伊勢物語 『筒井筒』定期テスト対策&テスト予想問題①

伊勢物語 『筒井筒』定期テスト対策&テスト予想問題①

はじめに

こんにちは!こくご部です。

定期テスト対策から大学受験の過去問解説まで、「知りたい」に応えるコンテンツを発信します。


今回は伊勢物語から『筒井筒』について、定期テスト対策&テスト予想問題と題して記していきます。

学校の定期テストに頻出と思われる典型問題を掲載しますので、定期テスト対策の足掛かりとして進めていきましょう

また、テキストの異同や細かな差異が想定されるため、必ずお手元の教科書や学校で配布されたプリントをもとに勉強を進めましょう。

必要に応じて解説も記しておきます。

古文が苦手な人や食わず嫌いな人もいるかもしれませんが、一緒に頑張りましょう🔥

それでは行ってみましょう!

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①基本語の読み(歴史的仮名遣い)と意味

まずはここから。テスト週間は読みと意味を押さえた上で毎日音読するのがおすすめ直前の確認にも活用してください!
田舎わたらひいなかわたらひ田舎暮らしの地方官のこと
恥ぢかはすはぢかはす互いに恥ずかしがる
手に入れる

活用語尾と語幹の区別がなく、その語全体の形が変わってしまう特殊な語。(え、え、う、うる、うれ、えよ)
あはす結婚させる
筒井筒円筒の形に堀った井戸を囲む筒状の外枠のこと
井筒するがのくに井戸の地上部分に作られた囲いのこと
まろ自称の人称代名詞
たけ身長のこと
いもいとしいあなた
返しかへし返歌のこと
振り分け髪ふりわけがみ左右に分けて肩まで垂らしたままの子どもの髪型のこと
たれ誰。
本意ほい本来の目的、かねてからの願い
頼りたより(経済的に)頼れるもの、よりどころ
もろともに一緒に
言ふかひなしふがいない、貧乏である
あし悪い。
けしき様子
異心ことごころ他の異性を思う心、浮気心
前栽せんざい庭の草木や植え込みのこと


②文法的説明問題

特に助動詞の意味については頻出。「文法的に説明せよ」という指示があれば、①(動詞であれば)活用の種類/(助動詞等であれば)意味、②品詞、③基本形、④活用形を答えるのが基本!

大人になりにければ、ラ行四段活用動詞「なる」の連用形
大人になりければ、完了の助動詞「ぬ」の連用形

過去の助動詞を伴う場合の「つ」「ぬ」は完了で解釈するのが基本。
大人になりにければ、過去の助動詞「けり」の已然形

ここでは已然形+「ば」の形になっている。
八橋といふ所に至り完了の助動詞「ぬ」の終止形
男は、この女をこそ得と思ふ。意志の助動詞「む」の已然形

ここでは係助詞「こそ」を受けて係り結びが成立している。
親のあはすれども、聞かでなむありける。逆接の接続助詞
親のあはすれども、聞かなむありける。打消接続
親のあはすれども、聞かでなむありける。強意の係助詞
さて、この隣の男のもとより、かくなむ強意の係助詞。
結びの省略が起きている。
結びの省略とは、結びの語が省略されることである。この場合、文脈から判断して省略された語を補うことが重要。「言ふ、聞く」「あらむ」「なり」といった語を補うことが多い。
ここでは、後に和歌が続くため、「ありける」「詠みける」などを補うとよい。
筒井筒井筒にかけまろが丈過ぎにけらしな妹見ざるまに過去の助動詞「き」の連体形
筒井筒井筒にかけしまろが丈過ぎにけらしな妹見ざるまに過去推定の助動詞「けらし」の終止形。

