平家物語『木曽の最期』定期テスト対策&テスト予想問題①

平家物語『木曽の最期』定期テスト対策&テスト予想問題①

はじめに

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。


今回は平家物語から『木曽の最期』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。

学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう

また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味

まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ直前の確認にも活用してください!
直垂ひたたれ袴と一緒に着る庶民の仕事着で、後に武士の服となったもの。
唐綾縅からあやをどし「唐綾」は中国渡来の模様を織り出した絹織物のこと。
「縅」は鎧の札を糸などでつづり合わせるようにしたもののこと。
鍬形くはがた兜の目庇の上に立てる、二本の角のような飾りのこと。
滋籐しげどう黒漆塗の弓の幹を籐で巻いたもの。
鬼葦毛おにあしげ「鬼」は接頭語。名詞の上につき、荒々しい、勇敢な、といった様子を表す。
「葦毛」は馬の毛色の一つで、白い毛に青や黒などの毛が混じったもののこと。
黄覆輪きんぷくりん鞍や刀の鞘などの縁を金や金色の金属を用いて、飾ったもの。
あぶみ馬の横腹あたりにある、足をかける馬具。
大音声だいおんじやう大きな声。
冠者くわんじや服して冠を付けて一人前になった若者のこと。
かたき漢字を当てると「敵」。
をめく大声で叫ぶ。漢字をあてると「喚く」。
蜘蛛手くもで蜘蛛の足が八本であるように四方八方に駆け巡ること
とうとう早く早く。
いづち方向、場所についての指示代名詞。どこ。
具すぐす連れる。


②文法的説明問題

特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!

鍬形打たる甲の緒締め、いかものづくりの大太刀はき、タ行四段活用動詞「打つ」の連用形の促音便
鍬形打つたる甲の緒締め、いかものづくりの大太刀はき、存続の助動詞「たり」の連体形
石打ちの矢、その日のいくさに射て少々残つたるを格助詞「の」の同格用法
石打ちの矢の、その日のいくさにて少々残つたるをヤ行上一段活用動詞「射る」の連用形
聞こゆる木曽の鬼葦毛といふ馬、きはめて太うたくましいに、格助詞「の」の同格用法
聞こゆる木曽の鬼葦毛といふ馬の、きはめて太うたくましいに、ク活用の形容詞「太し」の連用形のウ音便
聞こゆる木曽の鬼葦毛といふ馬の、きはめて太うたくましいに、シク活用の形容詞「たくまし」の連体形のイ音便。
「昔は聞きけんものを、木曽の冠者、過去推量の助動詞「けむ」の連体形
今は見るらん、左馬頭兼伊予守、朝日の将軍源義仲ぞや。現在推量の助動詞「らむ」の終止形
大勢の中に取りこめて、我討つ取らとぞ進みける。意志の助動詞「む(ん)」の終止形
後ろへつつと出でたれば、五十騎ばかりになりけり。完了の助動詞「ぬ」の連用形。

過去の助動詞を伴う場合の「つ」「ぬ」は完了で解釈するのが基本。
後ろへつつと出でたれば、五十騎ばかりになりにけり過去の助動詞「けり」の終止形
五騎がうちまで巴は討たざりけり。受身の助動詞「る」の未然形
五騎がうちまで巴は討たれざりけり。打消の助動詞「ず」の連用形
五騎がうちまで巴は討たれざりけり過去の助動詞「けり」の終止形
「おのれはとうとう、女なれば、いづちへも行け。断定の助動詞「なり」の已然形
我は討ち死にせと思ふなり。意志の助動詞「む(ん)」の終止形
我は討ち死にせんと思ふなり断定の助動詞「なり」の終止形
かの親王の御子、高視の王、無官無位にして失せたまひ完了の助動詞「ぬ」の終止形
もし人手にかから自害をせんずれば未然形+「ば」⇒仮定
もし人手にかからば自害をせんずれ意志の助動詞「むず(んず)」の已然形。
助動詞「むず」は、その力強い語感から武士が好んだとされている。
なんど言はれんことも、しかるべからず。」当然の助動詞「べし」の未然形。


③現代語訳問題

①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!
石打ちの矢の、その日のいくさに射て少々残つたるを石打ちの矢で、その日の戦で射て少し残っている矢を

(ポイント)
・「石打ちの矢」の「の」は同格用法。
聞こゆる木曽の鬼葦毛といふ馬の、きはめて太うたくましいに名高い木曽の鬼葦毛という馬で、たいそう太くたくましい馬に

(ポイント)
・「聞こゆる」は連体詞。「名高い」「有名な」の意。
・「鬼葦毛といふ馬の」の「の」は同格用法。
後ろへつつと出でたれば、五十騎ばかりになりにけり。(一条軍の)後ろに出たところ、(義仲の軍は)五十騎ほどになってしまった。

(ポイント)
・過去の助動詞を伴う「つ」「ぬ」は完了で解釈するのが基本。
「おのれはとうとう、女なれば、いづちへも行け。「あなたは早く早く、女であるから、どこへでも行け。

(ポイント)
・「とうとう」は「早く早く」。切迫した木曽殿の様子を感じ取ることができる。
我は討ち死にせんと思ふなり。私は討ち死にしようと思うのだ。

(ポイント)
・助動詞「ん」は意志。
・助動詞「なり」は断定。「思ふ」が終止形・連体形ともに同形であり、見た目で判断ができないが、「我は」と言っていることから断定と解釈するのが自然。
もし人手にかからば自害をせんずれば、もし人(敵)に殺されそうになるならば自害をするつもりのため、

(ポイント)
・未然形+「ば」=仮定。
・「ん(む)ずれ」は意志の助動詞「んず(むず)」の已然形。
・已然形+「ば」=(ここでは)原因・理由。
木曽殿の最後のいくさに、女を具せられたりけりなんど言はれんことも、しかるべからず。『木曽殿が最後の戦に女をお連れになったらしい』などと言われるようなことも、ふさわしくない。

(ポイント)
・「具す」は連れる。
・「られ」は尊敬の助動詞「らる」の連用形。
・「言はれんことも」の「ん」は婉曲の助動詞「む」の連体形。文中であるため、まずは仮定か婉曲かで判断する。
・何故「しかるべからず」なのかは解釈の余地があるが、いくら巴が勇猛であるとはいえ、木曽殿の最後のいくさに女性を連れていたと周囲の人に言われることは「(自分にとって)ふさわしくない」ということである。


④読解問題

様々な種類の問題が想定されるが、事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。

「聞こゆる木曽の鬼葦毛といふ馬、きはめて太うたくましいに」とあるが、①傍線部「の」の用法を示し、②「たくましい」の後にどのような名詞を補うべきか答えよ。①同格
②馬
「今は見るらん、左馬頭兼伊予守、朝日の将軍源義仲ぞや」とあるが、傍線部の助動詞「らん」と対応している助動詞を本文中から抜き出し、答えよ。けん(けむ)
それをも破つて行くほどに」とあるが、「それ」は何を指すか。土井次郎実平の軍
「おのれはとうとう、女なれば、いづちへも行け」とあるが、何故「木曽殿」は「巴」に対してこのように言うのか。説明せよ。解答例
①もし敵に殺されそうになるならば自害をするつもりであるが、その際に女を連れていたと言われることは不名誉だと考えたから。
②圧倒的な数的不利の状況で、せめて巴だけでも逃がそうとしたから。


今回はここまで🐸

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