源氏物語『桐壺 光源氏の誕生』定期テスト対策&テスト予想問題②

源氏物語『桐壺 光源氏の誕生』定期テスト対策&テスト予想問題②

はじめに

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。


今回は源氏物語から『桐壺 光源氏の誕生』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。

学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう

また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味

まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ直前の確認にも活用してください!
前の世                         さきのよ                前世。
契りちぎり(前世からの)因縁・宿縁。

ここでは桐壺帝と桐壺更衣の間の因縁を指している。
清らなりかうい  美しい。

ナリ活用の形容動詞。
光輝いて見えるほどの最上級の美を表すため、限られた人物に対してしか使われないと考えてよい。
似た言葉に「清なり」という語があるが、こちらはさっぱりとして清潔感があり、単純に美しいさまを表す。一文字でこのように大きな差異が生じるのもおもしろいところである。
玉の男皇子たまのをのこみこ美しい皇子。

ここでは光源氏のことを指す。
いつしか早く(~したい)。まだかまだか。

当時は出産の際、宮中から実家に帰ることになっており、(死や出産は「穢れ」とされ、忌避されていた)出産を終えた桐壺更衣と我が子に会えるのを帝が待ち遠しく思っている様子が表されている。
心もとながるこころもとながる待ち遠しく思う。

ラ行四段活用動詞。形容詞の「心もとなし」も併せて確認しておきたい。
参るまゐる参上する。

「行く」の謙譲語。
御覧ずごらんず御覧になる。

「見る」の尊敬語。
容貌かたち顔立ち。容貌。

「すがた」が衣服を含めた身体全体を指すのに対し、「かたち」はまさに顔の造形について指す。
寄せよせ後見の勢力。
まうけの君まうけのきみ気に食わない。

シク活用の形容詞。
上位の者が下位の者の言動を見て、目が覚めるほど良い/悪い(立派だ/気に食わない)さまを表す。
かしづく大切に育てる。世話をする。

「かしら(頭)づく」が変化した語とされている。
にほひ(視覚的な)美しさ。

現代語と同じように「香り」という意味もあるが、主に視覚的な美しさを示し、訳出の際は対象となるものに合うような表現で訳を当てる。
わたくしもの自分の大切なもの。秘蔵っ子。

漢字を当てると「私物」であることからもイメージできるかもしれない。
おしなべて一様に。
おぼえ世間の評判。(貴人からの)寵愛。

「御」や「世」などを手掛かりに、文脈に応じて意味を見分ける必要がある。
わりなく道理に合わない。

「わり」は理(ことわり)で、「道理」のこと。その「わり」が「無い」ことから、「道理や常識に合わない」、「ひどい」、「どうしようもない」、「苦しい」などの訳を当てる。
さるべきそうあるべき。しかるべき。

「さ」「る」「べき」に分けられ、直訳すると「そうあるべき」となる。「適当な」、「そうなるはずの」「立派な」といった訳が当てられる。
大殿ごもるおおとのごもるお休みになる。

「寝」の尊敬語。
やがてそのまま。すぐに。
あながちなりみやみに。

「強ちなり」と漢字をあてる。「強制」「強引」などの熟語を作ることができるように、無理やりであるさまを示す。
ばう皇太子の地位。
ようせずは悪くすると。ひょっとすると。

ク活用の形容詞「よし」の連用形のウ音便(=「よう」)
+サ行変格活用動詞「す」の未然形
+打消の助動詞「ず」の連用形
+係助詞「は」。
おはしますいらっしゃる。

「あり」「来」「行く」などの尊敬語。
いさめ忠告。戒め。
かしこし恐れ多い。


②文法的説明問題

特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!

