徒然草『花は盛りに』品詞分解/現代語訳/解説③

徒然草『花は盛りに』品詞分解/現代語訳/解説③

はじめに

こんにちは!こくご部です。

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今回は徒然草から『花は盛りに』について、できるだけ短い固まりで本文⇒品詞分解⇒現代語訳の順で見ていきます。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

⇓前回の記事はこちらから


椎柴・白樫などの濡れたるやうなる葉の上にきらめきたるこそ、身にしみて、

椎柴     名詞    椎の木のこと。読みは「しひしば」。
白樫名詞  読みは「しらかし」。
など副助詞
格助詞
濡れ動詞ラ行下二段活用動詞「濡る」の連用形
たる助動詞存続の助動詞「たり」の連体形
やうなる助動詞比況の助動詞「やうなり」の連体形
名詞
格助詞
名詞
格助詞
きらめき動詞カ行四段活用動詞「きらめく」の連用形
たる助動詞存続の助動詞「たり」の連体形
こそ係助詞強意の係助詞
名詞
格助詞
しみ動詞マ行四段活用動詞「しむ」の連用形           
接続助詞
椎柴・白樫などの濡れたような葉の上に(月の光が)きらめいているのは、身にしみわたって、

心あらむ友もがなと、都恋しうおぼゆれ。

心            名詞             ここでは情趣の意
あら 動詞   ラ行変格活用動詞「あり」の未然形。
ラ変動詞は「あり」「をり」「はべり」「いまそが(か)り/いますが(か)り」を押さえておこう。
助動詞   婉曲の助動詞「む」の連体形。
助動詞「む」は多くの意味をもつが、以下のように判別の手掛かりになる「ルール」があるので整理しておきたい。
※必ず文脈判断を踏まえること。この「ルール」は「この意味になることが多い」程度の認識でいること。

【原則】
助動詞「む」が文末にある場合
・主語が一人称⇒意志
・主語が二人称⇒適当/当然/命令
・主語が三人称⇒推量

助動詞「む」が文中に連体形で出てきた場合
・「む(連体形)」+「は」、「に」、「には」、体言⇒仮定
・「む(連体)」+体言⇒婉曲
※婉曲は助動詞「む」を訳出しなくても文意が通じる場合。
名詞
もがな終助詞願望の終助詞
と     格助詞  
名詞
恋しう形容詞シク活用の形容詞「恋し」の連用形のウ音便
おぼゆれ動詞ヤ行下二段活用動詞「おぼゆ」の已然形。
ハ行四段活用動詞「思ふ」に奈良時代の「受身」「可能」「自発」の助動詞「ゆ」(「尊敬」の意味がないことに注意)が付いて一語になった語。
ここでは「思われる」の意味で使われている。

係助詞「こそ」を受けて係り結びが成立している。
情趣があるような友がいればなぁと都が恋しく思われる。

すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。

すべて                副詞                漢字をあてると「総べて」であるとおり、「総じて」、「全部合わせて」という意味を持つ。
また、打消の語を伴った場合、「全く、いっさい」という意味を持つため注意。
ここでは、「総じて」の意味で使われる。                                                  
月 名詞   
名詞  
格助詞「をば」の形で、「を」の前の対象を「は」によって強調する。
格助詞「を」+係助詞「は」が濁音化したもの。
係助詞
さ  副詞     そう、そのように、の意。
のみ副助詞限定の副助詞
名詞
にて格助詞
見る動詞マ行上一段活用動詞「見る」の連体形。
上一段動詞は基本的には10語のみと数に限りがあるため、頭文字を取って「ひいきにみゐる」で確実に暗記しておくこと。
もの     名詞
かは係助詞     疑問・反語の係助詞「か」、強意の係助詞「は」が結びついた場合、多くは反語の意味を持つ。(疑問を強めると反語になるのは「誰が行くの?」⇒「誰が行くの!?(誰も行かないと思っている)」となる例からも想像に難くない。)しかし、ここでは軽い疑問と解釈する方が自然。
「や」+「は」の例も同じ。
総じて、月や花をそのように目だけで見るものか、いや、そうではない。

春は家を立ち去らでも、月の夜は閨の内ながらも思へるこそ、

春     名詞     
係助詞  
名詞
格助詞
立ち去ら動詞タ行四段活用動詞「立つ」の連用形+ラ行四段活用動詞「去る」の未然形
接続助詞打消接続。
未然形に接続することに注意。
係助詞
名詞
格助詞
名詞
係助詞
名詞読みは「ねや」。寝室のこと。
格助詞
内ながら名詞「内」は中のこと。
「ながら」は接尾語で、状態の継続や動作の並行、逆接といった意味を付け足す。「ながら」を接続助詞と捉える説もある。
係助詞
思へ動詞ハ行四段活用動詞「思ふ」の已然形
助動詞存続の助動詞「り」の連体形。
接続を覚えるための語呂合わせは「サ未四已(さみしい)りっちゃん」派か「サ未四已りかちゃん」派かで分かれる。
教室に「り」で始まる子がいるとその日はイジられる可能性が高い。
こそ係助詞強意の係助詞
春は家を出なくても、月の夜は寝室の中にいながらも(花や月に)思いをはせているのは、

いとたのもしう、をかしけれ。

いと副詞     「たいそう」、「非常に」という訳を当て、程度が甚だしいことを示す。「めっちゃ」と脳内変換してもOK。
たのもしう形容詞シク活用の形容詞「たのもし」の連用形のウ音便。
「頼みになる」、「期待できる」、「裕福だ」といった意味を持つ。
ここでは「期待できる」の意味で使われる。
をかしけれ     形容詞シク活用の形容詞「をかし」の已然形。
「あはれなり」のようにジメっと感なく、「すてき!」とカラッと肯定的に評価するのが基本姿勢の語。
『枕草子』が「をかし」の文学と言われることも併せて覚えておきたい。

係助詞「こそ」を受けて係り結びが成立している。
たいそう期待ができ、趣深い。

今回はここまで🐸

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