦・国語大問3(古文)

【解答解説】龍谷大学2021公募推薦・国語大問3(古文)

こんにちは!こくご部です。

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はじめに

今回は龍谷大学2021公募推薦・国語大問3(古文)の解答例及び解説を掲載します。

関西ではお馴染み、全国的にも根強い人気を持つ龍谷大学。憧れをもつ受験生も少なくありません🔥

志望している人は早期の対策をおすすめします🐸

なお、著作権の関係から、 当ブログ作成の解答解説のみを掲載し、設問は掲載していませんのでご了承ください。


それでは行ってみましょう🔥

⇓同じ年の別の大問はこちらから

https://kokugobu-education.com/commentary-ryukoku2021-2/

問1 文法問題

問1:2

波線部のうち、品詞の異なるものを選ぶ問題。

龍谷大学の問題(公募推薦)は60分で3題を解き切る必要があるため、情報の取捨選択と、その処理速度が無いと対応が難しい。選択肢を吟味して確からしい判断をすることは言うまでもなく重要であるが、明らかな正解が分かる場合はどんどん先に進んで行くのが望ましい

特に本問は波線部を見ずに選択肢だけ見ても問題なく解答できる問題であり、難易度も高いものではないため、素早く正確に解答して次の問題へ進みたい。

a,c,dはそれぞれ形容詞、bは動詞であるため、bのみ「仲間外れ」である。迷った時のために、以下で詳しく見ていく。

a 直後に「と」を伴っていることから、波線部部分は終止形であることが分かる。(「と」は引用。現代語で考えてみても「Aくんは〇〇である言っていた」のように、直前は終止形。)終止形で「し」で終わるものといえば「形容詞」であると考えを巡らせ、次の選択肢に移りたい。

b 「侍り」という動詞が直後に来ていることから、波線部は連用形であることが分かる。「まよひ/ありき」と切れる複合動詞であることが分かっている受験生であれば難なく捌けるであろうが、仮にこれが動詞であることが分からなかったとしても、以下のように考えればよい。

この時点で先ほどのaが「形容詞」であることが分かっているので、このbが形容詞と同じような活用をしているのかを考えれば(形容詞の連用形は「ク」/「カリ」・「シク」/「シカリ」で終わる)、この時点でaと「謎の品詞」のbのどちらかが解答となる。
(蛇足だが、「異なるものとして最も適当なものを一つ選びなさい」という指示があるのだから、2つの選択肢が相反している時点でそのどちらかが解答になる。)

c 直後に句点(「。」)があるため、波線部は終止形であることが分かる。終止形、いわゆる「言い切りの形」が「し」で終わるため、cは形容詞であると判断できる。
なお、aとcが同じ音であることから、この時点でbが「仲間外れ」であることが分かる。よって、bの時点で判断できなかった場合でも最低限このタイミングで解答を選べていないと合格は厳しい

d 直後に「ほど」という名詞があるため、連体形であることが分かる。連体形が「しき」で終わっているため、dは形容詞であると判断できる。


問2 解釈問題

問2:4

傍線部について解釈する問題。過去問演習で本問を落としている場合は反省が必要。単純に語彙力不足と言い切ってもよい。

「夜をこめて」は品詞分解すると「夜」、格助詞「を」、動詞「こむ」の連用形、接続助詞「て」であり、「まだ夜が明けないうちに」という意味になる。連語として覚えておいてほしい。

百人一首にも採用されている清少納言の歌「夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の関は ゆるさじ」は押さえておきたい。

なお、本問では上述の知識が無くとも直後の「有明の月の影」から4を選ぶことができる。
同様に百人一首に採用されている「今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな」も押さえておきたい。


問3 解釈問題

問3:2

傍線部について解釈する問題。まず正確に品詞分解を行い、逐語訳を心がけるだけで選択肢を絞り込むことができる。

「故郷を別れし」はそのまま訳して良いが、選択肢を見ると具体的に「筑紫を旅立った」とされており、全ての選択肢が同じであるため選択肢の訳を借りれば良い。

「別れし」に着目すると、過去の助動詞「き」が連体形となっており、「し」の直後に名詞が省略されていると判断できる。ここではその名詞が何か確定できないが、「こと」や「時」などを補って次に進む。ここで何も名詞を補っていない3と4は不適切

「より」は現代語にも残っているように何かと何かを比べる「比較」を表す。この意味が訳出されている2が正答と判断できる。1の「と同じように」は本文から読み取ることはできない。

後段の「なほ~侍りしにや」については、「なほ」の訳出が「やはり」「もっと」「もっとも」と別れている以外は積極的に選択肢を切るには満たない。「なほ」に「もっとも」の意味は無いが、「やはり」「もっと(ますます)」のどちらの意味もあることは押さえておきたい。