御契りや深かりけむ過去推量の助動詞「けむ」の連体形

係助詞「や」による係り結びが起きている。
いつしかと心もとながら給ひて尊敬の助動詞「す」の連用形

直後に「給ふ」という尊敬語が存在しているため、ここでの助動詞「す」は使役ではなく尊敬の意味で解釈する。
急ぎ参らて御覧ずるに使役の助動詞「す」の連用形

「参らす」という一語ではなく、「参る」+助動詞「す」である。
並びたまふべくもあらざりければ可能の助動詞「べし」の連用形

直後に打消を伴っていることから、「べし」は可能で解釈する。
わりなくまつはさたまふあまりに尊敬の助動詞「す」の連用形

「まつはす」+助動詞「す」+「たまふ」である。
やがてさぶらはたまひなど使役の助動詞「す」の連用形

直後に「給ふ」という尊敬語があるが、尊敬の意味で取ると文意が通らなくなる。
この御子の居たまふべきめり断定の助動詞「なり」の連体形「なる」の撥音便の無表記形

あくまで「無表記」なだけなので、読むときは「なん」である。
この御子の居たまふべきなめり推定の助動詞「めり」の終止形


③現代語訳問題

①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!

前の世にも、御契りや深かりけむ(帝と桐壺更衣は、現世だけではなく)前世でも因縁が深かったのであろうか

(ポイント)
・「も」があることから、明言されていない現世を引き合いに出している
・問われ方によっては誰と誰の因縁が深いのかを補う必要がある。
世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ世に(適うものが)ない、美しい玉のような男の皇子までもがお生まれになった。

(ポイント)
・「清らなり」≠「清げなり」
・「さへ」は「桐壺更衣が帝の寵愛を受けること」+「美しい玉のような男の皇子が産まれたこと」を表現している。
いつしかと心もとながらせ給ひて帝は「はやく(会いたい)」と待ち遠しくお思いになって

(ポイント)
・「いつしか」の直後に省略されているのは「(玉の男皇子に)会いたい」
・「せ」+「給ふ」で二重尊敬
急ぎ参らせて御覧ずるに(桐壺更衣と我が子に)急いで参上させてご覧にになると、

(ポイント)
・「せ」は使役の助動詞「す」の連用形
・帝が桐壺更衣と玉の男皇子を呼んでいる
おほかたのやむごとなき御思ひにて(帝から第一皇子・朱雀帝に対しては)並一通りのお思いであって、

(ポイント)
・直後に打消を伴っていないため、「おほかた」は全否定で訳さない


④読解問題

様々な種類の問題が想定されるが、事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。

「玉の男皇子」と「一の皇子」はどのように対比されているか。解答例

「一の皇子」は右大臣の女御が産んだ皇子で、後ろ盾がしっかりしており皇太子として大事に育てられている一方、「玉の男皇子」は後ろ盾がないが、世の中に比類のないほどの美しさで、帝は個人的に大切なものとして扱っている。
「この御にほひには並びたまふべくもあらざりければ」とあるが、これは①誰が②誰の③何に並ばないのか。解答例

①第一皇子(朱雀帝)
②玉の男皇子(光源氏)
③美しさ
「この君をば、私物に思ほしかしづきたまふこと限りなし」とあるが、これは何故か。解答例

①世の中に類を見ないほどの美しさであるから。

②最愛の桐壺更衣が産んだ皇子であるから。
「一の皇子の女御は思し疑へり」について、「一の皇子の女御」は何を疑っているのか。分かりやすく説明せよ。解答例

自分の産んだ第一皇子ではなく、桐壺更衣が産んだ第二皇子が皇位を継承すること。
「一の皇子の女御は思し疑へり」について、上記のように疑う理由は何か。分かりやすく説明せよ。解答例

①第二皇子は比類のないほどの美しさであり、母子ともに帝の寵愛ぶりが凄まじく、第二皇子に比べて帝の第一皇子への思いは並であるから。

②母子ともに帝の寵愛ぶりが凄まじく、断然有利と自他共に認める権力争いに陰りが差し、自らの立場がゆらぐことを恐れたため。


今回はここまで🐸

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