平家物語『祇園精舎』品詞分解/現代語訳/解説①

平家物語『祇園精舎』品詞分解/現代語訳/解説①

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今回は平家物語の『祇園精舎』について、できるだけ短い固まりで本文⇒品詞分解⇒現代語訳の順で見ていきます。

必要に応じて解説なども記しています。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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出典について

まずは出典の平家物語について触れておきましょう。

出典:大鏡

★ジャンル・内容について
 軍記物語。軍記物語とは、鎌倉・室町時代の戦乱を中心に時代の移り変わりを叙述的に描いた物語のこと。平家物語はその名の通り、平家一門の栄華と滅亡を描いた作品である。文章は和漢混交文であり、リズム感があって音読するのが楽しい。

★作者について
 未詳。さまざまな説はあるが、その一つに、信濃前司行長(しなのぜんじゆきなが)が平家物語を作り、盲目の琵琶法師に語らせたというものがある。

★成立について
 鎌倉初期に成立したとされている。

その他

 琵琶法師が「平曲」として語り、民間に親しまれるようになった。


祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

祇園精舎    名詞    釈迦が多くの説法を行ったとされる、古代、中インドにあった寺の名前。読みは「ぎをんしやうじや」。
「祇園精舎」から始まる平家物語の冒頭は暗唱できるようにしておきたい。
格助詞
名詞
格助詞
名詞
諸行無常名詞読みは「しよぎやうむじやう」。
ここでは「この世のすべてのものは、常に変化し永遠に不変のものはないということ」と解釈しておく。
格助詞
響き名詞
あり動詞ラ行変格活用動詞「あり」の終止形。
ラ変動詞は「あり」「をり」「はべり」「いまそが(か)り/いますが(か)り」を押さえておこう。
祇園精舎の鐘の音は、この世の全てのものは常に変化し、不変のものはないという響きがする。

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

沙羅双樹     名詞    インド原産の木の名前。読みは「しやらさうじゆ」。
釈迦が亡くなったときにその四方を囲って生えていたが、釈迦の死去を悲しんで枯れてしまい、弦のように白くなって亡くなった釈迦を覆ったといわれている。
格助詞
名詞
格助詞
名詞
盛者必衰名詞読みは「じやうしやひつすい」。漢字のとおり、勢いの盛んな者も必ず衰えるということ
格助詞
名詞ここでは「道理」の意味で使われる。読みは「ことわり」。
格助詞
あらはす動詞サ行四段活用動詞「あらはす」の終止形
沙羅双樹の花の色(が一瞬にして変わったこと)は、勢いの盛んな者も必ず衰えるという道理をあらわす。
 

おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。

おごれ     動詞     ラ行四段活用動詞「おごる」の已然形。
「得意がる、思い上がる」といった意味を持つ語。
助動詞存続の助動詞「り」の連体形。
接続を覚えるための語呂合わせは「サ未四已(さみしい)りっちゃん」派か「サ未四已りかちゃん」派かで分かれる。
教室に「り」で始まる子がいるとその日はイジられる可能性が高い。
名詞
係助詞
久しから形容詞シク活用の形容詞「久し」の未然形。
ここでは「長い」の意味で使われる。
助動詞打消の助動詞「ず」の終止形
ただ副詞
名詞「春の夜の夢」は「短く、はかないこと」のたとえ。
周防内侍が詠んだ「春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ」もあわせて覚えておこう。
格助詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
ごとし助動詞比況の助動詞「ごとし」の終止形
思い上がっている人も長くは続かず、ちょうど春の夜の夢のよう(にはかないもの)だ。

猛き者もつひには滅びぬ、

猛き   形容詞  ク活用の形容詞「猛し」の連体形。
ここでは「勢いが盛んだ」の意味で使われる。
名詞
係助詞
つひに副詞
係助詞
滅び動詞バ行上二段活用動詞「滅ぶ」の連用形
ぬ     助動詞   強意の助動詞「ぬ」の終止形。
★重要文法
直後に「推量」や「推定」の助動詞がある場合、「完了」ではなく「強意」の意味で訳出を行う。
勢いが盛んな者も最後には滅びてしまう、

ひとへに風の前の塵に同じ。

ひとへに  副詞   「ひたすら」、「まったく」と言った意味を持つ語。
ここでは後者の意味で使われる。
名詞「風の前の塵」も、「はかないこと」や「脆くも崩れ去る」ことのたとえである。
格助詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
同じ形容詞シク活用の形容詞「同じ」の終止形

まったく風の前の塵と同じだ。

今回はここまで🐸

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