過去の助動詞「けり」の連体形に推定の助動詞「らし」が付いた「けるらし」が変化してできた語。
筒井筒井筒にかけしまろが丈過ぎにけらし妹見ざるまに詠嘆の終助詞
筒井筒井筒にかけしまろが丈過ぎにけらしな妹見ざるまに打消の助動詞「ず」の連体形
くらべこ振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれか上ぐべき過去の助動詞「き」の連体形
くらべこし振り分け髪も肩過ぎ君ならずしてたれか上ぐべき完了の助動詞「ぬ」の終止形
くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれか上ぐべき断定の助動詞「なり」の未然形
くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれ上ぐべき反語の係助詞
くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれか上ぐべき推量の助動詞「べし」の連体形
つひに本意のごとくあひにけり。比況の助動詞「ごとし」の連用形
さて、年ごろ経るほどに、ハ行下二段活用動詞「経」の連体形
もろともに言ふかひなくてあらやはとて、推量の助動詞「む」の終止形
もろともに言ふかひなくてあらむやはとて、反語の係助詞。
疑問・反語の係助詞「や」、強意の係助詞「は」が結びついた場合、多くは反語の意味を持つ。
このもとの女、あしと思へけしきもなくて、存続の助動詞「り」の連体形
男、異心ありてかかるやあらむと思ひ疑ひて、断定の助動詞「なり」の連用形
男、異心ありてかかるにあらむと思ひ疑ひて、疑問の係助詞
男、異心ありてかかるにやあらと思ひ疑ひて、推量の助動詞「む」の連体形。
係助詞「や」を受けて係り結びが成立している。
前栽の中に隠れゐて、河内へいぬる顔にて見れば、ラ行下二段活用動詞「隠る」の連用形+ワ行上一段活用動詞「ゐる」の連用形。複合動詞として一語と見ても良い。
前栽の中に隠れゐて、河内へいぬる顔にて見れば、ナ行変格活用動詞「いぬ」の連体形


③現代語訳問題

①単語と文法を駆使して逐語訳を行うこと(意訳は最終手段!)②解答に文法的な要素が絡む場合は「文法を分かっていることが明らかな答案」にすること の2点が重要!

男は、この女をこそ得めと思ふ。男はこの女を妻にしようと思う。

(ポイント)
・意志の助動詞「む」
・ニュアンスとしては「他の誰でもないこの女を」というものである。
女は、この男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。女は、この男を(夫にしたい)と思い続け、親が(他の男と)結婚させようとするが、承知せずにいた。

(ポイント)
・「この男を」の直後に省略されているのは「夫にしたい」という内容である。
・「あはす」:(他の男と)結婚させる
・「で」:打消接続
筒井筒井筒にかけしまろが丈過ぎにけらしな妹見るざまに円筒の形に堀った井戸の外枠とはかり比べた私の身長は、井筒の高さを越してしまったらしいよ。あなたに会わずにいる間に。

(ポイント)
・和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

・詠んでいるのは「男」。求婚の歌である。
くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれか上ぐべきあなたと比べて来た私の振り分け髪も肩よりも長くなった。あなたでなくてだれが私の髪を結い上げるのだろうか、いや、あなた以外にいない。

(ポイント)
・和歌の解釈(自然/人事に分けて解釈)
○自然(詠んでいる人物が目の当たりにしている世界についての描写)
○人事(歌のテーマ、言いたいこと)

・詠んでいるのは「女」。「男」からの求婚に対し、それを喜んで受けるという歌。
つひに本意のごとくあひにけり。とうとうかねてからの願いのように結婚してしまった。

(ポイント)
・「本意」:かねてからの願い
・「ごとし」:比況
さて、年ごろ経るほどに、女、親なく頼りなくなるままに、そうして、(男と女が結婚して)ここ何年か経つうちに、女は親が亡くなり、生活のよりどころがなくなるにつれて、

(ポイント)
・「さて」は接続助詞。文章をつなぐ役割である。
・「(経済的に)頼りなくなる」⇒貧乏になり生活が困窮する
もろともに言ふかひなくてあらむやはとて、(男は女と)一緒にふがいない状態でいるだろうか、いや、いられないということで、

(ポイント)
・「やは」は反語。
男、異心ありてかかるにやあらむと思ひ疑ひて、男は、(女に)浮気心があって、このようであろうかと思い疑って、

(ポイント)
・「異心」:浮気心。
・「にやあらむ」:「~なのであろうか」。頻出中の頻出である。


④読解問題

様々な種類の問題が想定されるが、事なのは「問われたことに対して答えること」。問と解答がマッチしているか必ず確認しよう。

「親のあはすれども、聞かでなむありける」とあるが、①これは誰の行動か。②その理由は何か。解答例
①「女」
②「男」と結婚したいと考えていたから。
「女、親なく、頼りなくなるままに」とあるが、ここから分かる当時の社会の仕組みについて説明せよ。夫は妻の両親から経済的な援助を受けている。
「異心」について、①誰の、②どのような気持ちか。説明せよ。解答例
①「女」
②「男」ではない他の男に対する浮気心。
「男」はなぜ「異心」があると疑ったのか。解答例
「男」が「河内の女」のもとに通うようになったが、「女」は不快に思う様子もなく、「男」を送り出したから。


今回はここまで🐸

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