伊勢物語 『梓弓』定期テスト対策&テスト予想問題

伊勢物語 『梓弓』定期テスト対策&テスト予想問題

はじめに

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。


今回は伊勢物語から『梓弓』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。

学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう

また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

関連記事はこちらから⇓


⇓伊勢物語の他の記事はこちらから





①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味

まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ直前の確認にも活用してください!
宮仕へみやづかへ        宮中や貴族の屋敷に仕えること。
三年みとせ三年。

当時は夫が他国に行くなどして不在のとき、子がいない妻は三年で再婚することができたとされている。
わぶ~しかねる。
ねんごろなり       熱心である
あふ結婚する
契る約束する
たまふ(尊敬の補助動詞の場合)~なさる。
新枕にひまくら男女が初めて共寝すること
梓弓あづさゆみ梓の木で作った弓のこと
槻弓つきゆみけやきの古名と言われる木で作った弓のこと。
うるはしみす親しみ愛す。仲睦まじくする。
往ぬいぬ(その場から)去る
清水しみづ湧き水
および
離るかる離れる
いたづらなりむだだ。はかない。
いたづらになる人が亡くなる


②文法的説明問題

特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!

三年ざりければ、カ行変格活用動詞「来」の未然形
三年来ざければ、打消の助動詞「ず」の連用形
待ちわびたりけるに、完了の助動詞「たり」の連用形
いとねんごろ言ひける人にナリ活用の形容動詞「ねんごろなり」の連用形の活用語尾
この男たりけり。カ行変格活用動詞「来」の連用形
この男来たりけり。完了の助動詞「たり」の連用形
この男来たりけり過去の助動詞「けり」の終止形
「この戸開けたまへ。」とたたきけれどハ行四段活用動詞「たまふ」の命令形
「この戸開けたまへ。」とたたき過去の助動詞「けり」の已然形
「この戸開けたまへ。」とたたきけれ打消接続の接続助詞
歌をなむよみて出だしたりける強意の係助詞
あらたまの年の三年を待ちわびてただ今宵こそ新枕すれ「年」を導き出す枕詞。

枕詞とはある特定の語を導き出すために使われる、主に五音の修飾語のこと。ふつう、枕詞は口語訳をしない。
あらたまの年の三年を待ちわびてただ今宵こそ新枕すれサ行変格活用動詞「す」の已然形
あずさ弓ま弓槻弓年を経てわがせしがごとうるはしみせよ「年」を導く序詞。

序詞とは、ある語を飾るために、その語の前に置かれる七音以上の修飾語のこと。口語訳を行わない枕詞とは異なり、歌が詠まれた場面の理解を促すため口語訳を行う。
あずさ弓ま弓槻弓年をてわがせしがごとうるはしみせよハ行下二段活用動詞「経」の連用形

活用は「へ、へ、ふ、ふる、ふれ、へよ」。
あずさ弓ま弓槻弓年を経てわせしがごとうるはしみせよ格助詞(主格用法)
あずさ弓ま弓槻弓年を経てわがしがごとうるはしみせよサ行変格活用動詞「す」の未然形
あずさ弓ま弓槻弓年を経てわがせがごとうるはしみせよ過去の助動詞「す」の連体形
あずさ弓ま弓槻弓年を経てわがせしがごとうるはしみせよ比況の助動詞「ごとし」の語幹の用法
あずさ弓ま弓槻弓年を経てわがせしがごとうるはしみせよサ行変格活用動詞「うるはしみす」の命令形
いなむとしければナ行変格活用動詞「いぬ」の未然形
いなとしければ意志の助動詞「む」の終止形
あづさ弓引けど引かねど昔より心は君に寄りにしものを「引け」を導き出す枕詞
あづさ弓引け引かね昔より心は君に寄りにしものを逆接の恒時条件。

「~とも」「~ときでも」と訳する。
あづさ弓引けど引かど昔より心は君に寄りにしものを打消の助動詞「ず」の已然形
あづさ弓引けど引かねど昔より心は君に寄りしものを完了の助動詞「ぬ」の連用形

助動詞「つ」「ぬ」は過去の助動詞を伴う場合、完了で解釈するのが基本。
あづさ弓引けど引かねど昔より心は君に寄りにものを過去の助動詞「き」の連体形
あづさ弓引けど引かねど昔より心は君に寄りにしものを詠嘆の終助詞
と言ひけれど、男、帰りけり。完了の助動詞「ぬ」の連用形