問4 指示語問題

問4:4

「さもや」は「さ」から判断できるように、原則として直前の内容を受ける指示語である。
「直前とはどこまでの範囲か」と質問されることがあるが、まずは単純に直前の一文の内容を当てはめてみて違和感が無ければそのまま進んでよい(少し乱暴ではあるが、制限時間の中で得点を取りに行かなければならない大学入試においては致し方ない部分もあると割り切ってほしい。古文の世界を堪能することは決して否定しないが、少なくとも大学入試の試験中に行うのは難しい)。

正答は4。「指示語は直前の内容を受ける」という原則を当てはめれば、迷うことなく正答が選べる問題。


問5 解釈問題

問5:2

和歌の一部に傍線が引かれ、傍線部の解釈を行う問題。和歌の内容を押さえた上で傍線部を品詞分解し、逐語訳を行ってから解釈へとつなげたい

「影」は「光」「姿」などを示す語で、それが反映されていない4は真っ先に削る。

「憂ければ」は形容詞「憂し」の已然形、接続助詞「ば」に分かれる。
已然形+「ば」は①原因・理由(~なので)、②偶然(~したところ)、③必然(~するといつも)の意味を持つが、選択肢を見るとどれも①の原因・理由を示す「ので」「から」で文章が締められているため、ここで選択肢を志望ることはできないが、3は「だろうから」と「推量」が訳出されている。本文に「む」「らむ」などの「推量」を示す語句はないので、3は不適。

残る1、2を検討する際に、和歌の他の部分を踏まえる。

傍線部以外の部分は「(私が)立ち寄って見たと語ってくれるな、鏡山よ。(私の)名をこの世に留める)残す(ような/には)・・・」とあるため、この文脈と相応しいものを選ぶ。正答は2。


問6 内容一致問題

問6:3

文中に登場する「佐夜のなかやま」について、本文の内容と合致するものを選ぶ問題。

本文中には読み方も含めて「佐夜のなかやま」の様々な説明が記されている。その内容と合致するものを選ぶというシンプルな問題のため、本文と照らし合わせて選択肢を吟味していきたい。

選択肢の中に本文と反する部分が一つでもあればその選択肢は誤りとなるため、選択肢が長文であればあるほど選択肢の「キズ」を探すことを意識したい

1 「西行と」が不適。本文に記述が無い。

2 「歌を詠んで~わされた」が不適。本文の内容とズレている。実際に自分が尋ねてみて、「さやのなかやま」と言われたことが契機である。

4 「滑稽である」が不適。「滑稽」とする根拠がない。仮にこれを不適とする自信が乏しかったとしても、3は本文の内容と合致しているため、積極的に3を正答として選択しても良い。


問7 文学史問題

問7:1

文学史問題。龍谷大学の公募推薦では毎年文学史問題が出題される。
日本史選択者であれば文化史対策にもなるため、重点的に対策しておきたいが、細かな内容が出題されることはそう多くない。まずは有名どころを押さえておきたい。

本問では西行の歌集を答える問題。迷わず1の『山家集」を選択してほしい。
なお、文学史が出題される難関私大を志望している場合は『撰集抄』も合わせて確認しておきたい。

2 『詞花和歌集』は八代集のうち、六番目の勅撰和歌集。崇徳院の命により、藤原顕輔が撰んだとされる。

3 『猿蓑』は松尾芭蕉やその門人の俳句を集めた撰集。

4 『金葉和歌集』は2の『詞花和歌集』と同じ八代集に数えられる。『詞花和歌集』の一つ前の五番目の勅撰和歌集である。撰者は源俊頼。


問8 解釈問題

問8:1

和歌の解釈問題。和歌だからといって過剰に恐れる必要はなく、品詞分解⇒逐語訳⇒解釈の順番を丁寧に追っていけば十分得点できる

「紅葉せば」は「紅葉せ」「ば」に分かれる。接続助詞「ば」は問5でも扱ったが、未然形+「ば」 は「仮定(もし~ならば)」を示す。この時点で已然形+「ば」の「原因・理由」の訳出がされている2と4は不適。

続いて「夢とやならむ」を2、4を中心に吟味すると、「なら」はラ行四段活用動詞「なる」の未然形であるが、1は「夢となる」、3は「夢がかなう」と訳出されている。この時点で3が不適であり、正答は1であることが分かるが、参考に下の句も確認しておく。

「うつつに見る」の「うつつ」は現代語でも「夢か現(うつつ)か」と残っているように「現実」という意味であり、1以外は「うつつ」の意味を反映していない。


今回はここまで🐸

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