【解答解説】共通テスト2025(現代文②文学的文章)
- 2025.01.21
- 過去問解答解説 共通テスト・センター試験 受験対策
- #共通テスト, #過去問解答解説
こんにちは!こくご部です。
定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。
はじめに
今回は共通テスト2025(現代文②文学的文章)と題打って、文学的文章(小説)の解答例及び解説を掲載します。
共通テストを受験された方、お疲れ様でした。
5つの大問構成で、実用的文章が出題されるなどの変化があった年でしたが、蓋を開けてみると選択肢が5つではなく4つとなり、時間的な余裕が生まれた受験生も少なくなかったであろうと思われます。
また、基本的な問題も多く、本文をもとに状況を適切に抑えていくことができれば、他の年度に比べて高得点が望めた試験でした。
通常であれば最新年度の過去問は直前期に取り組むことが多いものですが、この2025年の問題に関しては比較的早期に取り組み、自分の立ち位置を把握するのも一つかもしれません。
それでは行ってみましょう🔥
問1 説明問題
「おじさん」の様子を、語り手である「わたし」がどのように捉えているかを問う問題。
傍線部を中心に吟味していくと、「音を探すふりをする」や、「心をこめるように」という表現が鍵になる。
「おじさん」が曲を最後まで弾ききることができないことは「わたし」にも「おじさん」にも分かっていることであるが、それでも「おじさん」は「音を探すふりを」したり「心をこめ」たりするような様子を見せるのである。
これらの記述から、「おじさん」が途中までしか演奏できないことを隠しているということが読み取れる。
この状況に合致するのは選択肢①。他の選択肢も検討しておく。
2 「大切な曲あることを~伝えるために」が不適。本文に根拠がなく、内容もズレている。選択肢にあるような意図を「おじさん」が持っているという記述はない。
3 「気落ちしている」「曲を想起しつつ~見せている」がそれぞれ不適。どちらも本文に根拠がなく、内容もズレている。前者については気落ちしているのは「わたし」であり、後者については「思い出」というワードから変に連想を広げてはいけない。
4 「落胆を隠すために」が不適。本文の内容とズレている。③と同様に、「落胆」しているのは「わたし」である。「おじさん」が隠しているのは心情ではなく、「自分が最後まで曲を演奏できない」という事実である。
問2 心情説明問題
「わたし」の心情を説明する問題。
★心情説明問題は心の動きに着目する。「〇〇というきっかけがあり、〇〇と感じていたが〇〇と感じるようになった」が基本線。ある行動や出来事によって何かしらの感情を抱く流れを押さえるようにしたい。
まずは「おじさん」にステンドグラスの絵について意見を求められ、「わたし」の中に「母に似たもの」が生じたという状況を押さえたい。
ここでポイントになるのは傍線部中にある「母に似たもの」ということばである。
「わたし」は「わたしの母」と「おじさん」の関わり(仕事をせずにものづくりをする「おじさん」に怒り、叱責する姿)を何度も目の当たりにしており、その「母」の態度と同様のものが「わたし」に芽生えたのである。
その結果、「わたし」は「おじさん」の期待していないことば(「いいと思わないものを~それはそれでしかたがない」)を返すのであった。
これらの記述と合致するのは選択肢④。本文にあるとも矛盾せず、適当であるといえる。
他の選択肢も検討しておく。
1 「情けなくなり」「あえて厳しい~迫りたい」がそれぞれ不適。どちらも本文に根拠がなく、内容もズレている。
2 この選択肢を選んだ受験生も少なくないかもしれない。「相手を傷つけても伝えたい」が△。「わたし」は「本当の意見」を率直に伝えるべきだと考えている。
3 「自分の作品に自信がない様子」「作品の~失望感」がそれぞれ不適。どちらも本文の内容とズレている。
問3 心情説明問題
「わたし」が観察する「母」と「祖母」のやりとりから、それぞれが「おじさん」に対してどのような思いを抱いているかを捉える問題。
指定された箇所における、それぞれの「おじさん」に対する思いを簡単に整理すると、次のようになる。
○「母」
・「おじさん」に早く働いて、経済的に自立してほしい
・「祖母」にも「おじさん」に強く働きかけてほしい
○「祖母」
・「おじさん」の器用さを認めつつ、仕事につながらないことを残念に思う
・「母」(をはじめとする周囲)からの視線も気になる
これらを満たしているものは選択肢③。他の選択肢も検討しておく。
1 「祖母はいつか~期待している」が不適。本文の内容とズレている。
2 「祖母はそれほど~認めている」が不適。こちらも本文の内容とズレている。
4 「祖母はもう~諦めている」が不適。本文の内容とズレている。諦めているように召せているのは「母」がいる時であり、「母」がいない時のことばではない。
問4 心情説明問題
波線部「がっかり」という同じ語について、その差異を指摘する問題。まずはそれぞれの箇所についての状況を整理したい。
○波線部Ⅰの「がっかり」
「おじさん」がギターで最後まで曲を演奏できないことに対して抱いたもの。本文中の「かわいそうだという気持ちが混ざっていた」「大人を哀れむ」という記述を見逃してはならない。
○波線部Ⅱの「がっかり」