助動詞「つ」「ぬ」は過去の助動詞を伴う場合、完了で解釈するのが基本。
追ひつか、清水のある所に伏しにけり。後ろに「打消」を伴って「不可能」の意味を表す
(「で」は打消接続の接続助詞)
そこなりける岩に、指の血して書きつけける。存在の助動詞「なり」の連用形
そこなりける岩に、指の血して書きつけける。格助詞(手段)。~によって。
相思はで離れぬる人をとどめかねわが身は今ぞ消え果てぬめる完了の助動詞「ぬ」の連体形
相思はで離れぬる人をとどめかねわが身は今ぞ消え果てめる強意の助動詞「ぬ」の終止形。

直後に「推量」や「推定」の助動詞がある場合、「完了」ではなく「強意」の意味で訳出を行う。
相思はで離れぬる人をとどめかねわが身は今ぞ消え果てぬめる推定の助動詞「めり」の連体形。

ここでは係助詞「ぞ」を受けて係り結びが成立している。


③現代語訳問題

①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!

三年来ざりければ、待ちわびたりけるに、(男が)三年来なかったので、(女は)待ちくたびれたので、

(ポイント)
・主語は「男」
・已然形+「ば」⇒原因・理由
いとねんごろに言ひける人に、「今宵あはむ。」と契りたりけるに、(女はたいそう熱心に言い寄ってきた人に「今夜結婚しよう。」と約束していたところ、

(ポイント)
・主語は「女」
・「ねんごろなり」:熱心に
・「あふ」:結婚する
「この戸開けたまへ。」とたたきけれど、開けで、「この戸をお開けください。」と(男が戸を)たたくが、(女は)開けないで、

(ポイント)
・「たまへ」は尊敬の補助動詞「たまふ」の命令形
・戸を叩いたのは「男」
・戸を開けなかったのは「女」
あらたまの年の三年を待ちわびてただ今宵こそ新枕すれ三年も待ちわびてちょうど今夜あなたとは別の方と共寝をするのだ。

(ポイント)
・和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

・詠んでいるのは「女」。
・三年越しに帰って来た「男」を拒絶する歌。
・強意の係助詞「こそ」は「他でもないちょうど今夜」というニュアンス。
あずさ弓ま弓槻弓年を経てわがせしがごとうるはしみせよあづさ弓ま弓槻弓、年を重ねて、私が(あなたを)愛したように、(新しい夫とも)仲睦まじくしなさい。

(ポイント)
・和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

・詠んだのは「男」
・序詞である「あずさ弓ま弓槻弓」は訳出しない
・拒絶された「男」は「女」と新しい男との愛情を尊重している歌を詠んだ
と言ひて、いなむとしければ、と(男は)言って立ち去ろうとしたので、

(ポイント)
・ナ変動詞「いぬ」+意志の助動詞「む」。
・已然形+「ば」⇒原因・理由(または偶然条件)での訳出
あづさ弓引けど引かねど昔より心は君に寄りにしものを(私の心を)引いても引かなくても、昔から私の心はあなたに寄っていたのになぁ。

(ポイント)
・和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

・詠んだのは「女」
・身を引いた「男」を引き留めようとしている歌。
え追ひつかで、清水のある所に伏しにけり。追いつくことができないで、清水がある所でうつ伏してしまった。

(ポイント)
・「え」~打消:不可能
相思はで離れぬる人をとどめかねわが身は今ぞ消え果てぬめるお互い愛し合うことなく離れてしまった人を引き留めることができず、私の身は今、消え果ててしまうようだ。

(ポイント)
・和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

・詠んだのは「女」
・「男」を引き留めることができなかったという怨み/後悔
と書きて、そこにいたづらになりにけり。と書いて、そこで亡くなってしまった。

(ポイント)
・「いたづらになる」:死ぬ
・主語は「女」


④読解問題

様々な種類の問題が想定されるが、事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。

「宮仕へしに」の後に補うことのできる語を現代語で答えよ。解答例
行く。行こう。
「「今宵あはむ。」と契りたりけるに」とあるが、「女」は何故別の男と結婚の約束をしたのか。「男」が三年間、都に行ったまま戻ってこなかったから。
「「この戸開けたまへ。」とたたきけれど、開けで」とあるが、「女」は何故戸を空けなかったのか。解答例
「男」が帰ってくると思わず、別の男と結婚する約束をしていたから。
「女、いと悲しくて」とあるが、何故「悲し」いのか。解答例
「男」を引き留めるために歌を詠んだが、それもかなわず「男」は「女」のもとを去って行ってしまったため。


今回はここまで🐸

関連記事はこちらから⇓


⇓伊勢物語の他の記事はこちらから





〇本記事の内容については十分に検討・検証を行っておりますが、その完全性及び正確性等について保証するものではありません。

〇本記事は予告なしに編集・削除を行うことがございます。

〇また、本記事の記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。