自分でオカリナを作ることができても、それができない他の大人に怒られ続けるということに対して抱いたもの。同じ波線部中の「すごい、と思いながら」も重要。このように相反する複数の感情を同時にもつ状態を、アンビバレント(アンビバレンス)という。
これらの状況に合致するものは選択肢④。他の選択肢も他の線検討しておく。
1 「優れた作品を~させられないために」が不適。本文に根拠がない。
2 「意志の弱さ」「何かに絞って~ようになった」がそれぞれ不適。どちらも本文に根拠がなく、内容もズレている。
3 「取り組んでいる~思っている」「母や祖母に~報われない」がそれぞれ不適。2と同様に、本文に根拠がなく、内容もズレている。
問5 表現問題
本文中の表現についての問題。本問は「適当でないもの」を選ぶ問題であるが、演習中にこれを見落としてしまった受験生は反省して必ず次に生かそう。
今回は「適当でないもの」のみについて触れる。
選択肢①の「不本意な状況」が不適。
「おじさん」が自分の状況を「不本意」なものであると考えているかを判断することはできない。また、「不本意」であったとしても、「繭」=(「自分で建てた小屋」)が不本意なものであるとは言えない。
問6 心情説明問題
「おじさん」にオカリナをもらった時の「わたし」の心情を捉える問題。傍線部が少し長く、丁寧な解釈が必要な部分もあるので、一つずつ見ていく。
○「触覚のとれた虫。方向感覚を破壊された鳥」について
一般的に、「虫」にとって「触覚」はセンサーのような存在である。その「触覚」が取れてしまった場合、自らの周囲の状況を把握することが難しくなる。同様に、鳥も「方向感覚」が狂ってしまった場合、自らの進むべき方向が分からなくなってしまう。
これらの「虫」や「鳥」を「おじさん」と重ね合わせ、「わたし」は「心配」しているのである。
なお、いまいちピンとこなかった場合でも、直前の「どこへ繋がって~しないまま」がヒントになっていた。
○「おじさんの心配をしながら、自分も晴れない霧につつまれた」について
上記のように、「わたし」は「おじさん」のことを心配しているが、同時に「自分も晴れない霧につつまれた」と述べている。
「霧」が出ていれば視界が悪くなる、というのは生活経験上分かっている受験生が多いとは思われるが、「わたし」は自分の進むべき道や将来が見えない(≒「オカリナどころか~どうすればいいんだろう」)という心情が芽生えている。
これらの状況に合致するのは選択肢①。「おじさん」を心配するだけでなく、翻って自分自身の人生についても頭を悩ませている。他の選択肢も検討しておく。
2 「おじさんの苦労に~できることはないか」が不適。本文の内容とズレている。
3 「衝動に突き動かされて」「それに振り回され~自分たちのこともがそれぞれ不適。どちらも本文の内容とズレている。
4 「本当にやりたい~おじさんの苦しさ」「内心を測りかね」がそれぞれ不適。前者については真偽不明であり、後者については「内心を測りかねて途方に暮れている」とはいえない。
今回はここまで🐸
問7 心情説明問題
問題文中に「どのような心境になった」とあることからも分かるように、ここで問われているのは結末部での「わたし」の心情の変化である。
小説読解において心情を説明する問題は頻出であるが、その際に大事にしたいのは①「変容する前の心情」と②「変容した後の心情」、そして③「その変容をもたらした契機(きっかけ)」である。
様々な解釈が可能な箇所であるが、ここでは敢えて選択肢に沿って考えてみる。
選択肢を確認すると、本問において指摘されているのは冒頭部(ギターを弾いている場面)と結末部(オカリナを吹いている場面)の対比である。
これに則ってそれぞれの場面での状況と心情を確認すると、次のとおりとなる。
○冒頭部
「わたし」はギターを手に取るも、うまく演奏できずにすぐにやめてしまう。その際に生じたのは「つまらないというより、不安だった」。
○結末部
「曲にはならない、ただ、ばらばらの音」であったとしても、「おじさん」からもらったオカリナを吹く。そのとき、「身体の表面が分厚く剥がれ落ちる気」がして、また別の自分へと変化しようとしていることに気づく。
これらと合致する選択肢は④。他の選択肢も検討しておく。
1 「自分を保護してくれる~手放そうとしつつある」が不適。こういったことを本文から読み取ることは難しい。
2 「充足感を得ていた」が△、「居心地のよい場所~不安を実感しつつある」が不適。どちらも本文に根拠がなく、本文の内容とズレている。
3 「物事を醒めた~傾向があった」が△、「熱心さに触れた~迷いつつある」が不適。
今回はここまで🐸
リクエストなどもお待ちしています!
※著作権の関係から、当ブログ作成の解答解説等のみを掲載し、
本文・設問等は掲載していません。ご了承ください。
関連記事はこちらから⇓
〇本記事の内容については十分に検討・検証を行っておりますが、その完全性及び正確性等について保証するものではありません。
〇本記事は予告なしに編集・削除を行うことがございます。
〇また、本記事の記載内容によって被った損害・損失については一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
-
前の記事
平家物語『木曽の最期』定期テスト対策&テスト予想問題① 2025.01.20
-
次の記事
記事がありません